以前チラっと書いた、表題の分析の結果を披露しておく。
まず全体像について生成AIと議論した。結果として、その大まかなシナリオとは、
- いわゆる減反政策によって、市場におけるゆとり分が減り、ここ数年は需給バランスがタイトになっていた。
- 農水省は減反政策は止めたと言っているが、その他の手段を使って事実上の減反政策を続けていた。
- そこに来て、2023年の高温障害により、米の収量及び品質が大きく悪化した。このため需給バランスが崩れ、品薄と高騰が同時に発生した。
- 米は価格弾力性が低い商品であり、つまりは価格が高くなっても需要はあまり減らない。これによって、僅かな乱れが高騰につながる性質を持っている。
- 農水省は当初「コメは不足していない」「新米が出れば回復する」等と主張し対策しなかったため、需給バランスは回復せず、新米が出ても価格高騰が続いた。
- 国民の不満を受け、農水省は、最終的には備蓄米を放出した。しかしその放出量は少なく、入札方式にしたため価格は高止まりし、タイミングも遅かったため、高値を解消するに至らなかった。
- 2024年の収量は回復したが、まだ2022年レベルには至っていない。需給バランスが回復しないため、価格は高止まりが予想される。
という感じになる。その原因について生成AIに聞いてみたところ、以下のような答えが返ってきた。(見やすさのために若干編集してある。)
令和の米騒動の「複合的な原因」を分解し、各要素の量的な寄与度を推定すると、以下のようになります(現時点で公的に定量化されたデータは限定的なため、各種報道・統計・専門家分析をもとに相対的な比重を示します)。
要因 | 推定寄与度(目安) | 主な内容・根拠 |
---|---|---|
気候変動・天候不順 | 30~35% | 猛暑や異常気象による収穫量減少が直接的な供給不足を引き起こした。 |
減反政策・生産調整の影響 | 20~25% | 長年の減反政策による生産力低下、廃止後も生産回復が遅れた。 |
農業従事者の高齢化・労働力不足 | 10~15% | 生産現場の担い手減少が供給力をさらに押し下げた。 |
需要増(インバウンド等) | 10~15% | 観光客増加や経済正常化で需要が急増。 |
消費者心理(買いだめ) | 5~10% | 地震報道や将来不安による買いだめ・備蓄需要の急増。 |
流通構造・在庫管理の問題 | 10~15% | 流通経路の多様化、在庫管理の不備、投機的な買い占めや売り渋り。 |
投機的行動・市場心理 | 5~10% | 流通業者や一部関係者による投機的動き、価格吊り上げ。 |
解説
- *最大の要因は「気候変動・天候不順」で、2023年の猛暑や異常気象による収穫減が直接的な引き金となっています。
- 減反政策・生産調整の長期的影響も大きく、需給の弾力性が失われていたことが供給ショック時の価格高騰を招きました。
- 流通・在庫管理の問題や投機的行動も無視できず、流通業者や関係者による売り渋りや投機買いが市場混乱を増幅させました。
- 需要面ではインバウンドや消費者の買いだめが一時的な需給ひっ迫に拍車をかけたと見られます。
(中略)
JA(農協)による令和の米騒動への「原因」を量的に評価するには、JAの行動や影響力がどの程度今回の米価高騰・品薄に寄与したかを、主な要素ごとに分解して考察する必要があります。現時点での報道・専門家分析をもとに、JAの関与が強いとされる要素を以下のように整理できます。
JAによる要因 | 推定寄与度(目安) | 根拠・解説 |
---|---|---|
減反政策・生産調整の強化 | 20~25% | 農水省とJAが連携し、3年前から減反を強化。2023年産米は作付け前から前年比10万トン減少。 |
備蓄米放出への反対・流通制限 | 10~15% | JAが備蓄米放出に反対し、放出された米もJA経由で市場供給量が制限された。 |
市場への供給調整・在庫管理 | 10~15% | JA農協の在庫は前年同月比で21万トン減少。供給調整により米価高騰を招いた。 |
政策決定・価格維持への影響力 | 10~15% | 農水省・自民党農林族と「農政トライアングル」を形成し、高米価政策を主導。 |
情報の不透明さ・責任分散 | 5~10% | 流通・在庫・販売の情報が外部から見えにくく、責任が曖昧化。 |
解説
-
減反政策・生産調整の強化(20~25%)
JAは農水省とともに減反政策を強化し、米価維持を図ってきました。2023年産米では作付け前から減反が進み、供給力を大きく削減しました。
-
備蓄米放出への反対・流通制限(10~15%)
JAは備蓄米の市場放出に反対し、放出された米もJA経由で流通量が制限され、市場供給が十分に増えませんでした。
-
市場への供給調整・在庫管理(10~15%)
JAの在庫は大幅に減少し、供給調整による価格高騰を招いたとされています。
-
政策決定・価格維持への影響力(10~15%)
JAは農水省や自民党農林族と連携し、高米価政策を維持する強い影響力を持っています。
-
情報の不透明さ・責任分散(5~10%)
JAによる流通や在庫の情報が外部から見えにくく、責任の所在が曖昧になりやすい構造です。
まとめ
JAによる直接的・間接的な要因は、全体の40~60%程度の寄与度があると推定されます。とくに減反政策の強化、備蓄米流通の制限、供給調整、政策決定への影響力が大きな要素です。
ただし、天候不順など他の要因も無視できないため、「全てがJAの責任」とは言えませんが、今回の米騒動の構造的な主因の一つであることは明白です。
いかがだろう。結論としてはJAが主要因になっているということになった。国ばかりが責められているが、その背後にいるJAへの非難は、報道にはほとんど現れていない。SNSには若干JA非難の声があるが、こういった定量的根拠を持って叩いている人はいない。
以前も言っているが、こういった社会現象の解析には定量的評価が重要である。それを重視しない傾向についても以前書いたが、世間も政府も相変わらずのようだ。「生成AIはミーハーである」の回でも書いた通り、上の答えにしても最初の回答ではなく、定量的評価をしつこく迫った上でようやく出てきたものである。
どうか結論だけを掴んで短絡的にJA叩きに廻るのは止めて頂きたいのだが、JAにもっと注目して良い、ということだけは言えるのだろう。
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