2017年3月27日月曜日

シネコンの危機と対抗策


4Kや8Kの登場で映画館が衰退する、というのは、誰もが考える予想だろう。特にハリウッドのシステムは巨万の富を生み出してきたこともあり、その警戒感抵抗感もさることながら、これが現実となった暁にはどんなことになるのだろう、というのも気になる。
かつて音楽がそうであったように、映画を作ることも時代と共に簡単になってきた。映画の場合は、その技術を特殊効果に使うことで延命ができてきたように思う。だが、それももう終わりに近づきつつある。モブシーンや派手な特撮、自然な合成、モーションキャプチャ、物理エンジンによる精密なCGなどは、もうすぐ民間にも降りてくる。
その先には、一本当たりの価格(コストも儲けも)の低下、嗜好の多様化、玉石混交の大量多種生産、という現象が待っている。単館の映画館が減りシネコンが増えてきたのはその前兆とも言えるわけだが、これが更に加速するというわけだ。そうなれば、座席当たりの売上げは減ることになる。映画の危機、シネコンの危機だ。
まず、例えば30人規模の館が20、30と並ぶシネコンが登場する、という未来は考えられる。また、売上げ確保の手段として、従来は飲食に制限があったところ、積極的に売り込む、ということは考えられることだ。例えばデリバリーや飲酒を許す、などだ。それをするためには大きなテーブルが必要だし、映画のように座ってじっと見るだけのコンテンツでは都合が悪い。つまり、コンテンツが映画だけではなくなる、むしろ映画以外が主流になる、ということが想像できる。
例えば、スポーツやコンサート映像の配信がそうだ。また、カラオケルームの発展系として、貸切が主体でコンテンツはオンデマンド、という方向性もあり得る。あるいは体感ゲームやマルチエンディングの映画などが出てくる可能性もある。仲間うちで見るなら、大声を出して声援したり、実際には不可能な「ちょっと止めてトイレに行く」「早送りする、飛ばす」「同じシーンを何回も見る、スローで見る、別アングルで見る」などが可能だから、そこに価値を見出す人たちもいるはずだ。
特に別アングルは興味深い。実際にスポーツ観戦やコンサートに行ったとしても見れない角度、見れない距離から見れるわけだから、むしろ生で見るよりこの方が良い、という人も多いかもしれない。また、コンサートでは困難だろうが、スポーツではライブが可能になる。スポーツチームのファンレストランが試合で盛り上がるのと同じだが、映像が強力で貸切が基本、という少し違ったファンの行動も取れるようになる。例えば同じ試合で相手チームが隣の部屋にいるとして、アングルが各々のひいきのチーム寄り、などということも考えられる。
カラオケからの発展か、シネコンからの転換か、何れにしてもそのような形態のサービスが出てくる日は近いのではないかと思う。

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