2017年1月22日日曜日

白金触媒樹脂ガスタービン


ジェットエンジンとしても知られるガスタービンエンジンは、レシプロエンジンと違って連続的に燃焼するので機構が単純、動きが滑らかになる。だが極めて高速回転・高温になるので、エンジン自体の設計精度が厳しい、材料が限定される、整備の難易度が高い、などでも知られている。これは特性からしてしょうがない現象なのだが、もしこれを燃焼ではなく触媒反応としてやったらどうなるだろう。
最初に給気を断熱圧縮して温度を上げるところまでは同じだ。だがその程度は低く、燃焼温度には至らない。代わりにこの温度で白金触媒に触れさせる。給気の断熱圧縮の温度は、白金の触媒反応には十分な温度である(ように設計する)ため、ここに燃料を噴霧することで酸化・過熱膨張し、エンジンを駆動する。
原理は同じでも圧縮比が異なるため、エンジンは一から設計し直さなければならない。また、通常のガスタービンエンジンの利点欠点とは若干性質が変わってくる。まず回転は遅く、温度は低くなるので、設計精度や整備の難易度は下がる。また排気の温度が低いので、取扱自体も楽になる。
最大の特色は、プラスチックで作れるだろう、ということだ。白金触媒反応が起こる150~350℃付近は、まだエンプラの耐用温度の範囲内だからだ。これは結構画期的に思える。軽く、安く、量産もし易く、壊れたら容易に交換できる。使い捨てにすらできるかもしれない。また、回転子に直接永久磁石を埋め込んでも磁力線を遮らないので、容易に発電機を形成できる。
このガスタービンは、通常よりずっと小さい、例えば手のひらサイズとかもっと小さいもので、回転速度の制御は基本的に行わない。バッテリを充電するだけだ。使い捨て前提なら燃料を選ばず、構造も単純なので、防災グッズとして向いている。燃料やバッテリは経年劣化するが、エンジン自体は原理的に劣化しないので、長期保管も可能だ。
問題は効率で、温度比が下がるので恐らく下がるものと思うが、それがどの程度になるのかはプロの計算が必要だ。目的が目的だけに低くても良いが、燃料電池やレシプロエンジン等より大幅に低ければ意味が薄れる。

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