2016年11月9日水曜日

日本版スリングショット検討


ディーン・ケーメン氏が発明した蒸留式浄水器「スリングショット」は、単に浄水と汚水を触れさせることで熱交換をしているようだが、ヒートポンプを使ってもっと積極的な熱交換ができないだろうか。

ツインバード工業が、FPSCと呼ばれるクーラーユニットを製造している。動作想定温度範囲が違うのでそのままでは使えないだろうが、これを改造して応用することを考える。

このユニットは、上部に吸熱部、そのすぐ下に排熱部がある構造だ。排熱部は空冷であり、温度想定はない。この排熱部に蒸発槽を取り付ける。

蒸発槽には液面センサがあり、下から汚水を一定の高さになるまで押し上げるポンプを持つ。汚水の水位センサは2段階あり、下のセンサ以下の水位ではヒートポンプ(クーラーユニット)は作動しない。上のセンサは汚水の押し上げ上限を示すもので、ここに達すると押し上げポンプは停止する。そしてこの中間に、蒸発で残った濃い汚水を排水する穴がある。

濃い汚水はこのままでは高温なので、吸熱部からヒートパイプで熱を誘導して冷却する。理想的には室温程度まで冷やす。一方、蒸気は上に誘導されて同じく冷却され水に戻る。

汚水及び蒸留水の加熱と冷却にはラジエーターを使いたいところだが、水に直接触れるようにしてはならない。水に濡れる部分が複雑だと、例えば汚水側ではカスがこびりついたり、蒸留水側ではカビが生えるなど、つまりメンテナンスが大変になる。

こうして作った浄水器の本家スリングショットに対する特徴は、多少構造が複雑になり、つまり故障はしやすくなる代わりに、エネルギー効率が高いだろう、ということだ。ヒーターに比べてヒートポンプの熱効率が10倍あるとして、消費電力は本家の1/10だから、だいたい同じくらいの浄水能力があることになる。この電力なら、屋台で使うような発電機1台で有り余る。バッテリーでも動かせる。

また、逆浸透膜や中空糸膜に比べると、浄水能力(スピード)は劣り、電力が必要な点も劣るが、メンテナンス性が圧倒的に勝る。故障しない限りはノーメンテナンスで、基本的に消耗品はない。分解掃除もめったに必要ない。

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