2019年9月6日金曜日
IoTによる「取り締まり」の強化
世の中には、法的にはしっかり違法なのだが、監視する警官などがその場にいないことで見逃されている、というようなものはいっぱいある。道路の速度制限のように、実態の方が理にかなっていると思われるものもあれば、路上駐車や違法投棄のようないただけないものも存在する。
もし後者を、例えば監視カメラを取り付けることで後日発見できたとしても、その後の警察の動きは鈍いだろう。証拠があってもそこから犯罪者までたどり着くのはそれなりに手間がかかるし、何せ数が多い。それがまた犯罪を助長することになる。
そこで考えるのが、立件から犯人への通知、罰金回収まで一連の作業を全部自動化できないか、ということだ。言わば「犯罪捜査の自動化」である。
例えば、人物追跡だ。複数の監視カメラを連携して、人物を追いかけるようなシステムは、既に存在している。また、犯罪が行われた可能性については、監視カメラにAIを載せる、いわゆるエッジコンピューティングによってチェックできる。監視カメラが警報を出したらその人物を自動で追跡して、その後の行動や身体的特徴、人相などを自動で記録し、一つにまとめる。他の情報との突合で本人特定し、罪状とレベルまで自動認識して、ハンコを押す(承認ボタンを押す)前まで全自動で進める、というものだ。
各々のレベルや精度は、最初は低いだろう。しかしそれは、AIの進化で上げていくことができる。チェックポイントを複数設け、最初はその各々で多く人間が関わるように、信頼度が上がれば人を減らして、などとしてやる。重要度の高いものから数で制限してやれば、警官が忙しくなりすぎることもない。そして、システムの精度が上がれば、警官一人当たりの処理件数は大きく向上する。また、あらゆるところに監視カメラがあると思えば(逃れられないと思えば)犯罪の抑制にもなるはずだ。
プライバシーの問題は大きな懸念であり、その肝は「犯罪に限る」「恣意的なスクリーニングはしない」という点だろう。そのために、対策を二つ行う。一つはエッジコンピューティング、もう一つは公平な第三者の監視だ。
後者は明らかだろうから、前者について説明すると、要するにカメラ自体にAIを詰め込み、必要な情報のみをネットに流すようにすることだ。このAIも学習し自動更新するようにしておくことで、精度は上がり、余計な情報を出さず必要な情報を漏らさないように鍛えられていく。
細かい犯罪が確実に捕らえられるということは、いわゆるブロークンウィンドウ理論により、他の大きな犯罪も抑制することができる。これは好ましい変化だろう。
登録:
コメントの投稿 (Atom)
注目の投稿:
ダイナミック租税とその指標
今の法律では、税率は一定の計算式で表されるが、そのパラメータは固定である。需要と供給のバランスによって商品の価格を変えるダイナミックプライシングというのがあるが、あれを租税にも適用してはどうかと考えてみた。 納税者の声をベースにして様々な租税や補助金を自動調節して、どこか一箇所...
人気の投稿:
-
ハクキンカイロの発熱原理を調べていて、これを防災用(キャンプ用でも良いのだが)の湯沸しに使えないかと考えた。 普通、キャンプではガスコンロを持っていく。だがあれは裸火を使うから、熱効率は悪い。これに対してハクキンカイロの仕掛けは、白金触媒を適切な場所に配することで、極...
-
科学者、医者等であっても発言が必ずしも科学的とは限らない。無自覚ならまだ可愛いが、むしろ素人を煙に巻く悪意すら感じることもある。 量的議論がそのひとつであることは言うまでもないが、もっと以前の問題として、論理が破綻していることの多さがある。 そのひとつとして、ス...
-
新型コロナウィルスへの対応で、医療機関の防護服やマスクが足りないことが話題だ。ゴーグルは違うが、その他は使い捨てであるところがネックになっている。作っても作っても、消費の方が激しい訳だ。しかし考えてみれば、そもそも何で使い捨てなんだろう。細菌兵器用の防護服は使い捨てではない...
-
ガートナーが出しているハイプサイクルによると、生成AIはまだ幻滅期の手前にいるらしい。つまり今後大きな幻滅を経て実用域に進んでいくことになる。その幻滅とは、人間なら当たり前にできることでまだ生成AIにできないことが多く分かってくることによる。そしてその幻滅期を乗り越えるのは、...
-
時代が進むことで、昔のSFが奇異に思えるようなことはよくある。抑揚のないコンピュータ音声や、わざとぎこちなく歩く人間型ロボットなどは、もはや過去の遺物である。スタートレックシリーズに出てくるトリコーダーもその一つだ。 トリコーダー本体、また医療用プローブを手に持って...
-
生成AIを使って作成されたイラストに対する極端な非難が相次いでいる。そのどれもが、ちょっと行き過ぎに思える。例えば、事前にAIであることを知らせているもの、絵を描いている本人が確認し承諾したものまでも非難されている。なぜこんなに過剰な反応をするのだろう。単にノイジーマイノリティの...
-
卓上カレンダーのようなものを机に置いておいて、必要に応じてテレビ電話やフォトフレーム、緊急通報など、家で必要とされる様々な機能を集約する機械を考えてみる。 これは、従来は電話やFAXのような位置づけだったものだ。これら以外にも一家に一台の情報機器は考えられるので、それを切り替え...
-
コロナ禍ではあまり本ブログを更新しなかったが、この間は陰謀論が跋扈した時期でもあった。コロナは存在しない、ワクチンは危険、アビガン買いだめ、マスクは意味がないなど、実に様々な陰謀論が飛び交った。 この手の人は今だに存在しており、体感としてはむしろ増えている。それも、身の危険を...
-
自分の知る限りでは、VRChatのワールドで青空文庫が読める図書館があったのと、N高の教室メタバースくらいしかマトモな例がないのが、メタバース内で本を読む方法だ。本や書類がメタバース内で苦も無く読めるようになれば、電子書籍も含めて全部メタバース内に落としてしまいたい、とすら思っ...
-
映画と言えば、今でも娯楽のジャンルの一つとして確立したものではあるが、近年では衰退の兆しがある。そのたびに3DやCGなどのテコ入れが入ってきたわけであるが、ここにきて更に新しい提案ができるようになった。それがタイトルにあるインタラクティブ性の導入である。 とは言っても、...
0 件のコメント:
コメントを投稿