2018年5月14日月曜日

分散VOD


HuluやNetflixのようなVODサービスが、将来的に分散する可能性はないのだろうかと考えてみた。

参考にするのは、StorjのようなDAppsだ。つまり、各自が少しづつストレージを提供することによって超分散ストレージを構成する。従来のWinnyのようなストレートなものではなく、ファイルは細分化され暗号化され分散されて配置される。

サービスに加入するには、従来のようにIDパスワードだけ発行するのではなく、アプライアンスを自宅に設置する必要があるものとする。もしできないなら、オンラインアプライアンスを借用する。そして見たい時には、近隣のアプライアンスに分散して配置されていたファイルを寄せ集め、復号して結合して再生する。

大きな問題は三つある。第一はデータ容量だ。映像だから膨大な量になるはずだ。二つ目は暗号化をどうするか。最後は課金だ。これを各々検証してみる。

まず、動画の本数は数万本だそうだ。dTVの場合で10万本を越えている。将来の拡張を見越して百万本と仮定すると、1本5GBとして5PBとなる。アプライアンスを1万台配布し、1台当たり4TBのHDDを付けるとすると、その容量は40PBとなる。これで1本当たり8台に分散することが可能である。これくらいなら十分にペイできそうだ。

問題は暗号化だろう。広域にデータが分散している状況で、鍵が一つ漏れると全てがダメになるようでは困る。その一方、あちこちで復号化が日常的に行われている。それを分散で制御しなければならない。

課金は、中央制御でない場合に誰が誰に支払うのか、という問題になる。これは暗号復号の問題とも絡むのだが、結論としてはコンテンツ提供者が映像に署名(透かしなど)と暗号化をしておき、それに基づいてコンテンツ提供者に再生権料を支払い復号鍵をもらう、というものになるのだろう。

暗号化と課金を絡めた仕掛けとして、このようなものが考えられる。コンテンツ提供者はコンテンツ毎に存在し、アプライアンスの各々に隠れている、とするものだ。

Storjにストレージ借用と提供の機能があるように、このシステムにも視聴側と提供側の機能がある。提供側の機能はアプライアンスベンダからのみ覗けるようになっているが、実体は全アプライアンスに乗っている。

提供側の機能は、ファイルの分散保管の他に、借用側の要請に合わせて復号鍵を提供する機能、また分散されたファイルの再暗号化がある。

借用側は、ファイルを集めた上で再生要求を出す。それに合わせて提供側は復号鍵を提供する。ここで課金が発生する。一度提供した鍵は捨て、分散されたファイルを回収し、新しい鍵で再度暗号化し、再度分散する。

同時に再生要求が来た時に備えて、復号鍵は複数用意しておき、順番に古いほうから使うようにする。

提供側を分散配置しておけば、耐障害性は保たれる。また、コンテンツ毎に担当アプライアンスを複数決めておくことで、負荷分散が図れる。

コンテンツのカタログは、この機能とは別に共通の分散ファイルとして提供しておく。
課金は各アプライアンス上の提供側に蓄えられ、アプライアンスベンダによって回収される。再生側のウォレットへの入金は、このシステムの外で行う。

永久(期間)再生権、ローカルデータ保持権などまだ課題はあるが、また相当複雑な仕掛けになりそうだが、何とか分散への道は見えそうだ。

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