メタバース霊園という新しい概念が、デジタル世界に登場し始めている。これは、現実世界の霊園をバーチャル空間に再現したものであり、故人を偲ぶ新たな方法として注目を集めている。
距離も天候も時刻も関係なく、思い立ったらいつでも訪れることができるし、故人の写真などデータも一緒に保存できる。花も幾らでも添えられるし、故人の好きなものを置いて帰っても誰にも迷惑は掛からない。
しかしながら、このメタバース霊園には重大な問題が存在する。それは、その存続性に関する懸念だ。通常の企業と同様に、メタバース霊園を運営する会社にも寿命がある。つまり、会社が倒産や解散した場合、そのメタバース霊園も消滅してしまう可能性が高い。これは、そもそも霊園に求められる「半永久的な存在」という本質的な要件を満たしていない。
この問題を解決する一つの方法として、DAPPS(分散型アプリケーション)上にメタバース霊園を構築することを提案する。
DAPPSはブロックチェーン技術を基盤としており、中央集権的な管理者を必要としない。霊園を支えるストレージやソフトウェアは、ユーザが使うハードウェアに分散して配置される。このため、利用者が一定数以上いる限り、霊園が無くなることはない。霊園運営会社は、初期立ち上げ時のみ最低限のサーバを立ち上げ、ここにDAPPSを動かしていれば良い。利用者がある程度増えれば、このサーバも必要なくなる。
DAPPSを利用することで、運営会社の存続に関わらず、ユーザーが存在する限りメタバース霊園を維持することが可能となる。
ただし、この方法にも課題がある。それは、急速に進化するテクノロジーに追随し続ける必要性だ。メタバース技術やブロックチェーン技術は日々進歩しており、これらの最新技術を取り入れ、常にアップデートを行うことが求められる。開発が止まってしまえば、ある日新しい脆弱性をつけ込まれて破壊や改ざんを受ける恐れがある。
こう考えると、そのDAPPSの管理は国など公的機関の管理下に置くのが良いかもしれない。公共サービスの一つとして動かすのだ。日本で言えばマイナポータルのようなところに置く。こうすれば半永久的なメンテナンスが受けられるだろう。
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