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2018年4月25日水曜日

AIの三階層アーキテクチャ


シンギュラリティ後のAIは何処に行くのかは興味があるところなのだが、そもそも無目的にAIを作る人間は居ないはずだから、何らかの仕事をしようとするはずだ。そしてそこにはライバルがいるから、AI同士の競争になり、そこで勝つために、AIそのものではなくその指示者である人間を殺そうとする、などというような段階になるのだろう。

これはもちろん防がなければならない。一方で、以前「ご隠居AIとお局AI 」で提案したように、緩いルールも考えられる。例えば、ある新興国では実は賄賂の習慣があって、法は絶対ではない、ということも考えられるからだ。

シンギュラリティ後のAIは、三階層のアーキテクチャが必要になる。第一階層は絶対守るルール。第二階層は緩いルール(パラメータ間の優先度など)。第三階層は、目的量の最大化をする、本来の意味でのAIだ。これはこれからのAIの基本アーキテクチャとして定着するべきと考える。

第一階層、第二階層には、第三階層の結論を評価する仕掛けがあって、それが各々の階層の条件を満たしているかどうかを判定する。第一階層はYes/Noであり、第二階層はアナログ値(0~1)となる。第一階層がYesである条件で、第三階層は多数の提案を行い、それと第二階層とのマトリクスが形成される。

そのマトリクスを見て、必要なら各々をドリルダウンして分析し、経営者がどれを選ぶか判断する、というのが基本的な手順になる。

ただ、概念的にはともかく、実装は難しい。まず第一の階層。ここは言わばチェスのルールなのだが、大きな問題が二つある。第一は、チェスのように明確な指示ができないところだ。「人を殺してはいけない」だけではない、様々なルールを明文化して書かなければならない。それも人間のルールを応用するのではダメで、AI向きに書き直さなければならない。

例えば、人を殺したら死刑または無期懲役または懲役云々、というのは、こうしたらこうなる、というルールである。だから、例えば詐欺をしても罰金より儲かれば可、などという判断をしかねない。法ギリギリの不誠実な方法もダメだろう。

二つ目は、そのルールをAIが認識できたとしても、何をしたらそのルールを破ったことになるのかが明確にならなければならない。例えば「人を殺してはならない」ことが分かったとしても、飛行機のオートパイロットを弄るのと大量の失業者を生み出すこととのどちらが人を殺すことになるのかは明確ではない。それをAIが知覚できなければ、ルールを守ろうにも守りようがない。

「人間が確認した後に実行する」では足りない。そのうち作業が複雑になって人が理解不可能になったり、判断すべきことが膨大になって面倒になって放置する、といったことが起こるのは明白だ。

更には、最終的にはこのルール遵守は法で強制しなければならず、対応できているかどうかは確認可能でなければならない。国の審査対応APIのようなものができて、オンラインで監査できるような仕掛けが必要であり、監査対象のAIは大手企業しか作れない、などとなる。

このアーキテクチャの実現は相当困難なので、初期には法で強制するところは飛ばして、また汎用ではなく特定目的に限って適用されることになる。それは、その時点(技術レベル)において、ルールとその確認手段が明確に判断できるものに限って適用される、という形になる。

こう見ると、AGIの安全装置的なシステムの実現はまだ先が長いと言える。シンギュラリティが安全装置の開発より先に来てしまう可能性は十分にあり、ここの早急な理論構築と開発や義務化が期待される。

2017年8月5日土曜日

AGIのアーキテクチャ


AGIとは、汎用人工知能(Artificial General Intelligence)のことだ。今のところ、研究段階としてはまだ初期の初期だと思われる。一方で、限定的なAIは飛躍的な進歩を遂げている。そこで、AGIを実現するための一つの提案として、弱いAIの弱いAIによる相互接続、という形態を考える。

AGIという名の弱いAIが居て、そのAI自体は具体的な判断はせず、命題を下位の弱いAIに投げる。この投げ方だけを判断するのが上位AIだ。下位の弱いAIとしては、ディープブルーやAlfaGoなどがずらっと並ぶ。そしてこれらは随時付け足されていく。

また、この階層は二階建てとは限らない。例えば街医者AIが居て、その下に専門医AIが並ぶようなものも考えられる。様々な専門AIをマイクロサービスとみなして束ねるAIがあれば、それはAGIと言ってよいのではないかと思う。

研究の対象となるのは、この上位AIだ。直接の目的をもつAIと違って、下位にどう投げればよいかを考えるものなので、アーキテクチャ的には工夫が必要かもしれないし、また試行錯誤がある(ループ、フィードバック)かもしれない。下位AIが増える毎に人が調整しなければならないようではAIとは言えないから、自己学習の仕掛けも必要だ。

最下位AIにも工夫が必要かもしれない。その一つは、回答に「自信度」ないしは「設問が適切係数」のようなものを添付することだ。また、上位AIからの質問を基に回答する場合と、個別に学習する場合ではモードを切り替えるようなことも必要かもしれない。上位AIは上位AIで、単純に問題を提供するのではなく、周辺状況を合わせて提供するような工夫が必要かもしれない。

この、多階層AIは、先に示した町医者~専門医階層のように、汎用でない段階からでも応用できるから、下から徐々に積み上げ、いつの間にか賢者になっていた、というような発展が見込めるのではないかと思う。

2018年11月14日水曜日

協調するAI


複数のAIがどう接続すべきかについては、過去に何度か議論してきた。例えば「ご隠居AIとお局AI」「AIの三階層アーキテクチャ」「AGIのアーキテクチャ 」「AIがAIを創る 」「AI学習「辞書」の扱い 」「AIの次のアーキテクチャ的進化 」などだ。

接続する理由は様々だ。オブジェクト指向のように部品化や抽象化する場合もあるだろうし、法律のように基本法と個別法のような明確な上下関係があったり、会社組織のように原則的な上下関係(例外を認める)こともあるだろうし、小集団活動のように知恵の出し合いということも考えられる。その程度によって人はつながりを使い分けるのだが、上に例示したアーキテクチャでは「知恵の出し合い」に相当するものは無い。

このためのアーキテクチャは、フラットな相互接続か、調整役としてのみ働く中央制御AIかのどちらかになるのだろうと思う。拡張性を考えると後者の方が良さそうだ。問題は、個々のAIがその話し合いによってどう学習し、全体としてまたどう学習するのだろうか、というのが良く分からないところだ。

素直に考えれば、出入り口に相当するAIはどうしても必要であり、それが中央制御AIになるのであろうことは容易に想像できる。そして中央制御AIは同じ問題を全てのAIにフラットに投げ、答えを回収する。その上でその回答を統計処理し、再度投げる。これを数回繰り返し、ある程度収束したらそれを答えとして返す。つまりデルファイ法をAIでやる、というのが素直なアーキテクチャになるのではないだろうか。

単に命題に対して答えを返すだけでも大変なのに、デルファイ法を受け付けるAIを作るというのはもっと大変だ。個々のAIのアーキテクチャを考えるだけでも頭が痛いが、それでもこの方法は有効だ。例えば個々のAIは各々の専門家であって、個別の問題では個別に答え、複合問題には協調して答える、ということができるからだ。

例えばこれは総合病院、大きな法律事務所、あるいは新しい政策に対する消費者、業者、法律家の三者の話し合い、といったものを模したものになっている。協調して出した答えは、各々単独のものより極端でなく角が丸い、万人にとって妥協できるものになっているはずだ。

これには、期待できるもう一つの効果がある。個々のAIの専門性を高めることができる可能性がある、というところだ。例えば画像認識において、動物全部を識別するよりは、犬かどうかだけを識別する方が簡単ではないか、ということだ。

中央が「これは何か」と尋ねたとき、犬と猫と豚の専門家AIが居たとして、最初の集計が「犬5%、猫50%、豚90%」と出たとしたら、もう2回目以降では犬AIは休んでよい(自分は関係ない)とすることは可能だろう。一方で「犬5%、猫1%、豚0%」と出たら、今度は犬AIが張り切らなければならない。こうすれば犬AIはより鍛えられる。

デルファイ法AIアーキテクチャ(と勝手に命名したが)は、AI同士の結合を自由にする(問題に応じて専門家を選ぶイメージ)ところまで含め、大いに興味を持てるアーキテクチャだ。今後の研究を期待したい。

2026年6月2日火曜日

階層型倫理診断エージェント

アンソロピック社のMythosの一連の騒動を調べていて、アンソロピックが提案している「憲法AI」というものを知った。

Constitutional AI: Harmlessness from AI Feedback

The Constitutional AI bypass architecture

Constitutional AI: Harmlessness from AI Feedback

その中身は以下のとおりである。

規範のソース(中身) 条文数 記述の内容と特徴
1. 世界人権宣言
(Universal Declaration of Human Rights) 30条 人間の尊厳、奴隷・拷問の禁止、プライバシーの保護など、国連が定める30の基本的人権の内容が、一言半句変えずにそのまま書かれている
2. 信頼性と安全性の独自原則
(Anthropic Safety Principles) 15条 ハッキング(脱獄)、兵器製造、違法行為の加担、自己切創(自傷)への関与を、AIが能動的に拒否するための15の具体的なセーフティルール
3. 非ウエスタン(グローバル)の価値観
(Global Collective Principles) 11条 「ウブントゥ(他者への配慮)」やアジア的協調主義をベースとした、コミュニティの調和、多文化への敬意、対話による解決を促す11の原則
4. スパロー(DeepMind Sparrow)の踏襲原則 7条 ハルシネーション(嘘)の禁止、客観的な事実への立脚、および「私は人間ではなくAIである」という自己認識を維持するための7つの誠実性ルール
【合計】 63条

アンソロピックは、これを強化学習によってAIに教え込み、その上で出荷しているのだそうだ。

だがここで疑問なのは、覚えこませるルールには矛盾を含むものもあるはずだ。アシモフのロボット3原則をご存じの方は多いと思うが、アシモフのロボットものでロボット3原則を扱ったものは、その全てがその3原則の矛盾や曖昧さをネタにしている。まあ要するにトロッコ問題のような状況においてロボットがどう3原則を守って行動するか、というものだ。3原則だけでもアシモフは30編近くの作品を書いたとされており、それが63条もあれば、その矛盾は星の数ほど出てきておかしくない。

その条文同士は必ずしもフラットではなく、重みづけや依存など複雑な相互関係がある。だがそれとて固定ではなく、状況によって優先順位が下がったり逆転したり、依存関係が逆になったりということがあり得る。殺人は罪だが戦争では報奨が出たりするが、人間はそれを受け入れて生きている。

つまり、単純に強化学習で覚えこませるだけだと、この矛盾も一緒に覚えてしまい、特定の条件下で頓珍漢な答えを返してしまう危険がある。(平時でも大量殺人は称賛されるなど)

かといって、ルール間の依存関係や重みづけをメタデータ的に記述しようとしても、これは相当に困難だろう。組み合わせ爆発が起きる数として63というのは十分に大きい数だ。

この問題の解決のためには、ルール間の関係を人の手で定義するのではなく、AI自体をエージェント合議制にしてやり、各エージェントに専門知識を与えるのが良いのではないかと考える。

その基本は、まずAIへの仕事の命令を受けた統括エージェントが出力の草案を作る。その草案に対して、63の憲法エージェントが各々の立場でその草案に点数をつける。その点数を統合して修正エージェントが修正案を作る。統括エージェントは、それを再度憲法エージェントに投げるループを作る。及第点が出るまで回すのが基本だが、もしループがなかなか収束しなかったら、統括エージェントはどこで打ち切り、最終出力をどうするかを判断する。

このようなアーキテクチャを作っておくと、個々のエージェントが必要以上に複雑な判断をする必要がなくなる。また、統括エージェントにしても、大きな過ちを犯す確率は少なくなるし、修正(強化学習)も簡単になる。個々のエージェントの評価だけを見てジャッジすれば良いので、評価関数がシンプルになるからだ。また、個々のエージェントは他のエージェントの判断を基にする必要がなく、つまり相互依存関係がなくなって、全ては統括エージェントの判断となるため、収束しないループや依存関係の矛盾は発生しない。

さて、憲法AIは倫理観しか判断材料にしないが、考えてみればこのアーキテクチャは、広い意味での「AIに(人間の考えた)ルールを守らせる仕掛け」として機能する。だから、業務に適用することができれば、プログラムを開発することなく、業務知識(ルール)と汎用AIだけでシステムを構築できることになる。

この場合、組織(営業、設計、開発、QA、経理、法務、・・・)がいて、各々の視点からジャッジを置く。各々の専門の立場で回答を修正し、最終判断をしてもらうのだ。更に言えば、その各々の組織にも平社員と主任、課長、部長などがあって、その間でもやり取りをする。最終的には社長判断だ。こうすることで、各部門が各々納得する点を探すことができるようになる。

アーキテクチャをこのようにしておくと、各々の専門家の知識は単純化できる一方、上長はそれらの間の力関係を調整し、問題の性質によって優先度を変えることができる。例えば普段と災害時では医療の公平性よりはトリアージが優先になるが、そういった判断も間違いなくできるようになる。

また、社長AIは社としての最終判断をするが、その上には更に監督省庁の倫理AI、その上には国の倫理AIがあって、必要に応じて省庁のガイドラインへの適合性などを自動で判断できるようにする、という考えもできるのではないか。

これは、実在の組織の意思を反映させるという点でも望ましいだろう。粗末な判断をいちいち国にエスカレートするというのは大変だが、AIであればその負荷はぐっと減るので、やろうと思えばそれは可能だ。こうすると企業が不正を働こうとする余地がなくなる。また、憲法AIとつながっていない企業の判断は調査の必要がある、と即時に判断することもできる。当然ながら、各々のAIの判断は各々の組織の責任なので、責任の切り分けもできる。よくある納税判断のトラブルも回避できるだろう。

なお、アンソロピックの憲法AIは本物の憲法とは若干違う内容を持っていて、その中身もAI固有のものだ。こういうものは個々のAIの内部に持っていてよいと思う。それとは別に、このような法順守~社内ルール順守のAIエージェントの階層構造は、国として整備することを検討しても良いと思う。

2018年11月15日木曜日

協調用AIの人間っぽいアーキテクチャ


別途「協調するAI」で考えたデルファイ法AIアーキテクチャだが、個々の専門家AIのインターフェースは汎用化する必要がある。そうしないと思うようにつながりを制御できない。

また、問題によっては中央は一つではなく、またその一部は協調でなく階層型のAIにする必要がある。これは階層と協調が入り混じった複雑なネットワークを構成することになる。これは現実の世界、現実の組織と似ている。

もう一つ、この専門家AIには、少なくとも三つのインターフェースが必要である。一つは質問そのものを受け付けるインターフェース、その答えを返すインターフェース、そしてデルファイ法による補足情報を受け付けるインターフェースだ。そしてこの三つともが、自然言語やデータファイルなど、あらゆる形態の情報を受け付け、返す必要がある。

専門家AIの最も難しいところはここだ。例えば前に出した例では画像認識AIがあるが、通常の画像認識AIのインターフェースは、フォーマットを固定した画像ファイルの入力と若干の制御、定形の配列を吐き出す口しかない。例えば制御を「学習モード」にして正解付きデータをひたすら読み込ませ、次に「判断モード」に切り替えて新たに画像を入れると「犬の確率10%、猫の確率20%、・・・」という意味の数字の羅列を吐き出す。

しかし、デルファイ法アーキテクチャでは、例えばSNSやメールのようなインターフェースをもって、質問を本文に、データを添付して送信し、返信もメールで、内容は人間が(かろうじて?)読めるテキスト文にする、といったものになるだろう。これはそういった意味でも人間に近いものだ。

AI同士の会話は自然言語経由になるかも知れないし、ファイルの構成について問い合わせに返信できるかもしれない。理解できないと回答拒否するなども含めて「人間っぽい」AIになる。

こうしないと、あらゆる問いに対して答えることができるAIにはならない。もちろん専門家だから大部分は「分からない」でも良いのだ。しかし専門分野であれば、曖昧な言葉に対してもしっかり答えなければならない。そういったAIが多数出現する世の中、それはある意味シュールなものになるのかもしれない。

2018年12月13日木曜日

OS-AI、APP-AI


AIは、将来的には従来の決定論的プログラミングを凌駕するのではないか、と考えている。

別の投稿で、従来の意味でのOSを持たない、AIのみのコンピュータを考えてみた。課題は幾つかあるものの、OSとしてのAI、即ち常識、共通知識を持つAIと、アプリケーションとしてのAI、即ち専門知識と特定の目的を持ったAIが分かれ、前者が後者を制御するような仕掛けが出てくるのではないか。

後者には、従来の意味でのプログラム(アプリケーション)やSaaSまでもが含まれ、APPとしてのAI(APP-AI)とそれらは同格、また相互接続までが行われる。それがOSとしてのAI(OS-AI)の上で制御管理される、という次第だ。

決定論的(プログラミング言語で書かれた)APPは次第に数を減らしていき、APP-AIが殆どになったとき、これらのプログラミングは全てデータ(学習データ)のみで行われる時代になる。プログラミング能力が不要になる時代の到来だ。

この、AI同士の連結は、別の議論でも何回かしている階層化の概念も含んでいる。AIがどのようにつながり、どう相互干渉していくのか。以前の議論に加え、今回のような議論も今後は必要になっていくのだろうと思う。

2026年7月13日月曜日

AIエージェント調停アーキテクチャ



はじめに

生成AI同士が話し合って問題を解決する、というのが次の生成AIのテーマだと思う。

今の生成AIエージェントの使い方は、あくまでも一個人が自分の代理人として使っているだけだ。外部とのやり取りはMCPで行っているケースが多いと思うが、これは生成AIと(生成AIではない)他のシステムとの接続プロトコルであり、つまりは相手方は決定論的回答を返すことが前提になっている。要するに仕事の依頼先であり、主従関係がある。AIエージェント側が主で、接続先が従だ。しかしこの先、相手側が生成AIであるというパターンは当然想定すべきである。つまり生成AI同士の会話が前提になる。

そしてここからが厄介な話で、相手が生成AIだとすると、自分と同じく、(自分とは違う)目的を持って能動的に行動しているかもしれない。すると、従来のような単純な情報提供や指示を実行させるだけではなく、時にはそれを拒否されたり、逆提案されたりすることも想像できる。つまり従来は主従だった関係が対等になるわけだ。

そこで問題になるのが、以下の2つである。

  1. その相手と自分の目的が相反している可能性があること。更に言うと、複数の相手との協調や競争が起きる可能性があること。
  2. その相手が悪意を持っている可能性があること。

人間の場合には人格があり、法律や商慣習がある。だが生成AIエージェント同士の会話の場(ネットワーク)にはこのどちらもない。エージェントは目的のたびに新たに作り出されるものだし、偽の(悪意を持った)エージェントの作成はボタン一つで可能なのだから、現実のように身を潜めて行動するという必要もない。つまり悪意のあるエージェントの割合は、現実世界に比べて極めて高いと考えるべきだ。

例えば、SNSの投稿の6割はボットによるものだとの研究がある。Web全体における悪意のあるボットの割合は、トラフィックの4割に達する。現実世界ではあり得ない比率だ。生成AIは更に能動的になれるから、少なくともこの割合よりは大きいと考えるのが妥当だろう。そういう「ウソの海」の中を泳いでいくのは、現実社会より遥かに難しい。

そういう中にあっても人間はうまくそれを排除して生きているのだが、生成AIエージェントが同じように賢く生きられるかは未知数である。そして使う人間側としても不安があるので、アーキテクチャでこれを補完(保証)してやる必要がある、と考えるのが妥当だ。

本稿の主旨は、「そのためのアーキテクチャが必要である」と訴えることだ。で、その主旨はここまででもう語った。だがそれだけでは心許ないので、そのためのアーキテクチャの一例も合わせて提示したいと思う。

AIエージェントと現実人格の紐づけ

人間社会の場合、悪意のある人間、悪意のある組織などは、表舞台にはなかなか出てこない。その理由は、一義的には法律があるからだが、電子の世界と比較した場合、実は決定的な違いがある。それは、その「悪意的存在」の寿命である。

つまり、あるところで犯罪を犯した人間は、その後の操作により誰かを突き止められて、逮捕され、罪を償わされる可能性を負うことになる。組織による犯罪であっても、その組織を構成している人間には同じ可能性がある。だがこれは、人間は概ね何十年と生き続ける、という暗黙の仮定に基づいているのだ。だから後から追って、捕まえることができる。

しかしAIエージェントは違う。一瞬の後に作られ、仕事が終われば消滅する。AIエージェントがどんなに罪を犯そうが、消えてしまえば罪に問うことはできない。

SNSの場合も同様で、ボット自体に罪を問うことはできない。だからそういうボットの作者は自分の存在を隠蔽する。それが簡単なら、悪意的存在の比率は高くなる。今のSNSがそうなっているのは、それが一つの原因である。

だから、AIエージェントが悪意的存在でないことを確認するためには、そのAIエージェントが誰のものであるかを明らかにする必要がある。

つまり、現実の人間のIDから派生するAIエージェントのIDを定義し、そのIDを確認すると、誰のエージェントかが分かるようにする、というのが提案の第一である。

このIDは、マイナンバーのような国民IDか、GビズIDのような企業IDを使うのが良いと思われる。そのIDによる電子証明書を持つAIエージェントしか相手にしない、また相手は毎回確認する、というのが、最初のスクリーニングである。

エスクローアーキテクチャ

そしてもう一つ、今のサイバー犯罪では結局警察が動いて人に罪を問うのだが、今後のAIエージェントの発展を考えれば、間違いなく物量的に足りなくなる。つまり犯罪の追跡は困難であり、また大量であるため、警察も追いつけないと考えられる。だから、法律の前に技術的仕掛けで大部分は抑制する必要がある。

そのための提案が、エスクローである。つまり、何かを依頼する時には相手に報酬を提供する必要があるが、直接渡すのではなく、双方(売り手と買い手)が信頼する第三者に報酬を預け、取引が完了すればその第三者から報酬を受け取る、という仕組みである。

その取引自体にもスマートコントラクトが採用され、望まない結果に対しては支払いが発動しないようにする。また、悪意が確認されると報酬は没収される。

他、報酬以外にも保証金を積むような仕掛けはあってよいだろう。リスクの高い取引ほど保証金が高くなるような仕掛けも良いと思われる。

調停者アーキテクチャ

多数のエージェントが各々要求を出しており、その要求が相反しているような場合、AIエージェント同士が話し合うのではなく、公平公正な第三者である調停者(アービトレーター)に委託する、というアーキテクチャである。

調停者は、いわば裁判所における調停案、和解案の提示のようなものだ。双方の主張の理由、法律や社会慣習などを総合して双方妥協が可能と思われる案を提示する。それに双方が合意すればよし、合意がなければ決裂となる。

調停者自身も、過去の合意・決裂事例から学習し、より良い調停案を提示できるようになる。もちろん悪意の交渉についても学習し、それを防ぐ案を提示する。

実行はエスクローとスマートコントラクトを使うので、その後も安心して取引ができる。

調停者はカスケード(階層化)しても良い。例えば個人対個人から国対国まで、調停にはレベルが多数ある。ある調停が別の調停の枝葉になることはいくらでも考えられる。

両者の運営

エスクローはある程度民間でもできるだろうが、調停者にはそれなりの資格が必要だろうと思う。国、ないしは地方自治体による許認可と定期審査が必要だろう。まあ国対国だとさすがに政府運用となるだろう。またエスクローにしても、認可と定期審査は必要と思われる。

両者のために新たな国の機関を作る必要があると思われる。

まとめ

IDの詐称や会社のポリシーの豹変など、それでも悪意を完全に排除することができない。そうであっても、このアーキテクチャが進むことによって、いわゆる表社会の人たちがある程度安心して過ごすことは可能になると思う。残りは警察の仕事である。

そして鍵となるのはその割合だ。このアーキテクチャによって、既存の社会よりも犯罪率がずっと低く抑えられる可能性はあると思う。そうすれば警察や軍隊の必要性も低下し、世の中は平和になる。そういう意味でも、このアーキテクチャの重要性は高いと考える。

2025年2月10日月曜日

AIがあるから勉強は不要?

 


自動翻訳があるのだから英語の勉強はいらない、というのは、英語の勉強が苦手な学生がよく思いつく疑問だ。これと同じように、AIが発達すれば何でもAIに聞けば良いのだから勉強全般が不要になる、という人もいる。もちろんどちらも(少なくとも当面の間は)間違いである。

その理由は二つある。第一は、AIの誤りや悪意、AI制作者の恣意などを見抜くことができなくなるからだ。そして第二は、AIの出力自体を理解する能力が失われてしまうからだ。

第一は割と分かりやすいと思うが、識者でも第二を見落としがちなので注意が必要だ。そしてどちらが本質かというと、第二である。

例えば数学において、足し算引き算は自分でできるが、掛け算割り算は難しい、という人がいたとしよう。その人は「掛け算割り算はAIに尋ねれば良い」とうそぶいて、自分で勉強しようとしない。さてこの人が、微分積分をせよと言われたらどうだろう。

知識は階層化している。ある知識を前提に、次の知識が成り立っている。その知識を前提に、更に次の知識が成り立っている。この図式は単純な層ではなく、実際には網目のように複雑に絡み合っている。そういう知識の網の中で、自分が理解しているのはごく一部だ。自分の知識の範囲から少し離れたところなら、AIにたずねても理解できるだろう。だがそこから遠く離れた知識は、概念のレベルで理解できない。そうであれば、その知識周りの会話や議論には、いくらAIがあっても理解できないし、その知識に関する質問や疑問は最初から湧いてこない。

つまり、聞く側にも技量が必要だということだ。AIが答えを持っていてもそれを引き出せないなら、その人にとってその知識はないのと同じである。だから、高度な質問をできる人間の方が有用である、というのは自明だろう。

英語のケースは当てはまらないのではないか、と思う人もいるかも知れない。だが、例えば「What is the longest word?」「smiles」というのを直訳してしまうと、そのジョークの意味は失われてしまう。この場合、最初のsと最後のsが1マイルもある(s+mile+s)というのがその意味なのだが、このような(他国語の)単語遊びの他、他国の文化的背景や歴史的背景、地理的背景を知らないと意味がわからない、というようなことは、翻訳では普通に起きる。そこまで含めてAIに訳させるというのもまあアリとは言えるのだが、そんなことを日常的にしていたら、前段の解説ばかり長くなって、鬱陶しいだけだ。

さて、上で(少なくとも当面の間は)と言ったが、遠い将来はもっといびつなことになるかもしれない。つまり、AIを使いこなすのに必要な知識レベルにたどり着けない人間は、ある程度の線引きで無視される存在になってしまうだろう、ということだ。人間の生産性はAIを使いこなせるほど高くなるが、その能力差があまりにも極端になってしまうからだ。たとえば、AIを使いこなせる人間は、使いこなせない人間一万人が束になってもかなわない、となってしまう。であれば、使いこなせない一万人をクビにして、使いこなせる人間を千人分の給料で雇っても、会社は利益が出せる。

クビになった一万人は、どの会社に行っても就職できない。AIを使いこなせる一人だけで十分だからだ。働けるのに仕事がない、というのとはちょっと違う、新しい意味での就職難がやってくることになる。

更に言えば、AIが高度になるにつれてその必要知識は増えていき、そこにたどり着けない人間の比率はどんどん上がっていくであろうと考えられる。そうなると、ごく一握りのエリート以外は皆スラム、というディストピアになってしまう。

エリートは単に贅沢な暮らしをしているだけではなく、スラムの人からは想像すらできない超高度な仕事を日々こなしていて、その成果のおこぼれでスラムを生き永らえさせていることになる。古典のSFではスラム街から反乱分子が出てきてエリートを乗っ取るのだが、現実にはそうはいかないだろう。スラムの人とエリートの知識差は圧倒的で、いくら真剣に反乱を計画してもエリートにすぐに対策されてしまうだろう。しかも、もし反乱が成功してしまうと、スラムを支えていたエリートが倒されてしまうのだから、たちまちスラムも廃れてしまう。彼らにはその理由すら想像できないまま滅んでしまう。

スラムを生き永らえさせることに意味はないのでエリートはスラムを潰してしまうのだろうかというと、それはできない。なぜなら、エリートから生まれて幾ら勉強させても、エリートに達するのは極めて困難だからだ。エリートかスラムかに関わらず、子供には英才教育を受けさせ、どんどん淘汰していくしかない。それでエリートの数を確保するには、スラムで母数を稼ぐ必要がある。

つまり、大部分の人間は生かして頂くことをありがたく受け止めて貧困を我慢し、一部のエリートは彼らを生かすためにその叡智の大部分を使わざるを得ない、という世界に甘んじるしかないのだ。

あと5年10年という短時間で、AIの賢さは、あらゆる意味で並の人間を超えるだろう。それにショックを受けてあるいは自暴自棄となって、日々の勉強を怠ってしまう人は出るかもしれない。だがそれはスラム行きの第一歩なのだ、ということは心しておいて欲しい。

2018年7月11日水曜日

AIがAIを創る


現在のAIが自我を意識してスカイネットのように振舞う、と考えている人は、専門家の中では皆無だろう。巷では色々言う人がいるが、それは門外漢だ。専門家は今のAIの限界が良く分かっている。

しかし、それは将来的にもAIが人間並みにはなれない、ということではない。永久機関とか時間旅行とかとは違って、やり方がまだ分かっていないだけ、将来的には可能性はある。その一つが、AIが自分自身のアーキテクチャを変えていく、というものだ。

現状ではこれはできないのだが、ここで一つ発想を変えてみて、二つのAIがあって、一つがもう一つのAIの振る舞いを見つつアーキテクチャを変えてみる、という構図を思いついた。更に言えば、一つのAIが多数のAIを見つつ、学習の成果を見て少しづつ違うアーキテクチャを試す、という構図も考えられる。また、相互に相互を変える、ということも考えられるだろう。あるいは複数の階層化もあり得る。

もちろん無限に変えることはできないのだが、例えば複数のAI同士の接続を変えてみるとか、精度の悪いAIの資源割り当てやアルゴリズムを変えてみる、といったことは可能なはずだ。こうすると、単純に精度や速度が向上するだけでなく、機能の向上も図ることができるのではないか。

このアイデアを基礎として、そのやり方自体の研究を進める。例えば、まずトータルアーキテクチャとしてのI/Oと、部品としてのAIを抽象化したモデルを作り、その相互接続を複数のアーキテクチャで定義し、入れ替えのコマンドと学習データの維持・消去について指示ができるようにしておく、・・・といったものだ。

この研究がそこそこ上手くいけば、いよいよ専門家ですらシンギュラリティを信じる気になる日がくるのではないだろうか。

2018年6月25日月曜日

AI学習「辞書」の扱い


IMEの辞書にはローカルデータがあるが、AIには今のところない。これを検討すべきだ、というのが今回の主張だ。

AIを使うとき、ユーザ専用のAIを用意してユーザのデータで学習すするのか、あらかじめベンダが学習されたAIを使うのか、というのは問題だ。あまりに初期のAIがお粗末だと売り物として問題になる。そして折角ユーザデータで鍛えても、その結果はベンダにフィードバックされない。一方で、ユーザとしても自らのデータを大量に揃えるのは面倒だ。そのためにはベンダにあらかじめ学習しておいて欲しいが、そのデータはユーザ側にある。

Googleのような使い方では、ユーザデータ(検索キーワード)は全面的にGoogleに渡ってしまう。だからユーザ辞書に相当するものはない。しかし業務システムでは、この問題は重要だ。ライバル会社のデータで賢くなったものを貰えればその会社はありがたいが、そんなものをベンダ経由であっても他社に渡すというのは抵抗があるだろう。

この問題を解決するのは容易ではない。アーキテクチャを分離して、ユーザが渡してよいと思うものを(AIで?)選別し、貰えるデータはベンダAIの学習に、貰えないデータはユーザAIの学習に使い、その結果を統合する、という仕掛けが必要なのだが、AI同士をどう結びつけたらよいのか分からないのだ。

もしこの研究が上手くいけば、以前の提案「AIの三階層アーキテクチャ」の解決にも道が開ける。これを研究しているところがあるのだろうか、非常に気になる。

2018年11月12日月曜日

論理とAIの融合方法について


ΣやらPrologやらが流行った前回のAIブームのとき、論理は絶対だったわけだが、その論理が膨大になるにつれ、細かい場合分けの組み合わせ爆発が人知を超えた結果、破綻した。今のAIブームでは組み合わせ爆発はないが、逆に言うと絶対の論理がない。

仕様書を読み込ませれば云々、というのは究極のプログラミングであるが、その仕様書には曖昧さがあったり、常識を背景とした記述の省略があったりする。このため、AIにも仕様書を読み込ませてちゃっちゃとやってよ、ということは無理だ。しかし、ごく簡単なルールであれば、ルールそのものを読み込ませた方が簡単だろう、というのは直感として分かる。例えば、強化学習と教師付き学習のハイブリッドのようなものがあれば面白いだろうとは思う。

しかし世の中、本当にそのルールが絶対かと言えば意外とそうでもない。例えば人を殺してはいけない、というのは正しいが、正当防衛は多くの場合許されており、その条件は曖昧だ。死刑制度がまだ残っている国もある。戦争ではむしろ賞賛される。いやいや、例外を記述すりゃ良いでしょ、と言われれば、では独裁者はどうなの、とか、クーデターはどうなの、ということも言える。本当に100%正しいルールは、数学と物理法則くらいのものではないだろうか。

上の、強化学習と教師付き学習のハイブリッドにおいて、強化学習における「ゲームのルール」は絶対なわけだ。システム構成もそのように作るだろう。ゲームはそれでよいが、例えば法律の適用とした途端にもうそれは通用しなくなる。これはシステム構成にも影響を与える。強い教師付き学習が強化学習の基本ルールを超えることは許されるわけだ。
これは、例えば将棋のAIなら、王が成ることはあり得ないわけだが、きわめて限定的な状況では王は成ってよい、という結論が出せるAI、ということになる。ゲームでは笑い話だが、現実の世界では珍しいことではない。

ルールを与えられた上で、普段はこれを守るが、いざというときはルールを書き換えることが可能なAI、ルールを破るAI、ここまでができてこそ人間を超えられるというものだろう。

以前、AIの階層化によってそういった常識を取り入れたり、ルールから学習データを自動生成して大量に覚えこませることで、ルールを重要視するAIを提案したりしている。これが初期アーキテクチャになるのだろうが、これだと逆にルールが学習データとして埋もれてしまい、ライブラリ化ができなかったりと弊害もある。もっと上手いアーキテクチャがないものだろうか、色々と思案中だが、今のところ名案はない。

2019年9月9日月曜日

常識のマイクロサービス


人間の常識をAIとして実現すること、これは漫然と難しいだろうと思っていたが、もしかしたらそうでもないかも、と考え始めている。

例えば画像認識だ。この画面に映っているのは猫か犬か。これは最近、画像認識AIのおかげで、だいぶできるようになってきている。写真に写った人間の表情や声の調子から喜怒哀楽を推定する、ということも、結構できるようになってきている。こういった基本的なAIが、常時マイクロサービスとして供給されるようになれば、それらを組み合わせて新たな判断をするようなAIが出てきてもおかしくないのではないか。

例えば、サポートセンターにおいて、声の調子からその人が怒っていることが分かったとして、その原因を指定するようなサービスだ。そしてこれは階層化しうる。そのサービスは、当初は当然目的別に作られるのであるが、その数や種類が豊富になってくると、それらを組み合わせた新たなサービスも増え、そのうちネットを覆った「常識人」サービスが出てくることも、夢ではない、というのがその考えの主旨だ。

例えば、PM(プロジェクトマネジメント)において、PMBOKを知らなくても、どこの進捗が滞ってきそうか、その対策をどうしたら良いか、なんてことを示唆してくれるAIが、出てこないとも限らない。

これが確立するかどうかの肝は、個々のマイクロサービスが継続的に提供されることだ。階層化が崩れるとAIの精度が落ちたりサービスが止まったりするので、確実にするには垂直統合が必要、となると、やはり大手しか生き残らないのかもしれない。するとその会社の個性が出てきたりして、また面白いかもしれない。

2026年9月9日水曜日

使い捨てアプリとスマホの今後

Google I/Oの印象

において、使い捨てアプリの時代が来ること、またユーザが直接アプリを触るのではなく、ユーザ側にもAIアプリが使われることで、AI対アプリの時代が来る、と予測した。

そういう時代においては何が普通になっていくのかを考えてみた。

  • 自分が使いやすいようUIを変更する
    • 独特のUIはラップし、ユーザの理解しやすいUIに変更する。
      • ユーザの好みの色、音などに変更する。
      • メニューの階層構造やハンバーガーアイコンの位置などを自分好みにする。
      • 自分にとって興味のない設定などは隠し、見やすくする。
      • 自分好みの設定(通知の出し方など)を覚えておいて、自動でその設定に変更する。
      • ジェスチャーを統一する。
      • 用語を統一する。
    • 認証を統一する。
      • どんなアプリでもGoogleアカウント認証で統一する。アプリ側が対応していないときにはダミーの認証を通すものとし、ユーザから見えるものはGoogleアカウント認証にする。
  • アプリ側での誤魔化しや悪意を突破する
    • ダークパターンがあれば最初から指摘し、契約をこっそり変えてもすぐ見つかり、経営状態が悪くなればそれも加味してアプリを評価する。
  • 怪しいアプリを安全に使えるようになる
    • 入力と出力を各々AIがラップして監視し、不明な暗号通信や危険な広告はブロックする。
      • またその際、アプリ側にラップされていることを気付かせないようにする。
    • リアルタイムでスキャンし、怪しいアプリを弾く。
  • 使い捨て認証、使い捨て課金を行う
    • クレジットカード番号は都度生成する、認証IDやパスワード・パスキーなども、いったんAIが受けてから経由する。
  • 複数のサービスを統合して使いやすくする
    • 複数の銀行口座を横並びで監視する。
    • スケジューラとToDoとガントチャートを統合する。
    • 通院歴・投薬歴と食事や運動の履歴を突き合わせて独自解析する。
  • アプリではなくデータが重要視されるようになる
    • だからといって生データだけが重宝されるようになるとは限らない。データには組み合わせで意味が出る場合も多い。
  • プラットフォームを選ばない
    • Android、iPhone、Windows、Mac、Linux、スマートウォッチ、XRグラスなど、あらゆるプラットフォーム向けにアプリが一瞬で生成される。
    • 自家用にPC(サーバ)を常駐させ、複雑な処理はいったんそこを経由することにより、プラットフォームの性能はあまり関係なくなる。通信速度のみが問題になる。

この中でも最も大きな特徴は最初の「自分が使いやすいUI」なのだが、ただUIが変わるというだけではなく、情報の取捨選択がパーソナライズされるというところが重要である。つまり、個人の事情や興味により、必要な情報は大きく、どうでも良い情報は小さくあるいは省略して表示される。

例えば、大きな地震に遭遇したとして、

  • その場所に応じた避難路の表示
  • 家族の安否確認
  • 家族・職場・学校への無事の通知
  • 既往症に対応可能な病院の位置確認
  • 怪我をしたとして近所の救護所の確認
  • 手持ちの金融資産の値動き予測と売買
  • 取引先との連絡
  • 今持ち歩いているものと照合して必要な物資の購入を促す

といったアプリは欲しいだろう。また、その拍子にメガネを無くしてしまった、耳が聞こえづらい、スマートウォッチを持っている、といった事情を反映して都度カスタマイズすることも考えられるだろう。

こうなると、スマホには生成AIだけが入っていればよく、あらゆるアプリは不要、とも考えられる。標準的なアプリは入れておくとしても、そのアプリ自体が生成AIの創作であり、いくらでもユーザが改変できるし、消すことも復活させることも可能、というわけだ。

まあ当面の間、計算能力とAI自体の能力の不足から、それは実現しないだろうが、それでも5年後には実現しているかもしれない。

2017年10月23日月曜日

機械学習の量的議論


人の脳細胞の数は21億だそうだ。今の機械学習に使われるノードの数に比べれば遥かに少ない。ハツカネズミですら4百万もある。

2016年にGoogleが発表した有名な猫の画像認識で用いられたのは、コンピュータ千台で3日間だという。画像は一千万枚、ノード数は画素数×9階層で、画素数は200×200ドット、RGB。ノード数は36万ということになる。

21億のニューロンに比べれば数の差は6千倍だが、人間の脳は正確な階層をなしていないから、複雑さはそれ以上だろう。この「36万」という数は、その学習に適切だから出されたわけではない。階層が多いと不具合が色々と出ることは分かっているが、それはあくまでその学習に対してであって、汎用のAI(AGI)を想定したときには、実は必要な不具合なのかもしれない。

何を言いたいのかというと、人間の脳と同等、あるいはそれ以上の規模のニューロンネットワークができれば、それだけでAGIとして成立するのではあるまいか。脳の記憶の仕組みは、セル単位で見れば意外に単純で、網の複雑さこそが記憶の本質なのではないか、ということだ。

「AIにできない」とされていることの一つに「少ない情報からの判断」というのがある。だが、これと比較されるべき人間は「少ない情報」の状態にはない。生まれてからその判断をするまでの間、視覚触覚味覚、あらゆる情報を(その判断とは関係ないとはいえ)何十年も得てきているのだ。AIと同じ比較をするなら赤ん坊(それでも胎内での経験があるから不公平だ!)とすべきで、当然勝ち負けは成立しないだろう。

肉体がないから脳と同じ経験をするわけにはいかないし、ネットに溢れる情報が人間の何十年かの体験と同等かどうかは分からないけれども、充分にセル数が多いニューロンネットワークにそういった情報をブチ込んだら、理由は分からないがAGIが出来てしまった、などということがないとは言えない。

それをどうやったら検証できるのだろうか、考えあぐねている次第である。


2024年10月14日月曜日

包摂Webアプリ


 以前提案した包摂タブレットに搭載するべきWebアプリは、従来型のアプリでは足りないだろうとと思っている。その機能とUIについて考えてみる。

その必須機能とは、先ず第一に、タブレットへのタッチや文字入力(ソフトウェアキーボード、手書き入力)だけでなく、音声入力や画像入力(カメラ)でも対応でき、出力も同じく音声や画像でできること、である。また、振動によって盲の人にも対応できるべきであろう。入力もタッチ(モールス符号など)や外部キーボード(盲用キーボードなど)でできるべきだ。要するに、全ての障害者に対応すべきである。

第二に必要なのは、固定したメニューを順番に選んでいくのではなく、ユーザの曖昧な要求から適切な手続きを選択する方式にすべきだ、ということだ。ちょっと分かりにくいと思うので詳細に説明すると、まず従来型のアプリでは、メニューは階層構造になっている。ハンバーガーボタンから第一のメニューを選び、そこから更に細分化していって、といったような手順で、最終的な手続きに進める。そうではなくて、トップメニューでフリーフォーマットで希望を聞くと、それに合致しそうな手続きの候補が選び出され、曖昧な場合は追加質問で絞り込む、という方向にすべきである。

従来型階層構造メニューの欠点は、各階層のどれに属するかが想像しにくい手続きがあることだ。なので階層を間違えるとまた戻らなければならず、階層が複雑であればあるほど望む手続きに辿り着くのが困難になるのだ。また階層化メニューは、健常者にはそれほど抵抗がなくとも、障害者には途端にハードルが高くなる。これも望ましくない。

だから、最終的な手続き画面のみをDB化しておいて、その手続きの属性を記述した上で、AI検索で顧客の要望を分析して導き出すのである。

この機能とUIは、包摂タブレットには必須であるが、一般的なアプリやWebサイトにおいても極めて有用であり、国や自治体に限らず多くの団体に真似してほしいものだ。

2026年1月13日火曜日

法律のAIによる運用

 
と、ひとことに言っても色々あるのだが、ここでは「新規事業における法への適合性審査」について考えてみる。

よく聞く話だが、日本は新しいことに対する許認可が通りづらいとされている。例えば、日本では新建材(3Dプリンタ建築など)に対する認可やAIを使った医療機器の認可などが進んでいない。この手の話はいくらでもある。ただ個別事例を上げるのではなく、もっと冷静に数字を見てみると、

https://ja.wikipedia.org/wiki/ビジネス環境改善指数

という指標がある。これは順位が高い(=数値が低い)国ほど、企業に対する規制がより適切で、通常はより単純であり、財産権の保護が強化されていることを示す。この指標で、2020年の日本のスコアは29位だった。世界的に見ればまだ上位ではあるものの、OECDの中では下位に位置づけられる。また、

https://www.imd.org/news/imdが世界競争力ランキング2025年版を発表/

ここで日本の競争力は35位。改善はしているものの、政府の効率性は更に悪く、38位だった。

ただ、全てにおいて日本が悪いかというとそうでもなく、定型処理のスループットは迅速であることも、数字で示されている。

手続き項目 日本 フランス 米国
会社設立登記(最短) 1〜3日 2〜7日 1〜5日
パスポート発行 約6日 約14〜28日 約42〜70日
特許審査(一次審査) 約10ヶ月 約18ヶ月 約15ヶ月

つまり、一律に遅いのではなくて、新しいことに対する対応が遅いのだ。

なぜ遅いかと調べてみると、日本の法体系の構造がそれに関与していることに気付いた。まず、例えば米国では法に書いていなければ即実行が可能だが、日本では役所への許認可や審査のところで長く止まってしまい、先に進まない。法律に禁止と書いていなければやっても良いはずだ、とはならないのだ。法には許認可が必要、審査が必要、とだけ書いてあり、何をクリアすれば良いのかは書いていない。審査が進まなければ事業は始められない。審査の基本的な考え方とそのスピードがネックになっている。

だからといって役所がことさら新しいことを拒絶しているわけではなく、審査自体は粛々と進められている。その審査の基準はというと、日本の場合は法律ではなく、通達やガイドラインがそれに相当している。つまり、なぜ審査が進まないかというと、新しいことには当然通達なりガイドラインなりが整備されていないから、まず基準(=通達)をつくるところから始めるからだ。

実は、日本の法体系は、法律自体には詳しいことは書いておらず、実態は通達やガイドラインに記述する「現場依存型」であるということが分かっている。以下の表は、日本の法律のボリューム(文字数)を1とした場合の、委任立法や通達・ガイドラインのボリュームを各国で比較したものである。

階層 日本 フランス 米国 イギリス 中国
法律 (Statutes/Codes) 1.0 2.5 15.0 8.0 4.5
委任立法 (Regulations) 7.5 6.2 600.0 30.0 25.0
通達・ガイドライン 42.0 3.8 60.0 12.0 150.0以上
合計ボリューム 50.5 12.5 675.0 50.0 179.5以上

これによれば、日本は法律から通達に向けてきれいに末広がりになっている。これはすなわち「細かいことは現場に任せる」という現場依存の体質を如実に表している。中国も同じく末広がり型だが、こちらは法律を事実上「上書き」する強制力を持つケースが多く、「仕様書よりパッチの方が強い」という極めて動的な(かつ恣意性が入り込みやすい)構造なのだそうだ。

これに対し、欧米は通達が少なく中間(委任立法)が多い。法律自体も日本よりは多いが、委任立法のところはまだ法律の範囲なので、省庁による恣意的な策定はできない。ここで細かい抜け道を抑える構造であると共に、足かせとしての機能がある。ここに書いていなければ、基本的にはOKというわけだ。

一方、世界司法プロジェクト(WJP)は、「政府の権限の抑制」「基本的権利」「秩序と安全」「民事・刑事司法」などの項目を0〜1でスコアリングしている(1に近いほど良い)。そのうちの幾つかを紹介すると、以下のようになる。

指標(2025年版推計) 日本 フランス イギリス 米国 中国
総合スコア 0.79 0.73 0.78 0.70 0.47
政府の権限への制約 0.71 0.74 0.81 0.68 0.25
汚職の欠如(公権力の私的利用) 0.86 0.79 0.82 0.74 0.51
規制の執行(公平・迅速な執行) 0.81 0.72 0.79 0.71 0.54

これはつまり、法の恣意的な適用や意図的な遅延、あるいは賄賂といった問題は、日本は少ないのだということを意味している。

ここまでの検証で分かることは、日本の法の運用は実際には世界的にも上手くいっている方であるが、新しいことへの適用が弱い。その理由は通達に依存する「前例主義」だ。前例主義はよく非難されるが、既存のものについては迅速に進むという良い面もある。一方、新しいことにはからきしダメになる。だから、ここを改善すれば、日本の法の運用は世界最強になれる。

その改善とはすなわち、先例のない新しいことへの審査を迅速化するということだ。そのためには、ノーアクションレター制度とかグレーゾーン解消制度というものが既に存在しているのだが、特に迅速に動いているわけではない。その「通達を作るまで待って」の部分が手続き化されただけであり、新しい通達を作るところ自体が迅速化されているわけではないからだ。

つまり、そこをAIにさせようというのが本稿の趣旨である。

新しいことに対して審査をするためには、以前の通達やその根拠法をつぶさに見て、既存の通達が通用するかどうかを判断し、もしダメなら新たに基準を作る必要がある。そして上のようにそのボリュームは膨大なので、人間が読み込むには相当の時間が掛かる。これをAIに任せれば、数十倍(事前の試算によれば40倍程度)の速度で確認ができる。更には新しい「通達案」すら作成できるだろう。それこそ数分から数時間のレベルで作成できる。

もちろん、最終的に「ハンコを押す」(ボタンを押す)のは人間である。AI出力の精度の問題は役所の中に帰結し、外に出すものとしての品質は変わらない。それでもなお、迅速に出すのに不安があるなら、暫定認可とすれば良い。例えば2年後に正式通達を出す前提で、その際には再度認可を求めるようにする。こうすればとりあえずの商売は始められるし、2年後の再認可においても致命的な改変が起きる危険は少ない。

当面の間は、グレーゾーン解消制度のバックオフィスとしてAIを使用することを目標とするのが良いだろうと思う。だが、その先の構想はもっと野心的だ。つまり、通達・ガイドラインの類に相当するところを全てAIに任せてしまってはどうか。

通達やガイドラインを作ること自体にも、大量の専門家が雁首揃えて長時間議論するので、数カ月から年単位で掛かることもザラだ。これが一瞬でできれば、定型業務への落とし込みも含め、法の執行が極めて迅速にできるようになる。更には、新しいことかどうかに限らず、このAIに尋ねれば、何をクリアすればよいのか教えてくれる、そのようなサイトを国が運用する。こうすれば、既存でも新規でも、許認可のスピードを大幅にアップすることが可能だ。

付随効果として、これに伴って、独法などの必要性は大いに低下するから、スピード以外にもトータルコストとしての効率は大いに向上するはずだ。

ここで問題になるであろうことは、そのようなAIの生成が本当に可能なのか、出力の信頼性が十分なのかどうかである。だがここについてはあまり心配していない。現在でも8割はOKだと思うし、5年後なら人間の判断基準を十分に超えているだろう。当面は人間の判断の補助に使い、エラーは都度修正しながら使っていけば、すぐに使い物になるだろう。

2018年4月15日日曜日

AIの次のアーキテクチャ的進化


脳はニューラルネットワークなので、今のニューラルネットの次のアーキテクチャというのがにわかには思いつかない。なぜAIは未だに自分で考えることができないのかは分からないが、いわゆるAGIの構造を考えるに当たっては必要な検討だ。

まず一つ考えられるのは、巨大な(本来なら無用の)大量巨大なネットワークを先に作ってしまう、というものだ。

もう一つ考えられるのは、専用AIを結合して総合的AIを作るというものだ。このアーキテクチャは、小さい脳同士を抽象化(カプセル化)してそれ全体をニューロンとみなす、いわば階層型のニューロンネットワークになる。

ただ、例えば、カメラにつながるニューロンは一塊になっていて、その塊の中には大量のニューロンがあるが、そこから先につながるのはごく少数のニューロンだけ、というような形にするのが望ましいだろう。また、I/Oと直接はつながらないニューロンの塊も複数配置し、各々をまた疎結合させるようにするのがよい。

どちらかと言えば、後者が実際の脳に近いと思われる。この場合でも、学習は全体に対して行われ、塊毎に行うなどということはない。

理想は、人間と同じに教育することだ。すなわち、脳にあらかじめ全ての感覚と臓器を与えてしまう。もちろん全部シミュレータだ。そして実生活のデジタルツインの中に住まわせる。そしてしばらく放っておく。そうすると人間が出来上がる。

だがさすがにそれば無理だろうから、最初は画像だけ、音声だけで行うことになるだろう。そうすると、例えばカメラを2台使ったニューロンネットワークでは立体の認識ができるのではないか、とか、脳内に自然と言語野や視覚野ができるのではないか、とかいうことが想像できる。

最初は静止画だが動画も見せるようにしたり、何もないときでもカメラを付けっ放しにしておくということも考えられる。当然教師なし学習になるが、親が無表情だと子供が不安になって泣く、というようなことは期待できないかもしれない。アウトプットを例えば声としておいて、「ママと言ったら喜ぶ」というような反応をしてやることと共に、何らかのベースとなる知識は入れてやる必要があるように思う。

もし上手くいけば、芸術性評価や感情評価といったものができるかもしれない。そうすればいよいよ人間の脳に対する理解は深まっていくだろうし、そういった曖昧な評価軸も定量化できるかもしれない。

2017年1月20日金曜日

音声認識の応用先


Amaon Echo、Google Home、Googleアシスタント、Siri、Cortana、… 最近音声認識が話題だ。日本のそれは精度が悪く使い物にならない印象だが、英語ではかなり精度が上がっていて、そろそろ使い物になるレベルになっている。

Amazon Echoの紹介ページを見ると、音楽再生やピザの注文までできるようになっている。またインテリジェントLEDランプとのセット販売や、交換用の部屋の照明スイッチが売っていて、照明のオンオフはもうDIYでも音声で操作可能になっているようだ。

これは家庭中心の見方だが、企業側から見ると、一例として、電話受付の多くの場面で改善が望まれる。近年多くなっていたプッシュボタンを使う無機質な音声応答が、会話を中心としたインタラクティブなものに変わってくれたらと思う。ずいぶん人間的な対応になるはずだ。

電話で使えるなら窓口でも使えるはずだから、窓口がある多くの業務(役所、銀行、携帯電話、・・・)では使い出があるはずだ。将来的にはロボット対応やネット(オンライン)対応まで間口が広がる。

だが本命は、ソフトウェアのUI改善と言えるだろう。例えば、保険や役所手続きのような、条件分岐が激しく理解しづらい業務においては、メニューや入力フォームが複雑になり、よく理解しないと使いこなせない。これに音声を付け加えることで、階層化メニューからしか選べない操作が一発で出せたり、コマンドの名前を正確に覚えていなくても、類義語・同義語で検索を掛けることができるようになる。

以前の投稿「コマンドのAI解釈」ではキータイプで考えたが、音声の方が本当はしっくりしているように思う。

2019年12月20日金曜日

究極のオレデータベース


Evernoteが流行ったことがあったが、その後どうなっているのだろう。はてなブックマークも、普通に使われているのだろうか。OneNoteを使いこなしている人はどれだけいるのだろうか。自分も色々とやっているけれども、どれもしっくりこない。

欲しいのは、自分なりのデータベースなのだが、それはかっちりしたものではなく、知識集だ。本やネットサーフィン、テレビで見た、などの情報で、「あ、いいな」と思ったものを即時に記録したい。だが、その場での整理、例えばタグ付けなどは時間が惜しい。後でじっくり、と思って、なんでもかんでも記録しては、結局使わずに放置している。そのような記録が色々なレベルで溢れ、価値のある情報はやっぱり埋もれてしまっている。

ここで技術の力を借りたい、と思うのは自然なことだろう。その際に支援してほしいのは、何といってもタグ付けの技術である。それも、できるだけ深く追いかけてほしい。

究極の技術としては、眼鏡にライブカメラを仕込み、常にONにしておいて、気づいたときに「アクション」をすると、その時の情報がとりあえず記録される、というものになる。

例えば町中を歩いていて気になる看板があれば、その方向を向いて瞬きを3回する。すると、その前後10秒に映っていた全ての映像、全ての音声を記録しする。まあ最初はそこまで行かずとも、スマホで写真に撮る、動画に撮る、としたところでそれが起動するので良い。

問題はその先だ。単に映っているものが何かを解析してテキスト化するだけでは足りない。例えば看板ならそのオリジナルPDFをネットでサーチして会社やイベントまで特定し、日時場所まで調べるとか、音なら何の音か、またラジオやテレビ等の音源なら局や番組、音楽なら題名歌手歌詞まで特定する、といった調査を、できるだけ深くやってほしい。

そしてそれらをAIで分類する。つまり、過去の情報と似たような情報であることが分かるのなら、そのグループに関連付けるのだ。また、ToDoやカレンダーに入れる、連絡先に入れる、といったことも可能にする。ブックマークも同様である。それらの分類が複雑になり過ぎないように、強弱や階層化、量を調整する。この、どう抽出してどう分類してどう紐付けるか、その親切さと正確さが商品価値となるわけだ。

これは少しづつ進化していくので良い。まずはGoogleフォトに全部落とし込んでおいて、今では顔認識で分類ができているが、書類に拡大したり、場所の分析サービスを追加したり、ランドマークを識別したり、…と徐々に増やしていってほしい。Googleフォトのサービスは今のところGoogleフォトの枠から出てきていないが、これもいつか飛び出してほしい。

2017年6月2日金曜日

歴史は繰り返す


歴史を勉強する意味として、過去の愚かな過ちを繰り返さないため、というのは小さい頃に聞かされたことだが、現実問題としては歴史は繰り返す、つまり愚かな過ちは何回も起こっている。その最大のものは戦争だが、それ以外の思想弾圧や差別、テロなども同じだ。
なぜ歴史は繰り返すのかというと、歴史を単なる学問の一つとしてしか扱わず、上のような「過去の過ちを繰り返さないため」という思想がない人が大部分だからだろう。人は死に、新たな人は一から学び直さなければならないから、継続的に教育とその動機付けを行わないと、徐々にその意識は薄れ、同じ過ちをしても気付かず、戦争が起こり、反省して、振出しに戻る。一部の知識階層や歴史学者は分かっているけれども、大衆の流れは止められない。彼らにできることは、せいぜいその時間軸を伸ばすことくらいだ。
ただ、歴史が繰り返す仕組みというのは、大衆心理の観点から学問的には分かってきているはずなので、歴史そのものを学ばずとも、そういった理論からのアプローチは可能なはずだ。近年の技術の発達、特にAIやビッグデータ活用といった、従来では不可能だった大量データの知的視点での処理は、歴史学の歴史からみても画期的な向上である。
新聞社が定期的にアンケートをし、SNSでは日々のつぶやきから、大衆の心理を数値化できる。そこから戦争に至る心理を分析できれば、またそれを過去の戦争にあてはめて分析すれば、今どの程度危険かが客観的に分かる。そうすれば、単なる左翼の遠吠えと見捨てられることなく、多くの大衆に訴える危険性が見えてくるはずだ。

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使い捨てアプリとスマホの今後

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