2018年11月14日水曜日
協調するAI
複数のAIがどう接続すべきかについては、過去に何度か議論してきた。例えば「ご隠居AIとお局AI」「AIの三階層アーキテクチャ」「AGIのアーキテクチャ 」「AIがAIを創る 」「AI学習「辞書」の扱い 」「AIの次のアーキテクチャ的進化 」などだ。
接続する理由は様々だ。オブジェクト指向のように部品化や抽象化する場合もあるだろうし、法律のように基本法と個別法のような明確な上下関係があったり、会社組織のように原則的な上下関係(例外を認める)こともあるだろうし、小集団活動のように知恵の出し合いということも考えられる。その程度によって人はつながりを使い分けるのだが、上に例示したアーキテクチャでは「知恵の出し合い」に相当するものは無い。
このためのアーキテクチャは、フラットな相互接続か、調整役としてのみ働く中央制御AIかのどちらかになるのだろうと思う。拡張性を考えると後者の方が良さそうだ。問題は、個々のAIがその話し合いによってどう学習し、全体としてまたどう学習するのだろうか、というのが良く分からないところだ。
素直に考えれば、出入り口に相当するAIはどうしても必要であり、それが中央制御AIになるのであろうことは容易に想像できる。そして中央制御AIは同じ問題を全てのAIにフラットに投げ、答えを回収する。その上でその回答を統計処理し、再度投げる。これを数回繰り返し、ある程度収束したらそれを答えとして返す。つまりデルファイ法をAIでやる、というのが素直なアーキテクチャになるのではないだろうか。
単に命題に対して答えを返すだけでも大変なのに、デルファイ法を受け付けるAIを作るというのはもっと大変だ。個々のAIのアーキテクチャを考えるだけでも頭が痛いが、それでもこの方法は有効だ。例えば個々のAIは各々の専門家であって、個別の問題では個別に答え、複合問題には協調して答える、ということができるからだ。
例えばこれは総合病院、大きな法律事務所、あるいは新しい政策に対する消費者、業者、法律家の三者の話し合い、といったものを模したものになっている。協調して出した答えは、各々単独のものより極端でなく角が丸い、万人にとって妥協できるものになっているはずだ。
これには、期待できるもう一つの効果がある。個々のAIの専門性を高めることができる可能性がある、というところだ。例えば画像認識において、動物全部を識別するよりは、犬かどうかだけを識別する方が簡単ではないか、ということだ。
中央が「これは何か」と尋ねたとき、犬と猫と豚の専門家AIが居たとして、最初の集計が「犬5%、猫50%、豚90%」と出たとしたら、もう2回目以降では犬AIは休んでよい(自分は関係ない)とすることは可能だろう。一方で「犬5%、猫1%、豚0%」と出たら、今度は犬AIが張り切らなければならない。こうすれば犬AIはより鍛えられる。
デルファイ法AIアーキテクチャ(と勝手に命名したが)は、AI同士の結合を自由にする(問題に応じて専門家を選ぶイメージ)ところまで含め、大いに興味を持てるアーキテクチャだ。今後の研究を期待したい。
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