2018年6月28日木曜日

汎用エスクローサービス


エスクローとスマートコントラクトは違うようで似ている。両者を何とか結び付けられないかどうか、考えてみた。

どちらも、契約の履行とその支払いを電子的に直結し保障するシステムである。但し前者は物理的な事象(通販など)を扱い、後者では電子的な世界で閉じる。このため、前者にはどうしても中間的・中立的な存在が必要だ。これを、汎用エスクローサービスと仮置きする。

例えば通販の場合、販売者がまずエスクロー業者に品物を配達する。ここでエスクロー業者は品物を開封して確認し、注文通りのものが届いたのかをチェックする。これに合格すると、第一のスマートコントラクトが動き、エンドユーザに届いた時点で通販業者への支払いが約束される。また、エンドユーザより料金が徴収され、エスクロー業者に保留される。

次に、エスクロー業者はエンドユーザに品物を配送する。この際、配送が確認された時点で支払いが行われるよう、第二のスマートコントラクトが働く。第二のスマートコントラクトは第一のスマートコントラクトを叩くようにできている。

ここでのポイントは、エスクロー業者自体を絶対的に信用できる者と設定することだ。エンドユーザの身内代行、くらいの勢いになる。そのため、エスクロー業者は品物の確認手順書を持っていて、着いたらそれを実行する。手順書は、品物毎に標準的なものを設定する他、ユーザが指定することもできる。

例えば、SDカードのように、外観は問題なくとも、実際にデータをコピーしてみたら容量が表記と違っているとか、ブランド物のように個別に偽物の見分け方が提示されているものなどには、この手法は有効だ。一方で古美術品のような高度なチェックは難しいだろうが、そういったものはそもそも通販に向いていない。

ここですり替えが起こる可能性はもちろんゼロではないが、エスクローサービス業者は信用が命だから、手順は確実に実行するだろう。また、もしそうであっても相手は固有にならない(特定の通販業者だけが不利になることはない)。悪質な通販業者を排除することは可能だ。

さて、この仕掛けでは、必ずしもスマートコントラクトを使う必要はない。しかし、第一に、事務作業上の遅延はゼロになるし、第二に、商品がデジタルデータ(音楽、ゲームなど)の場合は確認作業は自動になる(チェックサムなど)可能性が高く、そうなるとこの手順は全自動になる。これは便利だ。

この仕掛けは、公共にも応用可能だ。差し押さえや罰金の支払い、許可認可と手数料の支払い、選挙立候補の保証金などに使えば、省力化が期待できる。

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