2018年6月5日火曜日
ロボットによる家具の組み立て用手順書
https://techable.jp/archives/75758
イケアの椅子を、AIロボットが組み立てた、というニュース。人だと10~15分掛かるところ、2台のアームロボットで20分で組み立てたという。
記事は部品の3Dイメージングによる把握やロボットの動きの計画ばかり書かれていて、組み立て手順がどう与えられていたのかが書かれていない。恐らく、イケアのあの「文字が殆どない絵だけの組み立て手順書をスキャンしただけ」では済まないのだろう。
そもそも、イケアの家具自体もコンピュータで設計されているから、組み立て手順書をイケアが作る、ということは考えられることだ。もしそれが示されるなら、画期的なことだ。組み立て手順書にQRコードが書いてあって、それをロボットが読めば、後は家のロボットが自動で組み立ててくれるわけだから。
家庭用ロボットの手順書ができるのなら、その前に工業用ロボットのための手順書ができるはずで、次にホームセンター向けの手順書ができるはずで、何れもそれは殆ど同じものであるはずだ。どういうオプションがあって実際にどう動くかは個々のロボットが自動判断するのであって、手順書自体が変わるはずはない。
そして、家具の手順があるなら、工業製品全てに適用できるはずだ。単純に組み立てだけでなく、接着剤の塗布や釘うちねじ回し、パーツのはめ込み、穴あけ切断など様々なものがあるにせよ、順次拡張していけばよい。
その手順書のフォーマットを考えてみる。まず最初に来るのは部品リストだ。部品に番号・名称を付け、数を確認する。これには工具や接着剤、シール、塗料なども含まれる。
最初の手順は、使用部品が最低一つ。これは組み立てではなく部品の加工が考えられるからだ。例えば研磨や切断切削、加熱などがある。更に、材料を伴う塗装、液侵、イオン打ち込み、メッキなどがある。イケアの場合、よく空いているはずの穴が開いていない(中途半端に加工されていたりする)があるが、意外と盲点になりうる。
使用部品二つでは、接着剤を伴う接着、両面テープを使う粘着、勘合などが考えられる。このとき、勘合には部品に適切な力を加える必要がある場合がある。ほぞをほぞ穴に差し込む場合、勘合爪がある場合などだ。その各々に、最初の状態と最終状態の説明がある。勘合した後は、それらは新たに一つの部品となる。
この際、柔らかい素材の扱いについても説明が必要になる。ソファの革張りや衣服の縫いなどがある。と、考えていくと結構色々な問題点がある。また、持ち方(保持の仕方)にも指示が必要な場合があるだろう。重量バランスや柔らかい素材、勘合のときに力を加えてよい方向などもあるからだ。
例えば、空いているはずの穴が開いていないパーツをそれと認識するために、外形だけでなくパーツに赤外線インクで番号を印刷しておく、といったことは考えられることだ。だがそれを絶対的に期待することもできない。間違えて印刷する場合も、印刷されない場合もあるだろうからだ。人間の場合は消去法で考えたりするが、同様のアルゴリズムも必要になるだろう。
このように、考えていくと結構様々な問題はある。だが、将来的なAIの発達も見越したフォーマットにすべきだから、あまり前提とする補助機能(赤外線インク番号など)があるといけない。むしろ分からないところは人間が補助してやるのを初期バージョンとしておき、順次賢くなっていくようにした方が良いだろう。
パーツ同士の組み立ては、本質的にはパラレルでよいはずだから、プログラミング言語なら並列言語が良いし、XMLも捨てがたい。自然言語ではまだ不足だろう。拡張性も含め、どんな仕様になるのか見ものである。
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