2018年11月16日金曜日
ヒューマンコンピューテーションとマネタイズ
CAPCHAというのを聞いたことがあると思う。機械ではなく人間が操作しているのだよ、ということを確認するために、OCRでは困難な乱れた文字を読ませる、というものだ。
このCHAPCHA画像は、コンピュータが自分で合成することが大部分だが、例えば郵便番号のスキャン画像を用いることも考えられる。OCRでは読めなかったが住所は読め、郵便番号が逆算できたものとして、その画像を人間が正しく読めれば、それはOCRへの正解付き学習データとなる。ここで、郵便番号が逆算できただけではダメで、番号が間違っていたり人間でも判読不能であれば、学習データにはならない。
ただの合成画像では単なる手間だったところ、こうすることで実用性が兼ねられるのであれば、手間どころかむしろ有益である。こういうものをヒューマンコンピューテーションと呼ぶらしい。
機械学習のデータを兼用する、というのは典型的な使用例だが、同様の用途として名刺のOCRだったり、動物の識別(猫か豹か、等)にも応用できるだろう。ただ、マイナーなアプリケーションでは数が集まらないから、このように双方有益というものは少なく、基本的には報酬を与えてやってもらうようなものになるのだろう。
こういうものは、もっと注意深く設計することによって、大いなる利益をもたらすはずだ。深く考える価値はある。
例えばゲームに仕込むとして、課金アイテムのゲットに取り込めば、無料化や価格低減が図れるのではないか。広告の行動解析に仕込むことも考えられないだろうか。つまり、人が自ら何かしらの行動をしようとしていて、そのちょっとした障壁に使用するのだ。
この際、ゲームと全く関係のない行動をするのでは興醒めというものだ。ダンジョンなら暗号解読、あるいはクイズ(択一問題)などが考えられる。出てきた結果が実際の機械(ゲームプログラム)にとっても分からない場合もあるが、それに合わせてゲームの内容に取り込むことも可能だろう。例えばそれが問題解決のキーワードになる、などだ。その程度であれば、基本のゲームアーキテクチャに影響を与えることなく、ユーザのヒューマンコンピューテーションにモチベーションを与えられる。
それがゲームの体裁をしていなくとも、教育コンテンツをゲームっぽくする、業務アプリケーションであっても、そういう用途をオプションとして用意することは可能だろう。あらゆるアプリケーションにそれを少しづつ埋め込むことでAIが賢くなる、社会貢献できる、そして課金が回避できるのなら、マネタイズに対する広告の次のモデルとして有効ではないだろうか。
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