2018年11月19日月曜日
役に立たない非常時用バッテリ
東北地震の前から、携帯電話を充電するための手回し発電機は持ち歩いていた。そして実際に被災し、手回し充電をやってみたところ、ぜんぜん充電できないことに愕然とした。
今、Amazonで売っているものとして、ケーター パワーボックスというものがある。手回しで5W、足こぎ式で20Wが出るとされている。しかしこれはあくまで最大出力であって、長時間出し続けられるのはせいぜいこの1/5程度、つまり1W/4W程度だろう。
これに対して、例えばSamsung Galaxy Note 9のバッテリは4000mAhだ。3.6Vと仮定すると14.4Whとなる。もし充電効率が100%だとしても、手回しなら14.4時間、足こぎなら3.6時間掛かる計算だ。実際には効率は悪いし、常に同じ出力を出し続けられるわけではないから、この1.5~2倍程度は見込むべきだろう。つまり、とても実用的には使えない。
では太陽電池ならどうか。有名なRAVPower ソーラーモバイルバッテリー 25000mAh で考えてみると、ソーラーパネルの規格は5V/300mA(最大)だそうだ。つまり1.5W。手回しとさして変わらない。25000mAhのフル充電にはいったい何日掛かるのか、計算する気も起こらない。
RAVPower ソーラーチャージャー 【3ポート / 24W】でどうか。これは、大型のバックパック全面に広がるような面積だが、この最大24Wというのは、当然真夏の正午の太陽を正面から受けた時の話であり、ただテントの上に広げておくだけのような場合には、この数分の一しか発電できない。例えば1/4なら6Wだ。足こぎ発電機とさして変わらない。しかもその間は移動できない。
スマホの超低消費電力モードのみを使うことと、元々消費電力が少ない照明(LED)やラジオに使うことを考えれば、手回しでも良い、と思うかもしれない。しかしこれも、モバイルバッテリを凌駕するものではない。モバイルバッテリを超えるのは、それを使い果たして尚、充電ができない場合のみだが、超低消費電力モードにすれば数日はもつため、その間に自宅か避難所にたどり着けないとは考えにくい。更に、それだけ時間が経っていれば、事態は多少なりとも収拾しているはずだ。
こう考えると、手回し、足こぎ、太陽電池の何れも、非常用バッテリとしては非常に心許ないものだということが分かる。モバイルバッテリを一つ持っていれば十分であり、更に可能ならば、自宅に何らかの施策(燃料式の発電機やソーラーハウス等)をしておいて、まずは自宅を目指すこと、となるだろう。
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