2018年11月26日月曜日

耐震補強の強制


新しい公共事業を起こさなくても、既存不適格の建築物を耐震補強するだけで、十分に土木業界は潤う。なぜそれをしないのか、理解に苦しむ。

ハコモノと違って話題性がない、経済波及効果がない、という反論が来そうだが、地方においてはハコモノの効果は(実態として)ゼロかマイナスであることが多く、反論としては弱い。それよりも、耐震補強業界が潤うことにはメリットがある。

それは、中小の建築業者が直接潤う点にある。大手ゼネコンの出番があまりないからだ。建物の数は小さいほど多いから、量産効果もここに効いてくる。新しい建物にもそれは安価に供給されることになり、次の大地震でも大いに効果が得られるはずだ。

既存不適格の建物に対する政策は、今はゆるゆるだ。何時まで経っても補強される見込みはない。その大きな理由は、家主の経済的事情だろう。補強に掛かる費用が捻出できない、できたとしても渋る、というところだ。そこで今では、次の大規模改築ないしは建て直しの時に強制される、という緩い基準になっている。

一方で、例えば10年以内に補修しなければ没収、などという強攻策もまた困難だ。実際にはこの中間的な施策が有効だろう。即ち、補修積立金の強制だ。

例えば、15年程度で補修が可能になる程度の額を積み立てることを強制する。保険商品との組み合わせにしても良い。耐震診断を早期にすればするほど、補修を早期にすればするほど、得になる。そういう制度だ。

こうすれば、自然に、緩やかに、建築業界は活性化するはずだ。また、保険業界にも一定の需要が見込まれる。これらには十分な経済活性化効果があるに違いない。もちろん、地震の際の被害も大いに抑えられるのだから、どこもWin-Winでいられるはずだ。

これで浮かばれないのは、津波が心配されている地域だろう。いくら耐震補強をしても、津波に襲われればどうしようもないからだ。これはこれで、別に考える必要があるのかもしれない。

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