2017年5月24日水曜日

鉄筋内蔵ブロック


別稿でも触れたとおり、ブロックを下から順に積み重ねるだけで建築ができるのなら、機械化は可能である。そのための課題となるのは、主に縦方向の構造材だ。
今のところ、構造材として認められていて、積み重ねて作れるものは、ログハウスとドームハウスだけだ。一般に使われる鉄筋コンクリート、木造軸組み、2x4、プレハブ、鉄骨などは、先に柱を作って後から壁を作る必要があるため、機械化は難しい。これを可能にする方法を考えてみた。
鉄筋を内蔵したブロックを積み重ねていく、というのがその構造だ。この鉄筋は当然、ブロックのサイズにブツ切りにされているが、その切り口にちょっとした工夫がある。その第一は、切り口同士が十分な面積をもって接触すること。第二は、その切り口には高抵抗となる素材が塗ってあること。第三は、ブロックは充填されておらず、中空になっていること。
このブロックを積み重ねた後、隣り合うブロック同士の鉄筋に電流を流すと、接合している鉄筋の切り口の抵抗素材が発熱し、溶融する。つまり電気溶接をすることになる。これを上下左右で行い、1段接合ができたら隙間にコンクリートを流し込んで固める。これを繰り返すことで建築を続ける。
切り口はブロックの切片と一致させるのではなく、少しずらしてやるとやり易いだろう。例えば上と右に少し出っ張るような形である。コンクリートは層構造になるが、元々圧縮強度を求めているので問題ない。接合部とコンクリートの層が一致しない方が強度が保てるだろう。また、天井や2階床はこの方法では作れないので、別途検討する必要がある。接合部が多数できてしまうため強度低下が懸念されるが、これは数(量)で補えばよい。
この方法にはもう一つメリットがある。コンクリートを一度に作らなくてよいので、ローマンコンクリートを使えるのだ。これなら鉄筋コンクリートの劣化を大きく抑えることが可能になる。
また、必ずしも一段づつコンクリートを充填する必要もない。単にコンクリート型枠として使うのも良し、ブロックを断熱材で作れば内外断熱が同時にできる。配筋をプロにさせなくてもよく、また長い配筋が必要ない点もメリットになる。
他にも、コンクリート柱を作るのも簡単にできるし、鉄筋でなく鉄骨で落とし込み陥合にするなど、様々なバリエーションが考えられる。

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