2017年5月4日木曜日

画像認識ID


従来、品物にIDを付けるには、QRコードやRFIDなどが使われてきた。つまり、生産者が有意に付与する必要があった。だが、これには大きな欠点が幾つかある。第一に、最初に付与されなかったものを後から識別することができない。次に、IDマークを付け替えたり汚されたりしたら不正されたり使えなくなったりする。また、自然のもの(農産物など)にシールを貼り付けるのは、人手やロボットなどの費用も掛かる。
だが、近年の画像認識の精度向上により、何もせずとも識別できるようなことができるようになる可能性がある。従来はりんごとバナナの識別くらいしかできなかったところ、品種を識別したり、更には個体を識別できるようになるかもしれない。
工業製品で且つ同じ品番のものでも、例えば服のしわや糸くずの出方や色むらによって個体識別ができるようなことも考えられる。双子が同じ服を着て同じ日に洗濯に出しても、洗いあがりがどちらのものかを識別できることになる。これを助けるために、材料や塗料に微量の赤外線反射素材や紫外線吸収剤のようなものを入れておいて、わざと均質にならないような混ぜ方をしてやることが考えられる。
IKEAやコストコなど、海外の巨大ショッピングセンターのレジでは、ベルトコンベアに自分が買ったものを並べて清算する方式のものがあるが、あれとてもバーコードを読んでいる。それにこの機能を付加してやれば、りんごのようなものであっても自動入力され、レジ打ちが必要なくなる。
他にも、硬軟取り混ぜて様々な応用が考えられる。
  • 旅行の最終日に忘れ物がないかどうかを一瞬で判断する。
  • 引越しの前後でなくなったものがないか確認する。
  • かるたやパズルのピースに不足がないか確認する。
  • 野生の動物や植物の調査で、個体識別まで行う。
  • 工事現場で、次に必要な部品を一瞬で探す。
  • 工場で、段取りや部品の仕訳をきっちり行わずとも自動でピックアップする。
  • 荷物を送るとき、適当に詰めても、取り出したら仕訳ができる。
  • 真贋判定や盗難品判定に使う。
  • 故障品修理の個体識別、保証範囲の判定に使う。改造や開封の有無を調べる。
  • 押入れや引き出しにに無造作に突っ込んでおいたものがどこにあるかを勝手に記憶しておいて、必要なときに教えてくれる。
以前提案した「監視カメラ社会」のように、ただ単に多数の監視カメラをつけておくだけで、屋内屋外問わず様々なことが分かるというのは、恐ろしいが面白いことだ。

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