2017年5月10日水曜日

細線CANDLE原発


研究中の原発の一つに、TerraPower社の進行波炉やCANDLE原発がある。核物質が棒状に加工されており、その先端で核反応を起こすと、その後ゆっくりと核反応が進み、棒の最後まで到達すると終了する。その間、ずっと一定の核分裂を続ける。
CANDLE原発の詳細はWebに譲るとして、現状では実用化されていない。こういうものは小規模でまず実験するものだが、それもされていないようだ。理由は幾つかある。その最大のものは材料で、燃料棒をどのような配合で作ればよいのか、まだ正確には分かっていない。設計をし損じると、暴走して止められないか、うんともすんとも動かない燃料棒ができてしまう。
これを確認するためには、シミュレーションばかりするのではなく実地で作ってみることだ。このためには、ごく細い糸状の燃料棒(糸)を作ってみればよい。それが暴走したとしても量が少なければ影響も小さいはずだから、放射線量の最大値を見積もって充分に細いものに仕上げればよい。
もう一つの問題として、最初の「点火」をどうするか、というものがある。従来の燃料ペレットと異なり、CANDLE原発の燃料棒は太く短い、巨大なものになる。安全な状態で格納しておいて後から制御棒を引き抜く、という手段が使えない。
これにはレーザーを使えばよいと思うのだが、燃料棒が太く短いという性質から、中央にごく小さい反応を起こしただけでは全体に熱(核分裂)が広まらない(広まるのに時間が掛かる)。CALNDLE原発の寿命は年単位であるから、必要充分な発熱が得られるまでに何ヶ月も掛かるようでは困る。かと言って、平面をいっぺんに反応させるには、燃料棒を広く露出しなければならない。
この問題を解決するには、反応の進行が速い細線燃料棒を作っておき、紡錘状に広げてやるのがよい。つまりは「核の導火線」だ。細線の広がった先にCANDLE燃料棒をくっつけておけば、最初の反応は小さく、素早く広がり、実用域に達する時間も節約できる。
最初の細線による実験で、反応速度を調節できる配合が見つかれば、将来的にこのような形状の原発ができる希望は高まるだろう。

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