2017年5月14日日曜日

関連死を防ぐ


熊本の地震では、直接の死者よりも震災関連死の人の数が3倍だったそうだ。東北では圧倒的に死者が多いが、津波の被害を差し引けば3500人という数は決して少なくない。
その内訳を見ると、70代以上が90%、また避難所での精神的肉体的疲労・ストレスに関するものが半数近くを占める。これを見ると、簡単に「震災関連死を防ぐ」と言っても難しいことが分かる。震災直後の避難所生活におけるストレスや疲労の高さは如何ともしがたいからだ。
それでも、少しでもそれを少なくしようとすれば方策は考えられる。一つは、避難所の速やかな整備と運営だ。避難所が十分に広く、プライバシーが確保され、トイレや食事や風呂の心配がなければ、そのストレスや疲労は軽減される。
この稿は技術の夢想がテーマなので、技術的観点から考えると、避難所の運営に技術を取り込むことが考えられると思う。例えば職員の負担を減らすための施策。タブレットのカメラで避難所をひとなめするだけで推定人数や年齢層、できれば人物特定までを可能にするAIとか、到着した物資を写真に撮ってその分量を一瞬で把握するとか、インタビューから文字起こしして意味解析して困窮度や具体的要求をデータ化するとか、避難所内の声や人の表情を確認してストレス度を測定する、というような技術である。
あるいは、放送やネットなどで入手可能な情報を全部ウォッチして整理し、信頼度と共に提供するシステム。それらの情報を、ローカルWiFiや地域ワンセグで再配信するシステム。物資の請求を市町村から県、国などに送るシステム、あるいはそれを受け取るシステムなどが考えられる。
また、ストレスケアとして、避難者の組織化や作業分担、ストレス軽減プログラム(体操や娯楽の提供など)を組み込んだり、交通事情に鑑みてドローンによる支援物資配送など、ハイテクで改善できる可能性は多々ある。
一つ一つは細かいことだが、避難所では普段のインフラが破壊された状態でスタートするため、どれか一つだけが突出していてもダメで、全体が少しづつ改善するのがよい。そういう意味では自治体より国が主導して研究し、OSSなどにして広く配布するのがよいと考える。

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