ミキサーの回転する刃は、ボディのモーターと物理的に接続する。その力の伝達部は当然、カップの底を貫通している。これには様々なデメリットがある。パッキンの漏れや劣化及びそれによる不衛生や漏電の恐れ、分解掃除のしにくさ、摩擦による効率の低下などだ。
この問題を解決するのに、電磁誘導の原理を用いる。回転するのは磁場で、ガラスを通して中にも連動する回転子(磁性体)を入れてやる。直接刃を廻すのも良いが、回転子自体は高速で回転するようにしておき、ギアで減速して刃を廻すことで色々とつぶしが効く設計ができる。この、回転子とギアからなるパーツは、器の底に沈めるだけで器には固定されておらず、磁石で本体に引っ張られて固定される。
この仕掛けにより、上の問題を全て解決できる。また追加でメリットが出る。それは、回転磁場を作るのにモーターが不要ということだ。電磁石を放射線状に配置して交流を流せばよいため、ここでは余計なノイズや音が出ないのだ。一方で本当に回転する刃と回転子はジュースの中に沈んでいるため、やはり音が抑制される。また故障率もぐんと下がる。
また、この回転子と刃の関係を色々変えることで、裁断だけでなく単なる攪拌にまで用途を広げることができる。回転速度の制御幅も広いので、固形物のかき混ぜ(チャーハンなど)や、単純にスープが煮詰まらないようにゆっくりかき混ぜるだけ、というような使い方すらできる。容器も用途も選ばない。食品以外、例えば塗料やセメントにも適用可能だ。
刃ではなく他のものを廻すことも可能だ。脱水籠はその一例だろう。洗濯機に応用すれば、脱水籠をカンタンに取り外して掃除できる一漕式全自動洗濯機ができる。実験で使うような遠心分離機にも応用できる。その回転の勢いで、ポテチや千枚漬け用のスライスを作る、などもできるだろう。
実は、実験用の器具に類似のものはある。フラスコを乗せる回転磁場発生装置と、フラスコの中に入れる攪拌棒の組み合わせがそれだ。本提案はこれの発展形であると言える。
0 件のコメント:
コメントを投稿