2018年6月30日土曜日

VRと教育


Oculus Goの評判がすこぶる良いらしい。2万円台だから、買えないこともない。でも買う気がとんと起きない。なぜだろうと考えてみると、欲しいコンテンツがないのだ。

これは別にOculus Goだけの話ではないのだが、殆どがゲームとアダルト3D VRで終わってしまっているのではないだろうか。これに何とかくっついてくるのがコミュニケーション(Oculus Room)だが、自分にはこの三つとも需要がない。

この他は観光地や危険スポーツ体験、瞑想などがあるようだが、何れも一度経験してしまえば終わり、次にまた使おうとも思わない。結局は箪笥の肥やしになってしまうだろう。ではどんなコンテンツなら良いのだろうか。

一つの要望は、MRであることだ。つまり日常生活において情報を補完するようなものであってほしい。これならずーっと着けていられる。もう一つは、教育である。

タブレットを使って小中学生が勉強をするようなものは既に多数出てきているが、3Dのもの、大きさを体感できるもの、現場の雰囲気を実感できるようなものはない。恐竜の世界に紛れ込むという3Dコンテンツはあったが、知識を得るものとは違っていた。動物の大きさや走る速さの体感、特に危険動物との身近な接触体験はあってよいと思う。また歴史資産を身近に感じることもできると嬉しい。旅行モノと紙一重だが、コンテンツの系統としては学習であってほしい。

歴史もVRの得意だろう。昔の建物や生活の体感、歴史的事件に居合わせる臨場感などがあれば、記憶にも留まりやすい。

海外の美術館めぐりなども、コンテンツとしてはありそうだが、今のものは作りが適当だし、解像度も足りない。もっとリアルな体験がしたい。せめてドットが見えない程度までは解像度を上げて欲しい。

危険スポーツ体験はレジャーだが、生活における危険を体感できるもの、例えば洪水、火事、強盗、テロ、ハイジャック、子供連れ去り、地震、アダルト勧誘、特殊詐欺、スリ、ガスの不始末、感電、(体育での注意事項を守らなかったための)怪我、といったものを体験してもらう。勿論間違った行動をとれば死んでしまう。

あるいは、日常ではお目に掛かれない特殊な職業、例えば高所作業、製鉄所、パイロット、潜水士、宇宙飛行士、などの職業体験も見てみたい。

究極は、3DCGの講師が出てきて、質問に答えてくれるものだ。背後には膨大な教育コンテンツが隠れていて、必要に応じて引き出し、個人の習熟度に合わせて短時間で教えてくれるものだ。これがあったら有償でも欲しいし、何回でも使いたい。

2018年6月29日金曜日

RDBとDAppsと役所仕事


ファイル保存や認証など、単発のアプリはDApps化は簡単だが、業務アプリや基幹系は相応に難しいはずだ。これをDApps化することは可能なのか、あるいは意味があるのかについて考えてみる。

これが難しい理由の一つは、トランザクションの存在である。DApps化のためには、データベース層とアプリケーション層の両方をDApps化する必要があるが、DAppsとRDBは相性が悪い。トランザクションが多発するため、分散すること自体が不利になるのだ。

BitCoinのような1取引1トランザクションなら問題は少ないのだろうが、RDBだと1取引が多数のトランザクションを誘発する。これを全てスマートコントラクトで構築しなければならないとなると、その計算時間は膨大だ。通信遅延も含め、総量がRDBの何倍必要になるか、想像することすら難しい。

これをできるだけ回避するには、RDBのR、すなわちリレーショナルな部分を破棄するしかない。もちろん完全には破棄できないから形だけの破棄となり、上位で作りこむ。本当にRが必要な部分だけをそこで書き、重要でないところでは無視する。

RDBのRの多くの部分は、計算機資源節約と整合性確保の目的で使われていて、トランザクション自体には滅多に係らない。例えば店舗のIDと正式名称などだ。これらは夜の定期メンテナンス時間に更新すればよい。

このように、業務で本質的に必要なトランザクションのみが動くようにDBをチューニングすれば、分散NoSQLでも使い物になるはずだ。

これを実現したとしても、やはり本家RDBよりは大幅に遅く、計算機資源の必要量は膨大になるだろう。そこまでして分散すべきか、というのは一つの課題である。

もちろん定性的な意味はあって、それは無停止性である。インターネットと同じく単一故障点を持たないこと、個々のノードに高性能や耐故障性(HPC等)、UPS、高速回線、セキュリティなどが必要ないこと、スケールアウトが簡単なこと(ノードを増やすだけ)、などだ。例えば国や自治体のシステム先日の東北の地震で役所が壊滅したような場合でも、情報を守ることができる。それをどれだけ評価するか、という問題だ。

2018年6月28日木曜日

汎用エスクローサービス


エスクローとスマートコントラクトは違うようで似ている。両者を何とか結び付けられないかどうか、考えてみた。

どちらも、契約の履行とその支払いを電子的に直結し保障するシステムである。但し前者は物理的な事象(通販など)を扱い、後者では電子的な世界で閉じる。このため、前者にはどうしても中間的・中立的な存在が必要だ。これを、汎用エスクローサービスと仮置きする。

例えば通販の場合、販売者がまずエスクロー業者に品物を配達する。ここでエスクロー業者は品物を開封して確認し、注文通りのものが届いたのかをチェックする。これに合格すると、第一のスマートコントラクトが動き、エンドユーザに届いた時点で通販業者への支払いが約束される。また、エンドユーザより料金が徴収され、エスクロー業者に保留される。

次に、エスクロー業者はエンドユーザに品物を配送する。この際、配送が確認された時点で支払いが行われるよう、第二のスマートコントラクトが働く。第二のスマートコントラクトは第一のスマートコントラクトを叩くようにできている。

ここでのポイントは、エスクロー業者自体を絶対的に信用できる者と設定することだ。エンドユーザの身内代行、くらいの勢いになる。そのため、エスクロー業者は品物の確認手順書を持っていて、着いたらそれを実行する。手順書は、品物毎に標準的なものを設定する他、ユーザが指定することもできる。

例えば、SDカードのように、外観は問題なくとも、実際にデータをコピーしてみたら容量が表記と違っているとか、ブランド物のように個別に偽物の見分け方が提示されているものなどには、この手法は有効だ。一方で古美術品のような高度なチェックは難しいだろうが、そういったものはそもそも通販に向いていない。

ここですり替えが起こる可能性はもちろんゼロではないが、エスクローサービス業者は信用が命だから、手順は確実に実行するだろう。また、もしそうであっても相手は固有にならない(特定の通販業者だけが不利になることはない)。悪質な通販業者を排除することは可能だ。

さて、この仕掛けでは、必ずしもスマートコントラクトを使う必要はない。しかし、第一に、事務作業上の遅延はゼロになるし、第二に、商品がデジタルデータ(音楽、ゲームなど)の場合は確認作業は自動になる(チェックサムなど)可能性が高く、そうなるとこの手順は全自動になる。これは便利だ。

この仕掛けは、公共にも応用可能だ。差し押さえや罰金の支払い、許可認可と手数料の支払い、選挙立候補の保証金などに使えば、省力化が期待できる。

2018年6月27日水曜日

ドローンヘリコプター


https://www.gizmodo.jp/2018/05/aacus-auto-pilot-military-helicopter.html

軍用ヘリが自動運転になった、というニュース。別に軍用だからといってドッグファイトができるわけでもあるまいが、それも時間の問題かもしれない。既にドローンではできてるじゃん、とは言えるのだが、こちらはGPSを使わなくてもよく、危険な場所でも着地場所を選んで降りられるのだそうだ。

ヘリコプターとドローンでは、制御はかなり異なる。ヘリコプターの方が調節が難しく、遅延もあるので、こちらの方が難しい。だからこそこのシステムの優秀さが際立つとも言えるのだが、将来的にはドローンの方が普及しそうだ。しかし完全な入れ替わりはない。

その理由はエネルギー効率や出力だ。ヘリコプターの方がエネルギー効率が高く、最大出力も大きい。エンジンが使えるためだ。速度が速く、距離が長く、急旋回など無茶も可能だ。用途限定でならドローンの出番はあるが、ヘリコプターが必要な場面もまだ残っており、軍事はその最右翼だろう。

だが、もしこれが融合したらどうだろう。つまり、メインローターはエンジンで、方向制御はモーターで行うのだ。これには大きなメリットがある。メインローターの作りが非常に単純になるのだ。

今のヘリコプターのメインローターは、ただ回転しているだけでなく、色々と角度調節をしている。テールローターは角度調節はできないが、回転速調整は行っている。これだけで姿勢制御をしているわけだ。しかし、方向制御をモーター(ドローン)で行えるなら、出力制御だけでよいことになる。

メインローターの角度調節のための機構が全部なくなれば、その構造は単純になり、重量も大幅に軽くなる。出力調整は高度の変更にのみ使い、他をモーターで行うなら、そこだけはフライ・バイ・ワイヤになり、操縦もドローン並みにシンプルになる。軍事用ヘリコプターで使っていたような重装備ではなく、ドローンの手軽さで操縦できることになる。

このドローンブレードは推力を担わないので、出力は弱くてよく、上を向いている必要もなく、数も任意でよい。機体の周囲に小さなものが3、4個、横向きについている、というものでもよいだろう。テールローターはあってもなくても良いが、その場合はドローンブレードの出力が左右異なるといったような形になるかもしれない。あるいは大型ヘリコプターのように前後二つの反転ブレードがあれば、テールローターは要らない。

また、メインローターを動かすエンジンは、当然発電も可能である。ドローンブレードのための充電式電池も小さくてよく、飛びながら充電ができるだろう。また、副次効果として、機体をあまり傾けずともよいので、乗り心地は良くなるだろう。

メインブレードの角度調節機構を節約するメリット、自動操縦が簡単になるメリットに対して、新たに姿勢制御用ドローンブレードが必要になるデメリットのどちらが優先するのかは設計してみなければ分からないが、上手くいけば、家庭用やタクシードローンの速度や稼働時間を大きく向上させることができる。検討してみる価値はあるだろう。

2018年6月26日火曜日

超音波OS


https://wired.jp/2018/05/07/ultrasonic-signals/

既に、スマホには超音波を受発信する装置(マイク、スピーカー)が備わっているので、ソフトさえあれば通信は可能である。記事にあるように、まだ標準化の類が備わっておらず、規制もないため、今は野放しの状態だ。記事では危険を煽る書き方になっているようにも読める。

但し勿論、上手に使えば有効な技術だ。単純に搬送波として使うのも良し、超指向性のような使い方もあるだろう。電波ではそう簡単ではないので、場所によって変わる情報や指示の仕方としては、超音波は即効性があり(今のスマホを使えるので)、有望だ。

となれば、OSにAPIを組み込んで汎用化すべきである、というのは自然な流れだろう。緊急地震速報のように大雑把な位置ではなく、屋内でも地下でも数m程度の誤差で場所を特定して情報提供できるのであれば、応用はいろいろある。一方でセキュリティも大事だから、その辺を規格化すればよい。

スマホにはもうAlexaのような音声認識機能は付けられるから、APIと言っても音声でも良いかもしれない。起動トリガだけにしておいて、施設からの音声案内を受け付けられるようにするとか、人間向けの音声案内を通常音波で、機械向け情報を超音波で、同時に提供する、などもできるだろう。

2018年6月25日月曜日

AI学習「辞書」の扱い


IMEの辞書にはローカルデータがあるが、AIには今のところない。これを検討すべきだ、というのが今回の主張だ。

AIを使うとき、ユーザ専用のAIを用意してユーザのデータで学習すするのか、あらかじめベンダが学習されたAIを使うのか、というのは問題だ。あまりに初期のAIがお粗末だと売り物として問題になる。そして折角ユーザデータで鍛えても、その結果はベンダにフィードバックされない。一方で、ユーザとしても自らのデータを大量に揃えるのは面倒だ。そのためにはベンダにあらかじめ学習しておいて欲しいが、そのデータはユーザ側にある。

Googleのような使い方では、ユーザデータ(検索キーワード)は全面的にGoogleに渡ってしまう。だからユーザ辞書に相当するものはない。しかし業務システムでは、この問題は重要だ。ライバル会社のデータで賢くなったものを貰えればその会社はありがたいが、そんなものをベンダ経由であっても他社に渡すというのは抵抗があるだろう。

この問題を解決するのは容易ではない。アーキテクチャを分離して、ユーザが渡してよいと思うものを(AIで?)選別し、貰えるデータはベンダAIの学習に、貰えないデータはユーザAIの学習に使い、その結果を統合する、という仕掛けが必要なのだが、AI同士をどう結びつけたらよいのか分からないのだ。

もしこの研究が上手くいけば、以前の提案「AIの三階層アーキテクチャ」の解決にも道が開ける。これを研究しているところがあるのだろうか、非常に気になる。

2018年6月24日日曜日

ハイテク置いてけぼり層


技術は相変わらずすごいスピードで進んでいるのだが、最近それを気軽に試せなくなってきている。その理由は言うまでもなく、オゼゼである。先端技術製品の値段が上がっているわけではない。生活が苦しくなってきて、同じ値段のものでも買えなくなってきているのだ。

例えば最先端のスマホを2年毎に買い換える、これだけでも相当に苦しい。VRが出てきたときに、たかだか1万円のゴーグルを買うのに散々悩む。PCは壊れるまで使う。昔はこんなことはなかったのだ。

例えばラジカセやらMDやらを買ってはメディアも箱買いしていたり、PCも15万とか20万とかのものを普通に買っていた。本も毎月十冊以上は買っていたように思う。今はとんとご無沙汰だ。

今で言えば、スマホは何とか持っているが、VRはちょっと、というレベルだろう。PCもないか、安いノート1台、という人が大半ではないだろうか。ゲーム機も昔ほど流行っていないように思える。Switchくらいが関の山で、PCゲームは一部マニアのものになってしまっている。

今後もこの傾向が続くとすると、スマホをプラットフォームとするゲームやI/Oはそこそこ流行るが、新しいハードウェアを必要とするものはあまり流行らない、ということになる。一般大衆ではなくハイソ向けになってしまい、妙に高級な、一般受けしない余計な機能がついてしまったりして、ますます疎遠になるかもしれない。

全人口の1割くらいが普通に買えて、その下の2割くらいが頑張れば何とか買えて、残りは高嶺の花、蚊帳の外、という時代が来るのかもしれない。これでは壁は無くとも、銀鉄やジャッジ・ドレッドの世界と何も変わらない。それは「自覚のないスラム」と言えるかもしれない。

2018年6月23日土曜日

ご当地ガイドMR


https://www.gizmodo.jp/2018/05/awa-sound-ar-shibuya.html

以前、音声で行き先をガイドするようなサービスは提案したことがあるが、似たようなものが登場したようだ。ユーザが指定した行き先への道案内というよりは、既存のコンテンツを場所に合わせて再生するようだ。

この、その土地が用意するという発想には、色々なメリットがありそうだ。音声でもMRでも良いが、その土地がアピールしたいことは観光やセールだけとは限らない。パーソナライズもできるだろう。地図サービス(Google Map)が提供する一律データと併せて使うことで相乗効果も出そうだ。

こういったものは、GPSデータと連動したコンテンツをGoogleに収めておくというものでも良いだろうし、上のニュースのように専用アプリでもよいのだが、結局は応用のアイデア勝負である。どんなアイデアが出るのだろう。
  • 観光案内、ポイント(スタンプ)ラリー、セール案内、位置ゲーなどは直ぐに思い付くところだ。
  • 固有の危険情報、例えば交通事故が置きやすいとかガスが溜まりやすい、夜は危険、雨の日は冠水しやすいといった情報は欲しいだろう。
  • パーソナライズとして、個人の事情により案内を変えることも考えられる。イベントがあるときは交通整理や混雑、受験日には交通遅延情報や迂回路を重点的に流す、日本人は不要だが外国人には有用な情報、盲の人が歩きやすいルート、などだ。
  • 気象や天候により変わる情報もそうだろう。雨の日には屋外イベントの情報を流してもしょうがないとか、風の強い日固有の迂回路などもあるだろう。昼と夜でも同様だ。
  • 周りに誰がいるか、どの程度いるかによっても変わる情報はある。端的には混雑してきたときの迂回情報だ。知り合いが近くに居る、などもそうだろう。
MRゴーグルを始終かけているわけには行かないが、目立たない無線イヤホンならその可能性はある。今は音楽だけだろうが、こういったものが世にあふれてくれば、ずっと付けたままにするというのはあり得る未来だ。

2018年6月22日金曜日

アバター会合


https://japanese.engadget.com/2018/05/18/oculus-go/

Oculus Goの使い心地について書いてある記事で、非常に興味深い。

電脳空間での会議の描写としては、Production IG+士郎正宗氏原作の一連のアニメが秀逸だが、あれはあくまで会議である。上の記事では、ただ仲間が集まって駄弁るような用途であり、映るのはあくまでアバター、しかも胸から上だけである。その方がむしろ気楽に会えるように思う。

テレビ電話が出始めたとき、これからは音声電話は廃れるかも、と言われたものだが、結局は廃れていない。SkypeのようなIP型になっても状況はさほど変わっていない。使う人は使うが殆どの人は音声のみだ。リアルな自分が映ることには世の多くの人は抵抗があるのだろう。

アバターはその点、ちょうど良い。いちいちVRゴーグルを被る手間や髪が乱れるのを気にする必要はあるのだろうが、生の映像を送らなくて済むから、ほぼ音声と同じプライバシーとしてよい。一方、一目で自分と分かるアバターを作ることができる。

VRゴーグルはそれなりの大きさだから持ち歩くわけには行かない。また、家電話と同じようとというわけにも行かないだろう。上の記事のように、サロン的な扱いにはなるのだろうが、その手の会合(週末の何時頃から都合のつく人が集まって駄弁る)にはもってこいだ。予約も必要ないし費用も掛からない(自前で食べ、飲む)。

これは必ずしも飲み会ではなく、緩めの定期的な会合なら同様に重宝するだろう。スマホVRとは異なり専用のVRゴーグルを使うというのも、敷居を低くする効果があり有用だ。
やっているところを外から見られると物凄く奇妙に見えるだろうから、そこは解決すべき課題と言えるだろう。

2018年6月21日木曜日

目からビームリモコン


https://japan.cnet.com/article/35119181/

コンタクトレンズからレーザービームが出せるようになった、という話題。また、自ら発光するのではなく、他のレーザー光の照射を受けて異なる波長の光を出す、というものだそうだ。この応用を考えてみたい。

別に破壊光線ではないし、照明にもならないのだから、使えるのは情報伝達である。つまりこれは、瞬きによって、視線によって、何らかの情報を伝えることができる、ということになる。そして他のレーザー照射を受けなければならない都合上、HMDかグラス型デバイスが必要になるはずだ。

更には、グラスに仕掛けが必要な以上は、グラスで瞬きを検知することなど他の手段でもできるのだから、それができないようなグラス(の事情)が必要である。また、検出するのはグラスではなく遠方かもしれない、ということもあるだろう。

これを纏めるとこうなる。まず、グラス型デバイスはレーザーダイオードと電池がある以外は何も機能がない、というような、ごく軽く薄く、デザイン性に富むものである。つまり普段使いできるもの、ということになる。普段はオフにしておき、使うときにちょっとタップして、後は視線と瞬きで使う。バッテリ容量が許せば常時オンでも良いのだが、ちょっと心理的には気持ち悪いだろう。

次に、グラスには検出機能はないので、受け取るのは遠方の機械だ。視線を伴う必要があるということは、その機械の方を向いて1、2秒保持し、機械が認識したら瞬きする、というものになる。つまり、これはリモコンだ。

波長と瞬きでフィルタリングすることで誤動作を防ぐ、というようにしておけば良いだろう。また、伝えられる情報は限られるので、複雑なことはできない。例えば音声認識起動して後は音声にするか、視線だけで閉じる簡単なものに限られるだろう。

音声認識に対する利点は、まさに声を出さなくて良い点だ。だから、例えば美術館で解説を聞きたい時にイヤホンの起動用にするとか、銀行強盗に遭ったときの(こっそり)通報用とか、音楽の切り替えに声を出すのが無粋だとか、舞台の演出のタイミングに使うとか、それなりに重宝する用途は思いつくことができる。

2018年6月20日水曜日

AIにおける「低評価」ボタン


「いいね!」ボタンに対する「悪いね!」ボタンというのは、幾つかのソーシャルメディアには存在している。これによって極端な発言が表示されなくなり、また「いいね!」が多いものが上位に表示されるようになれば、質の向上が図れる、ということになっている。

MicrosoftのAI「Tay」が、初期のフェーズで悪意に満ちた発言を学習して閉鎖した問題からもう結構経つが、こういった好ましくない学習をしてしまった場合に、今のAIではリセットするしか道はないのだろうか、というのが疑問に思う。

Tayの場合は初期ユーザの悪ふざけが原因だったのだが、サンプル数が少ない状態ではこういうことは起こり得る。しかしある程度対象者が増え、更に低評価ボタンでその人たちに監視されているとすれば、極端なことは確実に避けられるはずだ。これはエントロピーの法則にも似ていて、確実性が高い。

正解あり学習の「正解」「間違い」とは異なり、低評価=間違いではないので、実装が同じではいけない。もちろん高評価=正解でもない。ただ、それほどアーキテクチャ的な困難さはないと思う。既にそういったソーシャルメディアが行っていることとさほど変わらないからだ。

つまり、既にあるソーシャルメディアに対してAIが投稿する、その評価を見てAIが投稿内容を修正する(低評価が出ないように、高評価が出るように)、という構図になるのだろう。漫然と雑談をするのではなく、Q&Aサイトのようなものにこれを適用すれば、それは「良い教師」のように疑問に答えてくれるAIになっていくのだろう。

Googleアシスタントに既にあるではないか、というのはある種正しいのだが、Q&Aサイトには回答がいくつもあって、高評価も低評価もする人を選べる。つまりGoogleアシスタントにも様々な知識・性格のAIがあって、一つの質問に対して何人(何体?)ものAIが答えを返し、それを評価する、というのがあっても良いように思う。

2018年6月19日火曜日

サハラ砂漠は人間が作った


http://www.excite.co.jp/News/odd/Tocana_201703_post_12651.html

耕作のために草を飼ったのが原因で土が乾き、気候が変わってしまった、というのがその主張。ダストボウルはその一例だそうだ。砂漠化の解説にも似たような記述がある。逆に、砂漠緑化は大変そうだ。何せ広いのでカネが掛かる。木を植えても直ぐに枯れてしまう。

ここでは、砂漠緑化の方法を考えてみる。最初に植えるのは、枯れない木、即ち人工の木だ。実際には植えなくてもよい。そこにあればよい。その木で何をするのかというと、大きくは二つある。一つは日陰を作ること。もう一つは水を作ることだ。

乾燥した空気からでも水を作り出す技術、というのは、あちこちで研究されている。例えば

http://news.mynavi.jp/news/2017/04/20/052/

がそうだ。人工の木にこの装置を設置し、日陰に水を撒く。この木を、例えば半径百メートルの円状の砂漠に建ててやると、中央部に向かうほど気温は低く、湿度は高くなるだろう。

そうなったら中央部から順に、本物の木を植林をしてやる。これが育つにつれ、様子を見ながら人工の木を少し外側に移動する。これを繰り返してやり、百年単位で砂漠緑化を行う。

このために使う人工の木は、枯れ木に人工の葉をつけただけのもので充分だ。水生成装置の方は高いだろうから、予算はむしろこちらに左右されることになるだろう。

ただ、砂漠には栄養がないから、単純に植物を植えても育たないだろう。これを解決するために少し計画を修正してみる。人工の木は日陰を作るためだけに使うものとして、その中央部には生ごみを投棄し続ける。

生ごみには湿気と栄養価があるから、何かしらの植物が成長することはできるだろう。できれば水も欲しいが、これも汚水でよい。ある程度生ごみが溜まれば奥は保湿できるから、汚水が必須かどうかは分からない。生ごみの中には植物の種や虫の卵が混じっているはずだから、その中で最初は乾燥に強いものが育ち、それに伴って虫が育ち、何れは背の高い植物も育ってくるはずだ。

そうしたら人工の木の役割は終わりである。中央の木をどけて周辺に少しずらしてやる。ある程度の広さができれば、生ごみの投入はもはや必要ない。これを繰り返せば、徐々に砂漠は緑化していくだろう。

2018年6月18日月曜日

保証人から保険へ


家を借りる際に連帯保証人を要求するのは日本の習慣だが、連帯保証人というのは非常に強い保証であり、この程度のことで要求するのはやりすぎである。しばしばトラブルも聞く。これに対抗して保証人代行サービスというものも出てきているが、これもまた変な話だ。なぜ素直に保険にしないのだろう。

もちろん、連帯保証人と保険では、保証される上限は異なる。が、そもそも連帯保証人が厳しすぎるのであって、それを言い訳にするのはおかしい。

保険会社が不動産業界と連携して、そういうサービスを立ち上げてみても良いのではないかと思う。今は連帯保証人を頼んでいる人でも、相手に気まずい思いをしている人だっているはずだ。保険料を自動車保険のように可変にすれば、保険会社だってリスク計算は可能だろう。例えば家賃の10%を上限にするなど何らかの規制は必要にしても、四方丸く収まるような気がする。

そして、賃貸だけでなく、あらゆる保証人は保険に移行することを検討すべきだと思う。

2018年6月17日日曜日

無線ナンバープレート


今や至るところに監視カメラがあり、スマホにもカメラがついている時代だ。ナンバープレートを晒しているのは、自分が何処にいるのかを晒しているのと変わりない、と心配する向きも出てきているのではないか。

プライバシーは大事だが、ナンバープレートはなくせない。そんな時には、人間が読みにくく、機械可読であっても暗号化されている、というナンバープレートが必要になるかもしれない。例えば無線や超音波でのビーコン、QRコードやバーコードでの表示、などだ。一旦機械に入ってしまえば、その先は正しい目的かどうかで解読可否が決められるような仕掛けを入れれば、プライバシーを保つことができる。

ビッグデータの活用としてもこれは有効だ。暗号化したまま、ないしは暗号の仕掛けを駆使してプライバシーを保ったまま統計データを取ったりトレースしたりできれば、社会効率の向上に役立てられるだろう。

一方で、事故事件の目撃情報としては不利になる。このため、例えば衝撃を検知した時点で暗号化が解除になるとか、記録だけはしておいて後から追えるようにするような仕掛けが追加で必要になるかもしれない。

2018年6月16日土曜日

RPAは正しい選択なのか


RPAが花盛りだ。デファクトスタンダードがまだないので、多くの会社が参入し、乱戦状態である。

しかし、そもそもRPAは正しい選択肢なのか、という疑問は沸く。そもそもプログラムでできるものではないのだろうか。素人が作れば、多くの場合は上手く動いても、ひとたびエラーが出ればたちまち対応不可になってしまわないだろうか。仕様が変わったらとたんに動かなくなり、業務が停滞してしまわないだろうか。

もう20年以上前だと思うが、今のRPAと同様の仕掛けを提案したことがある。そのときの目的は、仕様書がないか不明確でAPIがないシステムとの連係動作だった。自動化するに当たってAPIがないことがネックになっていたシステムに対し、最低限画面で連携すれば繋がるはずだ、だからそれで行う、というのがその理由だ。

今流行っているRPAの意義はもっと単純なもので、単にパンチャーの役割を減らそうとしているだけのように思える。単純な話、APIがあったとしてもそれを無視して画面で繋ごうとしているように思える。カネを出せば作れるかもしれないのに、それをケチって現場で何とかしよう、という意図が透けて見える。

もしそうすれば、上に出たような危険は排除できない。効率が良くなった分仕事を詰め込まれれば、ある日突然大事故を引き起こす。そのときにババを引く(責任を取らされる)のは現場だ。

だからこそ、である。RPAを使おうが使うまいが、自動化するならばその品質管理はきちっとやるべきなのだ。評価し、テストし、保守をする。普通のプログラムと同じに扱うだけだ。

であるなら、RPAを使う理由はそもそもあるのか、というところに落ち着く。下手に素人が触れると、勝手に改造されたりコピーして流用されたりすれば収拾がつかなくなる。

先の提示のように、APIがないシステムの結合だけをRPAに任せ、それ以外は各々のシステムのスクリプトなどで解決するべきではないか。更にはRPA画面をユーザに見えるのではなく、APIの一種として位置付け、仮想マシンとして内部で使用するだけに留めるべきではないか。

2018年6月15日金曜日

SpotMiniの使い方


https://japanese.engadget.com/2018/05/11/spotmini-2019-100/

犬型四脚ロボット、SpotMiniの量産化のニュースだ。

ボストンダイナミクスは監視(見回り)用途を提案している。しかしこれをそんな詰まらないものに使うのはもったいない。どんな用途があるか、考えてみたい。
  1. 盲導犬。
  2. ペットとして遊ぶ。棒切れを投げて取ってこさせる、など。
  3. ランニングのペースメーカーとして。
  4. 出かける際の従者として。軽い荷物は持たせる。
  5. お使いをさせる。
  6. 簡単な召し使いとして。新聞を取ってこさせる、荷物を受け取って印を押させる、階下で物音がしたら様子を見に行かせるなど。
  7. 子供の出迎え。学校や塾など。
  8. 留守番。
  9. 他のペット(生きている方)の世話係。
  10. 火事などの危険を知らせ、寝ていたら起こす。
他にもまだまだあるだろう。各々にはプログラミングが必要なはずだ。是非多数のバリエーションを見てみたいものだ。

2018年6月14日木曜日

コーディング支援AI


開発環境は、今までも進化してきた。これを拡張して、コーディング支援にAIを使うという流れは、出てきてもよいように思う。

例えば、フレームワークにおいて仮のコードを置いているのを忘れないようにするとか、セキュリティやエラー処理のコードを自動で挿入するとか、ループのネストを常時チェックするとかいったものだ。あるいはPM的なアシストも考えられる。何回も同じコードを流しているのを見て、デバッグを行っているのだと感知して手助けする、進捗が大きく遅れたら再配分を提案する、などだ。

また、ソースの整形や方針統一(変数や関数の命名規則など)を自動で検知して修正を提案するとか、ソース分割やサブルーチン化の粒度を調節する、共通ルーチンを見つけて統合を提案する、なども考えられる。

恐らくこういったことの一つ一つは別のAIで、それらが自分のカテゴリでコーディングの動きを見張っているような形になると思われる。どの程度の精度のAIができるのか、親切とおせっかいの度数調節などと課題はあるにせよ、AI自体の仕掛けとしては比較的単純で、目標と学習データがあれば比較的簡単に作れそうな気がする。

2018年6月13日水曜日

電話への回帰


Google I/O 2018の発表は、どれも凄まじかった。とりわけ驚いたのはGoole Duplexだ。
Googleアシスタントが人間の代理で電話を掛け、人間を相手に美容室の予約をするデモがある。文字だけでは伝わらないと思うので、是非音声で聞いて実感して欲しい。

https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1120746.html

本当に文字起こししてでも伝えたい感動である。相手は本物の人間と勘違いしたかも知れない、というくらい自然だ。

このままでも十分使い物になると思うが、これが配信されるようになったら必ず起こるのが、Googleアシスタント同士での会話だろう。

勿論最初は冗談で行うのだろうが、精度が高ければ当然実用化へと話は進む。そこで考えられるのは、受信側の機能だ。

このデモは美容院の予約だったわけだが、もしこれが受信側なら、当然予約管理システムとの接続が必要になる。そして予約システムができるなら他のシステムだってできるはずだ。

現状の発表では、ここはまだ何もできていない。しかしこうなるなら、電話が機械と人間で兼用できるから、むしろインターフェースが統一される(元に戻る)、というよく分からない現象が起きるかもしれない。

今、企業間のチャットというのはまだあまり普及していないと思う。SMSも同様だ。この背景には、SMSが固定電話には存在しないことと、チャットが汎用性のあるものではない(特定の企業に依存している)、というものがあるのだろう。

チャットが音声電話を通じて行えるなら、この問題は解決する。しかも機械同士がチャットするのであれば、例えば高速化(超早口)は可能だろうから、回線を占有することも少ない。自然人からの電話はそのまま受け、AI秘書からの電話は高速でやり取りする、ということもできる。

更には、AI秘書同士のやり取りを聞きつつ、主人(人間)が話の方向性に修正を加えるようなことも可能だろう。美容室の例なら、予約が一杯だった場合の次善策を適宜人間に問い合わせる、というようなものだ。これも人間の秘書なら普通に行うことだ。

聞けば、Google Duplexは相当高度な作りこみをしているようで、AIで学習すれば一発、というようなものではないようだ。そういう意味では実用化はまだ先だろうが、大いに期待したい。

2018年6月12日火曜日

復興支援報告書批判


http://www.reconstruction.go.jp/topics/m18/04/20180409160607.html

復興庁が出した、東日本大震災における復興支援の報告書だ。

ざっと読んだが、よくある役所の成果報告書という感じで、タイトルからして「事例に学ぶ~」となっている。「ふーん」とは思うが、せいぜい心得として記憶に止めておく程度で、あまり積極的に活用しようという気にはならなかった。

「事例に学ぶ」ではなく、「ガイドライン」や「計画支援」であれば、それなりの視点はあっただろう。例えばコスト見積り(カネ、支援物資、物流、人員数及びそれらのステージ毎の推移)だ。とりあえず職員を全員叩き起こせ、ではなく、ステージ毎に外部の支援を募るとかその体制とかを論じるところがあっても良かっただろう。

あるいはチェック項目ないしはその分類と規模感が分かるものがあっても良かった。ケアが必要な重病患者の人口比や、交通が遮断された場合の影響度の調査方法は重要だろうし、その補完にどんな方法があり、各々の特徴が分かるようにしておけば、それを見るだけで計画は随分楽になる。

こういったものは、個々の事例よりも俯瞰・分析が重要である。次の報告書では、ぜひそこを重点的に分析して欲しいものだ。

2018年6月11日月曜日

調理言語とAI状態認識


https://jp.techcrunch.com/2018/05/08/cookpad-oicy/
https://info.cookpad.com/pr/news/press_2018_0508

クックパッドのレシピを機械可読形式に変換して提供するサービスだそうだ。これは興味深い。同時に発表された「Oicy Taste」も気になる。

調理家電に関しては、過去何回か言及している。だがレシピの標準化に関しては特に指摘していなかったように記憶している。そこへこれだ。

これは一種の「調理言語」と言える。このフォーマットは気になるところだ。料理のレシピといえば、従来の技術では、形式化可能か不可能か、ぎりぎりのところにあったと言える。

例えば材料のサイズ、重量のバラエティに対する対応だ。たまねぎ一個と言っても、小と大では体積がぜんぜん違うし、中半分と言われた場合に大の半分が残っていたらどうしよう、全部使い切ってしまうか微妙に残すかの判断は人それぞれだ。

また、家庭にある調理家電・器具の能力は異なる。同じ電子レンジでも、最大出力が異なったり精度が悪かったり、自動調節機能が違っていたり。なべ一つ、フライパン一つとっても、同じ火力でも温まり方が異なったりする。

また、調理の仕方も曖昧だ。「よく混ぜる」「角が立つまで」「きつね色になったら」「つまようじを刺して・・・」という一つ一つの言葉の解釈が、機械には困難だ。

クックパッドが提唱するこの「機械で読み取れる形式」たる「MRR」(Machine Readable Recipe)だが、本家ニュースリリースを見ても全く情報がない。心配なのは、これらを見据えた高度な拡張性を考慮したものになっているのかどうかだが、まああまり期待し過ぎるのは可愛そうだ。まずは第一歩として評価すべきだろう。

もし、従来型の言語、例えば計量をきっちりして温度を調節しながら何分混ぜる、といった方式であると、失敗する。従来でも、例えば電子レンジのレシピをそのまま実行すると失敗することの方が多い。自分で微妙な試行錯誤が必要だ。

料理の言語は本来、「~の状態になったら次に移行」という形式をとるべきだ。そしてその状態は、従来は記述はできても機械での実行はほぼ不可能だった。

しかし、もし調理家電に各種センサがあって、これらを認識するAIがあれば、そういった記述があっても調理が可能になる。「きつね色」「角が立つ」「爪楊枝を刺して赤みがなくなる」「沸騰する」「吹きこぼれそうになる」「しんなりする」「煮汁が半分くらいになる」などが機械に分かるようになれば、全自動調理も夢ではない。

クックパッドにここまで求めるのは酷だが、逆にこれは調理家電メーカーにとって大きなチャンスでもある。材料の量によって調理時間を微妙に調節する必要がある、という、従来の調理家電における根本的な欠点を、一気に解決することができるからだ。

本来ならパナソニックやシャープにがんばって欲しいところだが、今で言うなら韓国、中国勢の方が望みがあるかもしれない。いずれにしても自社で閉じることなく、世界標準を目指して考えて欲しいところだ。

2018年6月10日日曜日

超指向性電波


超指向性スピーカーというものがある。超音波を搬送波として通常の音波を信号波として乗せると、超音波の特性である指向性、つまり音の広がりを抑えて狭い範囲に遠くまで届くという特性を持たせつつ、普通に耳で聞こえる音声を届かせることができる。

これを電波でできないだろうか、というのが今回の提案である。例えばテラヘルツ波にラジオ波を乗せるわけだ。

なぜそんな面倒なことをするのかと言うと、受信機の構造は周波数が低い方が簡単にできるのだ。それこそ鉱石ラジオでも受信可能になる。それでいて届く範囲は狭く、遠くまで届く。もちろん出力はその分低くて良い。

電波の出力が小さくてよいということは、放送免許の要否にも関係する。免許がなくても遠くまで届く放送ができるのなら、それ以外にも様々な使い方が考えられるのではないか。

超指向性スピーカーと同じく、発信側はフェイズドアレイアンテナを使えば、任意の位置にピンポイントに情報を届けられる。これを利用して、例えば小さな船でもAMラジオの設置くらいは義務付けられるだろうからそうするとして、陸から船を特定して放送を流してやる、というようなことはできるだろう。

他にも、館内放送の無線化、マラソンランナーへの告知、防災放送の充実などへの応用も考えられる。

2018年6月9日土曜日

AIによる新ビジネス支援


新しいアイデアがあっても、それをビジネス化するのは難しい。ここにはビジネスセンスとでも言うべき能力が必要だ。起業の9割は5年以内に破綻するが、その大きな原因はここにある。

この能力は従来暗黙知であり、教えることは難しかった。従来であれば、銀行やエンジェルのアドバイスくらいしかなかったろう。しかしもしここにAIが入ったら、例えば起業の6割が10年生き残ることができるとしたらどうだろう。これは画期的ではないか。

これは一見難しそうに思えるが、例えば経理面からのセオリー(財務三表の読み方、及びその時系列)くらいから攻めればどうだろう。例えばfreeeのように出納を一元化するサービスと連動しておけばよいのではないか。

問題になるのは、通常運転ではなく、立ち上がりの急速な変化に対応するところだ。例えば上のfreeeなら、顧問税理士に経営健全性を診断してもらうようなサービスは今でも可能だが、ベンチャーの場合は年に一回の診断では遅すぎるし、立ち上がり特有の無理をすることだってあるはずだ。経理に反映されない、例えば幹部の打ち合わせの声のトーン(感情分析など)も、立ち上がり初期においては重要だ。

これは財務だけではなく、例えば社員の動き、メールのやり取りなど、様々な行動をデータ化して総合的に診断する方が精度が高いだろう。小さい会社なら、その全てを把握して全部AIにぶち込むことが可能だ。そうすれば今まで見えてこなかった「生き残りの秘策」が見えてくるかもしれない。

惜しむらくは、いきなり精度の良いサービスにはならないことだ。学習データがないからである。最初は無料で始め、徐々に精度を上げていく必要があるが、そうなると大きな投資が必要であり、大企業しか対応できない。そういう大企業が現れてきてくれるものかどうか。

2018年6月8日金曜日

CNFの飛躍


イギリスが、使い捨てプラスチックの禁止を決めたそうだ。

マイクロプラスチック、プラスチックビーズの問題は長らく解決策が見出されなかったが、これはその第一歩として評価できる。これが評価できる理由は、まさかそこまでするとは思わなかったからだ。

今や使い捨てプラスチックは便利過ぎて、ここまで大鉈を振るうことは想像できなかった。イギリスができるのなら他の国だってできるはずだ。また、そうなれば代替物産業が盛んになること請け合いである。何が盛んになるのだろう。

使い捨てが認められるのは、恐らくは木や紙などの植物性繊維であろう。もし生分解性/バイオマスプラスチックまで含めてしまったら、再生可能は実現できてもマイクロプラスチックの問題は解決できない。

しかし、木や紙は透明ではないので、透明性を要求される一部の用途では使用に耐えない。透明な植物性繊維として、セルロースナノファイバー(CNF)があるが、これはまだ実用域にない。例えば防湿性がなく、形状安定性も弱い。

透明性を要求される樹脂の用途として、PETボトルの代替があるが、それ以外に重要なのがPTPP包装がある。どちらも必須というわけではないので、当面は不透明なもので代替するのだろうが、食品包装(コンビニおにぎりやサンドイッチ)においては致命的だ。

湿気を防ぐには、複合材料化が必要である。しかし樹脂と混ぜることはこの主旨に合わない。アルミを貼る、ないしは蒸着することはできるが、これでは透明にならないし、再生可能性が落ちる。

セルロースナノファイバーを作るときに分離されるリグニンなどの樹脂成分を蒸着させる方法が開発されれば、かなり透明性は劣るが透湿性のあるものが作れるような気がする。他にも生分解性のある (本当にある)透明材料を探して貼り合せる、といった研究が進むのではないか。

2018年6月7日木曜日

出張修理ロボット


匠の技術継承にVRが使われている、という話を最近よく聞く。それはそれで良いとしても、実際に現地に行くのが「人」という前提でよいのか、というのは疑問に残る。

地方創生の問題点の一つは、言うまでもなく効率だ。機械が故障したときに備えて全国にサービス拠点を配置するのは良いとして、その拠点に(VRで教育した)優秀な技術者を何人配置すればよいのか、というのは問題だ。コストに直結するからだ。

売れ行きに比例して業務が増えるから、人口が少ないところほど非効率になる、というのは自明の理だ。また、ゼロ人にするわけにはいかないが、一人では365/24対応は無理だ。電話サポートなどでは可能なことが、実務が発生するサポートではできない。

そこで登場するのが、遠隔操縦ロボットである。5G通信を搭載する手先が器用なロボットを拠点に配置し、電話サポートと同様に技術者を集中して管理する。

手先をいかに上手く動かせるか、感覚がいかに自然にできるかは課題だが、それでも技術的には不可能ではないし、徐々に向上できる性質のものになるはずだ。

ロボットが訪問するというのはちょっとシュールすぎる展開だが、初期にはVRカメラを着けたアルバイトでも良いだろう。その場合は音声指示がものすごくなるし、アルバイトとて全くの素人ではダメだが、それでも人件費は半減できるはずだ。

自動車・家電・コンピュータ等の修理及び保守において、この優位性が発揮されるだろう。修理にリアルタイム性が得られるとなれば、地方進出への抵抗感も減り、新しい需要を掘り起こすことも、地域への貢献もできるようになるだろう。

2018年6月6日水曜日

ドローンと無線給電


今の無線給電はあまり遠くまで飛ばないが、それでも数mの無線給電が可能な技術は既にある。もっと特化することで距離を稼ぐことも可能だろう。これをドローンで受けられるようにすれば、すなわち何時間でも空中に浮いていられることになる。

ドローンが幾らでも長く飛んでいられるとすると、従来とは違った応用が考えられるはずだ。例えばこんなものだ。
  1. 永遠に巡回する監視ドローン。人が行えばそれなりの人件費が掛かるが、ドローンなら画像解析と合わせて相当低コストに実現できる。監視カメラをいちいち設置するより安いかもしれない。また、建築途中の建築現場など、状況がどんどん変わる場合に便利だ。
  2. 追跡ドローン。マラソン中継など、通常のドローンの活動限界を超えた長時間の追跡ができる。また、電柱など街の各地に無線給電器を設置しておいて、容疑者の逃走を追う、などが可能になる。
  3. 高所監視。高い建物がない開けたところで連続的な監視ができる。野外フェス会場の警備など。
  4. 子供が公園で遊ぶのを監視する。飽きて帰るまで何時間でも付き合う。塾通いのお供をする。
  5. 買い物に付き合って、先に荷物を持って帰ってもらう。
  6. 無線LAN・携帯電話のアクセスポイント。従来は気球で提案されていたものだが、ドローンにすることでより低空・高密度に行うことができる。また機動的な展開が可能であると共に、気球より強風に耐えられる(ように作る)。
  7. パワーのあるドローン。電池容量が少なくとも長時間動かせるため、より軽く、より強くなる。重い荷物を持てる、高速で移動できる、同じパワーで小さくできるなど。
  8. 遠距離給電運用。レーザー光線追跡などで個別対応できる場合、中継器がなくても長距離を運用できる。海上をまたぐ運用など。
  9. 雑用ドローン。いちいち給電スポットに戻ることなく、その場で待機して仕事を待つ。
  10. 位置自在XX。
    1. キャンプなどで任意の位置(空中)にプロジェクターを配置する。映像は無線で送る。
    2. 空中にディスプレイを保持する。寝転んでテレビを見る、トイレや寝室にも着いて廻る、など。
    3. 手にタバコを取ると素早くライターを差し出してくれる。
    4. 食事のサーブをしてくれる。飲み物が減るとすかさず補充してくれる。わんこそばの素早い補給。
こう考えてみると、ドローンの滞空時間が短いために我慢していたことって意外と多いかもしれない。空中給電とドローンの組み合わせ、侮り難し。

2018年6月5日火曜日

ロボットによる家具の組み立て用手順書


https://techable.jp/archives/75758

イケアの椅子を、AIロボットが組み立てた、というニュース。人だと10~15分掛かるところ、2台のアームロボットで20分で組み立てたという。

記事は部品の3Dイメージングによる把握やロボットの動きの計画ばかり書かれていて、組み立て手順がどう与えられていたのかが書かれていない。恐らく、イケアのあの「文字が殆どない絵だけの組み立て手順書をスキャンしただけ」では済まないのだろう。

そもそも、イケアの家具自体もコンピュータで設計されているから、組み立て手順書をイケアが作る、ということは考えられることだ。もしそれが示されるなら、画期的なことだ。組み立て手順書にQRコードが書いてあって、それをロボットが読めば、後は家のロボットが自動で組み立ててくれるわけだから。

家庭用ロボットの手順書ができるのなら、その前に工業用ロボットのための手順書ができるはずで、次にホームセンター向けの手順書ができるはずで、何れもそれは殆ど同じものであるはずだ。どういうオプションがあって実際にどう動くかは個々のロボットが自動判断するのであって、手順書自体が変わるはずはない。

そして、家具の手順があるなら、工業製品全てに適用できるはずだ。単純に組み立てだけでなく、接着剤の塗布や釘うちねじ回し、パーツのはめ込み、穴あけ切断など様々なものがあるにせよ、順次拡張していけばよい。

その手順書のフォーマットを考えてみる。まず最初に来るのは部品リストだ。部品に番号・名称を付け、数を確認する。これには工具や接着剤、シール、塗料なども含まれる。
最初の手順は、使用部品が最低一つ。これは組み立てではなく部品の加工が考えられるからだ。例えば研磨や切断切削、加熱などがある。更に、材料を伴う塗装、液侵、イオン打ち込み、メッキなどがある。イケアの場合、よく空いているはずの穴が開いていない(中途半端に加工されていたりする)があるが、意外と盲点になりうる。

使用部品二つでは、接着剤を伴う接着、両面テープを使う粘着、勘合などが考えられる。このとき、勘合には部品に適切な力を加える必要がある場合がある。ほぞをほぞ穴に差し込む場合、勘合爪がある場合などだ。その各々に、最初の状態と最終状態の説明がある。勘合した後は、それらは新たに一つの部品となる。

この際、柔らかい素材の扱いについても説明が必要になる。ソファの革張りや衣服の縫いなどがある。と、考えていくと結構色々な問題点がある。また、持ち方(保持の仕方)にも指示が必要な場合があるだろう。重量バランスや柔らかい素材、勘合のときに力を加えてよい方向などもあるからだ。

例えば、空いているはずの穴が開いていないパーツをそれと認識するために、外形だけでなくパーツに赤外線インクで番号を印刷しておく、といったことは考えられることだ。だがそれを絶対的に期待することもできない。間違えて印刷する場合も、印刷されない場合もあるだろうからだ。人間の場合は消去法で考えたりするが、同様のアルゴリズムも必要になるだろう。

このように、考えていくと結構様々な問題はある。だが、将来的なAIの発達も見越したフォーマットにすべきだから、あまり前提とする補助機能(赤外線インク番号など)があるといけない。むしろ分からないところは人間が補助してやるのを初期バージョンとしておき、順次賢くなっていくようにした方が良いだろう。

パーツ同士の組み立ては、本質的にはパラレルでよいはずだから、プログラミング言語なら並列言語が良いし、XMLも捨てがたい。自然言語ではまだ不足だろう。拡張性も含め、どんな仕様になるのか見ものである。

2018年6月4日月曜日

ハイテク吸着マット


吸着や粘着でモノを固定するマットの中には、吸着や粘着が弱るとモノが落ちて危険な状態で使用するものもある。例えばスマホやタブレットを車内で使用するものなどがそうだ。これらを使う人の気持ちを理解できないのだが、敢えて考えれば「短時間だから」「たぶん大丈夫」「落ちても対処できる」などかな、と思う。

しかしこれが、例えば40インチのテレビを壁に粘着させる、となれば、当然話は別だ。金具で固定すればいいじゃん、という輩には、では賃貸の場合は、と問う。タブレットでも10インチ以上のものなら落として割れば相当の被害だ。だから従来、こういったものには「使わない」のが常識だった。

だが、そこへIoTが登場することで、新たな可能性が見えてくる。つまり、粘着が取れそうな時に警告してくれるのなら対処ができる、ということだ。例えば粘着剤を水玉状に多数配置しておいて、粘着力の強さを様々に変えてランダムに配置すると、弱いものから順に剥がれていくはずだ。この状況をモニタし、解析し、アラームを出せばよいことになる。

電池だけでやるにはちょっと心許ないが、粘着させる機器が電化製品なら、そこからちょっと分けてもらう、ということができる。太陽電池でも良いだろう。それにLPWAを組み合わせればよい。単純に何個以上剥がれたらアラーム、でも良いし、上の1列が全部剥がれたらアラーム、でも良い。それには重さや剥がれる速度等、色々なファクターが考えられ、適切なアラームを出すにはそこそこノウハウが求められる。AI解析までいってもおかしくない。

あるいは、1枚の大きなものでなくとも、10cm画のシート10枚セット、などでも良いかもしれない。ちょっとプログラム上の工夫は必要だが、これらは連携して警告を出すことが可能だし、別々に使っても良い。

警告が適切なら、むやみに強い粘着力を出す必要はないし、マジックテープのようなものでも応用できるだろう。世の中の多くの固定器具がこれに置き換わっていくことも想像できるし、今まで固定できなかったものが固定できるようになるのを色々想像するのも楽しい。

2018年6月3日日曜日

豊聡耳神子


人間ではできないことも機械ならできる。これなら機械を使うことに異論はなかろう。多数の人の声を聞き分けることは、その一つだ。

実際のところ、Amazon Echoなどのスマートスピーカーには多数のマイクが付いていて、音源の向きを聞き分けるという。音源が分離できれば、複数の人物が同時に喋ることを聞き分けることは可能だろう。

一方で、超指向性スピーカーを使うことで、その一人ひとりに別の言葉を掛け、お互いへの声が重ならないようにすることもできるはずだ。

10人程度までならそれができるロボットがいたならば、窓口業務にはうってつけだ。そんな業務が存在するかと言えば微妙だが、例えば電車が止まっていて、駅員が囲まれているような状況は想像できる。

各々が聞きたいことは「遅延証明の発行場所は」「XXに行きたいのだがどうすればよいか」「運行再開の見込みは」「何が起こったのか」などだろうが、10人まとめて答えられるなら、殺到するにしてもあっという間に情報を得て散っていく、という姿が予想できる。構内放送ではこうは行かないだろうから、十分に使い道があると考えられる。

他には、被災地の避難所で安否確認対応するとか、売店や立ち食い蕎麦屋など狭い店舗で注文を同時に受けるとかいった用途が考えられる。

2018年6月2日土曜日

3Dプリンタモーター


https://fabcross.jp/news/2018/20180420_tuchemnitz_3dprinted_electricmotor.html

3Dプリンタで印刷できるモーターが登場した。ただ単に「できた」というだけでなく、セラミックで絶縁することで耐熱温度を飛躍的に高める可能性があるそうだ。

ここでは耐熱温度に関する議論はしない。もう一つの特徴である、「機構部品と機能部品の一体成形」のメリットについて考えてみる。

これは、材料と設計図さえあれば、機能部品を作ることができる、ということを意味している。この例ではモーターだけだが、それでも応用範囲は一気に広がる。モーターだけで成り立つ部品や製品を考えてみれば、それが分かる。

例えば時計。掃除機。洗濯機。換気扇。扇風機。エレベーター。ドライヤー。エアコン。冷蔵庫。チェーンソー。バリカン。電動ドライバー。髭剃り。電動歯ブラシ。義手・義足。自動ドア。電動自転車。厳密に言えばインジケーターランプなど他の機構部品も配慮する必要があるにせよ、こういったものが製造可能になるわけだ。

モーターだけではない。電磁調理器や電気ポットのような電熱器も、原理的に考えればこれで作れるはずだ。また、既成の部品を探す必要はなく、必要な部品は設計すればよいから、例えば幾らでも小さく、変形も自在なモーターを作ることもできる。配線も一体でできるし、ケーシングすら必要ない。これは、小ささや形状の自由度に貢献する。密閉も簡単だ。

なんでもないものにモーターを入れて付加価値を高める、ということもできるだろう。自動開閉するケースやノートPC、取りやすい位置に移動する電話台などだ。

また、上の記事では、最終的にできたパーツは焼結していたそうだ。これを考えると、刃やバネの焼入れもできそうだ。物凄く小さいバネ、鋏などもこれで作れるだろう。

問題は、3Dプリンターで作る価値があるのかどうか、というところだが、条件として二つ考えられる。第一は、アクセスが限られている状況において、必要機材の故障や、新たな道具が必要になった場合に備えることだ。宇宙船はその代表だが、そこまで極端でなくても、油田、離島、僻地、船舶などで一台設置しておくと、何かと便利だろう。

もう一つは、3Dプリンターで作らないとできない、あるいは経済的にマッチしない場合だ。特殊な形状の部品を使いたい、小さくしたい、といった要望の他に、カスタマイズしたいという要望が考えられる。これらの代表は身体障害者用の生活道具や義手などだろう。需要の主流はこちらになるはずだ。

病院で計測して設計図を作ってもらい、それをファブラボに持ち込めば翌日には完成して持って帰ることができる、なんてことも、もはや夢ではない。

2018年6月1日金曜日

Alexa、薬、飲んだっけ?


食後、薬を飲んだかすぐ忘れる。家族に聞いても、気にしてくれているとは限らない。曜日毎の薬箱で管理するほどタイトな薬じゃない。そんな時、AIに尋ねる、という手法が考えられるのではないか。

監視カメラと音声認識の組み合わせだ。食後、薬を飲んだかどうかを画像解析して、聞いたら答えてくれ、飲んでいなければ飲むよう促される。AIが相手なら常時確実に見ていてくれるし、注意されても腹が立つことはないだろう。

これに類似のことは、日常では多数ある。例えば持ち物だ。出かける先や状況によって持っていくものが違う、というのはよくあることだ。家に誰かいるときにちょっと出かけるのなら、財布と鍵を持たずに出ることもあるだろうし、仕事に行くのにノートパソコンを持っていく日と行かない日があって、それはスケジュールを見れば分かる、ということはある。

毎回全ての持ち物をチェックせよ、というのは鬱陶しくて、かえってミスしてしまう。既に持っているモノについて確認されたくない。そんな時、忘れているもの(ないしは必要かどうか分からないが持っていないもの)だけを注意してくれる、というのは非常にありがたい。

これは特に子供に有効だ。学校に持っていくもの、やっておくべき宿題などは毎日違うが、親が把握するのも大変だ。連絡帳と学校からの書類を毎日カメラに向かって見せてやるだけでそれが可能になるなら、親も子も随分楽になる。

上級編では、アルツハイマーなど健忘症ないしはその予備軍に対して有効だし、徘徊ならスマホにソフトを入れておくとよい。ただソフトが入っているだけでなく、状況を察して適切な表示を強制的にしてくれるのであれば、徘徊後の発見は随分楽になるはずだ。

機能はあるだけではダメで、適切なタイミングで適切なおせっかいをしてくれてこそ役に立つ。これからのAIの使い方として有用なジャンルの一つになるはずだ。

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