2018年8月3日金曜日
商店街のモール化
地方都市では商店街が廃れ、ショッピングモールに客を取られているのは周知の通りだ。これを逆転するための施策を考えてみる。
ショッピングモールが人気になるのは、その広大さゆえの多様な店舗だ。集客が見込めるからブランドの店を呼ぶことができるし、大型の設備が必要な映画館やクリニック、カルチャースクールなどを併設できる。これで犠牲になっているのは、「客からモールにアプローチしなければならない、遠い、渋滞がある」などであろう。
商店街の魅力は、何と言っても歩いていける「近さ」だ。コンビニは更に近いが、規模が大きいためコンビニではない品揃えができる。しかしそこには規模経済はないから高いし、ショッピングモールに比べれば品揃えは少ない。
しかし、ここにはもう一つ、隠れた商店街の不利がある。それは、商店街は個人商店の寄せ集めである、という事実だ。バーゲンの日取りを揃えたり休みを交互に取るなどの施策はあったとしても、全体としての意思統一が弱い。
例えば店舗の並びだ。例えば、駅から伸びる商店街だとしたら、駅に近いほど「これから駅に向かう人」の需要が大きい品を揃えるべきだし、逆に遠いほど「駅から家に帰る人」をターゲットにすべきであろう。また、似たような商品が遠くに離れていたら面倒だ。
また、同じような商品を揃える店は2件は要らない。値段が違うと比較しなければいけないから面倒だ。需要のない店は潰して需要のあるものを入れたいが、じゃあどこに入れるのか、喧々諤々になる。それも時間の無駄だ。
扱う決済手段が異なるのも面倒だ。ある店ではJCBが使えるが別の店では使えない、では困る。近年は電子マネーもポイントも多種多様だから、それが消費者に混乱を与えるようではいけない。
ではどうするのか。その答えが「商店街のモール化」である。
まず、商店街全体は全てモールが買い取る。店主は基本的に土地使用料にて収入を得るものとし、住居は別にする(出て行ってもらう)。その上で、商店街全体の建物は全て建て直す。
作りは二階建て長屋型だ。1階は通路から、2階は適当な間隔で階段とエレベーターを設置し、裏に同様の通路を設ける。2階も通して端から端まで行けるようにする。交差点は2階でまたげるようにする。また、区画は自由に作ることができる。
何処にどんな店を置くのかは、純粋にマーケティングで決める。それもフレキシブルにし、1日休めば入れ替えられるようにする。ブランド誘致などもモールの企画部が考える。
働くのは全てモールの社員であり、土地権利者とは切り離す。もちろん土地権利者が応募しても良いが、どこで何を売るのかは選べない。また、売上は関係なく、給料制になる。
仕入れもモール一括とする。もちろん収益はモール全体で考える。
大型ショッピングモールと異なり、有名ブランドをずらりと揃えたり、映画館など大規模設備を入れるのは困難だ。一方でオープンカフェを多めに置いたり、カラオケやビデオ鑑賞、飲み屋街といった品(店)揃えのフレキシビリティは、モールより上だろう。
寂れた商店街の起死回生策としては、検討の余地があるのではないかと思う。
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