2020年12月23日水曜日

VR空間では車椅子で移動しよう

 


別の投稿でも書いているが、VR普及の条件はビジネスに使えることだ。即ち、①会議・打ち合わせ、②プレゼン、③コラボレーション(共同作業)、④PC作業(大画面、多画面)、これらが「使い勝手よく」できる必要がある。

これらに適合するVRアプリとしては、EngageBigscreenImmersed等があるが、このうちEngageだけが下半身までを表示するようになっている。また、等身大のリアルなアバターになっているのもEngageだけだ。だがアバターの動きは不自然で、不気味の谷以前の問題になっている。

ビジネスでは歩き回ったりしないし、周りを広くすることもない。むしろ机に座り、机にはキーボードとマウスがあるはずだ。もしコラボしたくなったら、歩いていくのではなく操作で近づくことになる。これはリアルなアバターよりも、下半身のないBigscreenやImmersedの方が自然だ。しかしこれらのアバターはかなりアニメっぽく、ビジネスには向いていない。

そもそも、Oculusのスタート時には、周りを片付けて、動くエリアを決める、といった操作が必要だが、そんなものはUIとしての使い勝手を大いに損なうものだ。気軽にさっと被って終わったらさっさと取る、そんな気軽さがないとビジネス用には不適格だ。

そこで提案するのは、Engageのようなリアルアバターで、且つ車椅子で移動することを前提とするUIである。

事務机の前で椅子に座っている状態でVRゴーグルを被ると、VR空間でもやはり自分は電動車椅子に座っている。小型のテーブルもついていて、そこにはキーボードとマウスも見える。車椅子の移動用に、小さなジョイスティックも別に用意する。キーボード、マウス、ジョイスティックは、現実のUIとしても存在する。あるいはキーボードを中心として一体化したUIを作っておくのも良い。

これを前提としたVR空間は、下半身のスキャンやトレースが必要ないので、上半身しかない不自然なアバターでもなく、等身大だが歩き方が不自然な不気味の谷を作ることもなく、容易に構築できる。また、移動速度をかなり速くしても違和感なく表現できる。立ったり座ったりといった運動はできないが、ビジネスにはその程度で充分だ。

VRゴーグルではよく出てくる、両手に握るコントローラは、この世界では不要だ。キーボードとマウス、ジョイスティックがあれば良い。指はカメラでトレースできるから、大画面を立ちして選び、マウスで操作すれば良い。

事務机、会議室、映画館などでは、小型テーブル車椅子を考慮した作りが必要になる。即ち道幅は広く、席の間隔も広く、部屋備え付けテーブルは小さめになる。

また、VRであることを活用して、会議など業務を自然にスムーズに進めるためのメタファを取り込むことをお願いしたい。例えば会議なら資料が不可欠だが、席につくと自動で資料がテーブルに揃うとか、スケジューラから拾ってその日前後1日分の資料フォルダが小型テーブルに準備されるとかがあれば嬉しいし、フォルダから出した資料はPC画面のように前面に出るのではなく、テーブルに置かれるように表示されるのが望ましい。全員が見る資料は投影されるようにする。手元と全員の資料は切り替えるのではなく、視点を変えることで複数見ることができる。

主催者の方も、準備には会議室に行って資料を置いてくる、というようなメタファがあると良い。会議室には資料を置くフォルダがあって、置くところによって開示レベルが変わるなどといったことも可能だろう。また、議事録が自動で作成されるとか、 類似タイトルの会議で資料が通して閲覧できるような機能があると嬉しい。

更には、オフィスのように皆が集まっている場において、相手に気軽に声を掛けて打ち合わせをスタートしたい場合に、音声アシスタントにそれをお願いするような機能があると嬉しい。

2020年12月22日火曜日

水素ガスヒーター


 ガスファンヒーター、石油ストーブなどは、北国では多く使われている。これらは換気が必要だが、その主な理由は一酸化炭素中毒の危険だ。燃焼不良が起きると一酸化炭素が大量に発生するが、一酸化炭素中毒は死に至る危険なものだが、人はこれを吸っても気付かない。それが危険である理由でもあるのだが、もしガスに炭素がなければどうか、と考えてみた。

原理的に、水素ガスだけであれば、幾ら燃えても一酸化炭素は出ない。炭素がないからだ。一酸化炭素中毒の危険は、ほぼゼロになるはずだ。

もちろん、酸素は消費されるので酸欠の危険は相変わらず残る。だがこちらは換気をすれば直ちに回復するし、息苦しくなるので分かりやすいはずであり、一酸化炭素中毒に比べればリスクは低いだろう。

都市ガスを改質して水素だけを取り出す技術は既に存在するが、都市ガスレベルでの普及は無理なので、最初はガスコンロ用のガス缶のような形で普及させる。これなら1本交換する度に換気、等と目安を付けられるので、更に危険は減るだろう。

また、水素が燃えればそれは水蒸気になるから、加湿にもなる。冬は乾燥するので、こちらも有利ではないだろうか。

2020年12月15日火曜日

一日中VR


 ブルース・ウィルス主演の映画で「サロゲート」というものがあった。現実世界では人間そっくりのロボットを動かし、自分は部屋の中でそれを操作している、というものだ。今見てみると、あまり現実的ではないな、と思うようになった。あの操縦法が許されるのなら、普通にVR空間にしてしまった方が遥かに簡単だからだ。自分も相手もVR、それで良いではないか。

別項でも示している通り、VRでの生活が長くなってくると、今のようなVRゴーグルでは都合が悪い。まず目の周りが蒸れるし、遠くの人は良いとしても目の前の家族と縁遠くなってしまう。電池も一日は保たない。これを解決する方法を考えてみる。

個人的に注目していたのは、Focals 2020だった。これは黒縁メガネとほとんど変わらない外観を持つ、MRグラスだ。しかしGoogleに買収された後音沙汰がない。

また、このFocalsとて一日中は動かせない。大きさを取ればバッテリや画面の質が落ちる、これは必然だ。これを何とかしなければならない。

そこで考えるのは、室内にいることを前提として、電源や映像を外部から供給することだ。そこで、こんなものを考えてみる。

Focalsと同じく、大きめのメガネ、あるいはサングラス程度の大きさの端末を想定する。基本的にはMRであり、つまりはグラスは透明で、向こうが見える。ディスプレイの形式もFocalsと同じである。但し解像度と視野角は改良してほしい。

また、普段はMR、アタッチメントでメガネを覆うことでVR兼用にしたい。これは他のVRグラスでも例があるので難しくないだろう。それがかなわないのであれば、VR用とMR用は別のグラスになる。この場合でも、従来よりは薄く軽くできるだろう。

基本的には、テレビと同じように映像を受信して垂れ流すだけとする。Miracastのような技術を使えば良い。電源も無線供給とする。ドコモが研究しているWi-Chargeは、4mの給電が可能だそうなので、これを使用する。ツルの部分には骨伝導スピーカを付けておく。後で述べるがマイクは不要である。

このシステムに置けるもう一つの主役は、天井シーリングに付けるコントローラである。このシーリングには、もちろん照明は兼用するが、その他にグラスのコントローラとしての機能が備わっている。

その一つは、言うまでもなく上の無線給電と画像データの送信である。天井からはせいぜい3mなので、Wi-ChargeもMiracastも能力としては充分だ。また外部との接続にはWiFiを使い、WiFiルータと接続する。

もう一つの機能は、グラス装着者の顔の向きや手の動きを解析することである。グラスにセンサを付けるとそれだけ複雑になり、電力も消費するため、その機能を移すわけだ。グラスに付けるのは再帰性赤外線反射材のような簡単なものに留め、カメラでその向きや位置を検知する。その解析結果はそのままシーリング内のコントローラが使うため、タイムラグは最低限に抑えられる。

カメラは2、3台を位置を変えて設置すれば、立体的に検知できる。また指先や手首にも反射材入の手袋ないしは腕輪や指輪などを付けておけば容易に検知できるので、CPU負荷を軽減することができる。これにより、コントローラを手に持たなくても操作ができるようになる。

室内で使う前提であるため、マイクをグラスに仕込む必要はない。シーリングに仕込んでおけば良い。一方で音声は一人ひとりに送る必要があるため、上のようにグラスを仕込んだ骨伝導を使用する。マイクがないことは、通信が一方向で良い(シーリングからグラスへ)ことを意味しており、グラスの構造の簡略化に貢献する。

Focalsクラスの軽量、また目の周りを厳密には覆わないものであれば、一日中掛けていても疲れず、また蒸れないで済む。初期にはここまで軽快なものは望めないだろうが、それでもグラスが大きめになる程度であり、シーリング側は変わらない。シーリングの能力が十分にあれば、部屋に4、5人いても同時に使える。グラスは端末なので安価に作れるから、この点でも合理性がある。

シーリングは新しい鍵になる、というのは以前も投稿したが、こうなるとホームサーバ機能も含め、シーリングに集約した方が良い気がする。例えばワイヤレスキーボードを机の上に置いて、ディスプレイはグラスに表示する、というような使い方をすれば、普通のPCと同様のことができるだろう。壁に仮想的なテレビを置くことで、テレビやビデオを見ようと思えば、そのための情報もシーリングに集中する必要がある。

ここまでくれば、以前提案したように「全てがVRで表現され、何もない部屋」が現実味を増してくることになる。固定電話、FAX、本、テレビ、カレンダー、掛け時計、置物、BDプレイヤー、スマホ、音楽プレイヤー、PC、タブレット、腕時計、等は全てバーチャルになり、棚に仕舞うべきものはどんどん仮想世界に逃げていく。朝起きたらまずグラスを付け、会社や学校もバーチャル世界で済ませ、趣味も雑用も全て同様にバーチャルで行い、一日中リビングから出ない。そんな社会が、あと十年もすれば来るのではないか。

2020年12月14日月曜日

VRの普及で現実のモノの価値が落ちるかも知れない


Oculus Quest 2が登場したことで、VRには新しいステージが開けている。価格が画期的に安くなり、また単独で使えることで、ユーザ層がぐっと増えているため、今まではアーリーアダプタのおもちゃだったものが実用に向けて進みつつある。

例えば、VR会議は、それほど難しくなくなってきている。無料のVRルームソフトが幾つも出現しており、資料は従来のPowerPointやExcelを使えば良い。後はユーザ毎にVRゴーグルを配るだけだが、ここが簡単になってきたのだ。

電話会議やZoomがようやく普及してきたところだが、これがVR会議になれば、本人はアバターになるため、Zoomのように化粧や服を気にする必要はないし、他の参加者との物理的な距離感が復活するため、むしろやりやすくなる。

こんな感じでVRが普及していくと、むしろVRががデフォルトになり、現実世界での行動が廃れていくことになるのではないか。そしてそれに伴い、実物としての「モノ」の価値は減っていき、相対的に仮想世界でのモノに価値が出てくるのではないだろうか。

例えば、既にVRアプリストアには、仮想オフィスとか仮想デスクトップとかいうアプリケーションが存在している。これを使うと、デスクトップ画面が幾つも、また幾らでも大きく表示できる。そうなれば、高価な大画面ディスプレイを買わずとも、VRゴーグルを支給してしまえば良い、となってしまう。CADのような用途は言うに及ばず、Excelファイルを多数開く経理の業務などでも有用だ。

また、本を読みたいと思った時、Kindleより物理的な本が良い、と考える人は多い。あの小さな画面、遅い反応が気に入らない、大きな雑誌やグラビアがきれいに見えない、等、iPadでも不満になる場面は多い。しかしこれもVRなら、幾らでも見やすくできるし、反応速度もクラウドで改良すれば幾らでも良くなる。iPadを持ち続けるのは肩が凝るが、VRなら空中に浮かせておけば良い。更には、静かな海岸、雑踏のカフェ等、好きな場所で読むことができる。紙の本からKindleを経由せずに一気にVR本に移行する、という人も、一定数いるはずだ。

VR空間で生活する時間が長くなれば、外出の時間は相対的に減っていく。学校も仕事も買い物もレジャーもVRで済ませられるようになれば、服や靴、アクセサリ、髪型、化粧、等といったファッションは、相対的にカネを掛ける価値が減っていくだろう。代わりに、VRの中で着る服等のファッションに気を使うようになる。そこへの投資(支払い)も増えていくだろう。

また、観光というものの価値が根本的に考え直されることになるかもしれない。まずはVRで現実の観光スポットに行けるようになる。次に、現実を模した仮想環境への観光になる。そこでは現実には存在するトラブル、例えば天候不順で景色が見えないとか、手違いやダブルブッキングでホテルがとれていないとか、詐欺ボッタクリに遭うといったことがなくなる。更にその次は、現実には行けないところ、例えば宇宙旅行等が出てくる。そして最後には、現実には存在しない場所が観光スポットになる、という段取りだ。

現実には存在しない場所。それはクリエイターのイマジネーションの限りを尽くした特殊空間だ。現実の景色を遥かに超える体験ができることになる。その頃には、現実世界で観光なんてとんでもない、汚いし怖いしカネも時間も無駄に掛かる、という価値観になっているかもしれない。

いや、現実に存在する観光スポットの価値は変わらない、と考える人もいるだろうが、価値とは相対的なものだ。音楽を聞くのに楽器を演奏するしかなかった時代と、スマホで幾らでも無料で再生できる時代の違い、とでも言うべきものだ。生演奏には今でも一定の価値があるけれども、日常の大部分はスマホで聞いていて、人によっては生演奏は全く不要と考えている、というのが今の状態だ。現物と仮想化したモノの関係は、今後そうなっていく可能性を秘めている。それは景色も同じである。

2020年5月24日日曜日

ダサくないマスク


今のマスクをそのまま夏も着けるのはちょっと抵抗がある。なにせ暑い。これは自分だけでなく、周りに与える印象も含めて暑苦しい。そこで二つほどアイデアを考えてみた。一つはファンによる送気、もう一つは透明にすることだ。

透明にするとなると使い捨てにはできないので、CPAPのマスクのようなものをまずは考えることになる。また、送気マスクというのは既に幾つか存在しているが、透明のモノはない。そこで考えるのは、こんなものだ。


  • マスク全体が透明で、鼻・口がよく見えるようにする。
  • CPAPのように鼻口周辺に密着するパッドは必要ない。密着するパッドは幅が広く、せっかく透明なマスクがあってもパッド自体が不透明なので顔が見えづらくなる。マスク自体をやや硬めのシリコンで作ること等によって、パッド不要にするか、ごく薄いパッドにする。後から説明するが、隙間があっても問題ない。
  • 顎の下にフィルタを配置する。フィルタは当然交換式である。後述の通り息のし辛さを考慮する必要はないので、フィルタは高性能なモノでよく、N100クラスのものを使える。
  • フィルタの前に送気ファンを設置する。これで強制的にマスク内部に空気を送り込む。これにより、マスク内は常に陽圧となるため、マスクと顔が密着している必要はない。
    • これは、例えばゴーグルの下にぶら下げる等、必ずしもマスク自体を耳掛けゴム等で押さえつける必要がないことを意味している。
    • あるいは、フェイスシールドのような形態でも同じ機構を作ることができる。この場合は、サンバイザーのように上から被り、ファンも上に付けた方が良いかもしれない。
    • また、マスクの跡が残りにくい、眼鏡やマスク内部が曇らない、といった効果がある。更に、常に換気ができるため、夏でも暑苦しくない。
  • 通常の呼吸と運動では必要な給気が異なるため、3段階くらいでファンの強度を変えられるようにする。
  • バッテリは大容量なモノが必要になるので、マスクに内蔵させるのは無理だ。しかしケーブルを這わせるのも何なので、ここでは無線給電を考えることにする。
  • ネックバンドスピーカーのように、首に掛ける無線給電装置を使用する。顎の下からネックバンドまでの距離はせいぜい15㎝だが、既存のQiでは距離が足りないので、新しい無線給電装置が必要である。
余談になるが、このネックバンドデバイスは、VRゴーグルやBluetoothイヤホン等への電力供給も可能だ。もちろんネックバンドスピーカーとしても使える。

声はこもってしまうが、これなら表情も見えやすいし、誰が話しているのかも分かる。会議でも、店舗でも、窓口でも、そのまま使えるのではないか。

2020年5月23日土曜日

高濃度オゾンシャワー


救急車には、高濃度オゾン発生器が備わっている。患者を乗せて移動した後、これを作動させて車内を殺菌する。人にも有害なので、無人にしてタイマーでやっているのだと思う。

医療関係者の多くがコロナに感染している。感染の原因は、防護服の脱着手順等幾つか考えられるが、何れにしても、従事者の数が多ければ多いほど、そういった事故は起きやすくなる。防護服を脱ぐ前に、ある程度殺菌できている方が望ましいと考えられる。

そこで、この高濃度オゾン発生器を備え付けた狭い個室を作ることを提案する。汚染側と清潔側に分かれたドアを持ち、汚染側から入った医療従事者は、ドアを閉じてオゾン発生ボタンを押す。

ゴーグルで覆われているはずだが一応目を閉じ、息は止めておく。そこで20秒ほどエアシャワーを浴び、更に排気した後に部屋を出る。このくらいなら、高濃度オゾンを浴びても問題ないだろう。

飛沫の中にまで殺菌が及ぶことはないだろうから効果は限定的だが、現状の感染率を見ていると、この程度でもやらないよりはましにおもえる。

2020年5月22日金曜日

ハイテク遠隔ひな壇


新型コロナの影響で、バラエティ番組のひな壇がなくなった。あれはつまらないものだ。通常の情報番組でも、間隔を空けて座ったり、アナウンサー同士が離れていたりするので、間延びしてしまう。掛け合いの間も生まれない。ディスプレイを並べている番組もあるが、アウェイ感は半端でない。

ZoomやSkypeは、背景を入れ替える機能がある。グリーンバックでなくともできる技術が投入されているようだ。この機能を使えば、ひな壇は復活できるのではないだろうか。

このために、まずは各芸人さんや司会者は個別に個室に入る。コロナのような場合は自宅に機材を設置することになる。そのための機材としては、大型ディスプレイ3台とカメラ2台が必要だ。これに専用アプライアンスを繋ぎ、5G回線に接続する。インターネットでなくわざわざ5Gと言ったのは、通信遅延をできるだけ抑えるためだ。

芸人さんの座った椅子の正面及び左右45°(この角度は適当でよい)にディスプレイを設置する。ここに映る映像は、その芸人さん目線でのスタジオ風景だ。当然、前や横に座る芸人さんはそこに映る。ひな壇は人によっては後ろにも人がいるが、後ろにディスプレイを配置するのは困難だろうから、それは省略してもよいだろう。

正面のディスプレイの左右から、カメラが覗くようにする。二台使うのは立体映像にするためであり、この画像を合成したCG画像をまず作って、それを左右の芸人さんのディスプレイに送るわけだ。

一方スタジオでは、各芸人さんや司会者の映像を基に、各々の3Dアバターを作る。それを仮想スタジオのひな壇に並べ、背景やセットも配置して、完成された仮想空間を作り上げる。それをまた、仮想カメラでカメラマンが撮影する。複数のカメラマンが各々の役割を、またディレクターやミキサーも仮想空間で指示を出す。なお、とりあえずは仮想空間を作ってそれを記録することさえできれば、カメラ切り替え等は後処理でもできる。

こうすれば、芸人さんとしてもスタジオの空気感がある程度再現できるので、不完全ながら今よりは活発な言葉のやり取りができるだろう。動きを伴うものは困難だが、それでも現状よりは遥かにマシだ。

各芸人さんの家にこれだけの機材をセッティングするのは大変だ。カネも掛かる。だから、サテライトスタジオや、テレビ局の控室にセットするという方法は考えられる。これなら通信遅延も少ないし、機材の流用が可能だから、有用だろう。

また、この方法であれば、そもそも大きなスタジオが必要なくなる。ドラマ等動きが必要なスタジオに、その分のスペースを割くことができる。この技術を進めるのは、テレビ局にとっても良いことだ。

もう少し技術が進歩すれば、NTTやFacebookがやっているように、全員がVRゴーグルを被って、表情まで全てCG、ということが出来るようになるだろう。そうすれば機材はそれだけになって便利だが、それまでの間はこのような大げさな機材で我慢するしかない。

2020年5月21日木曜日

強力換気電車


コロナ騒ぎのせいで、満員電車に槍玉が上がっている。在宅勤務できる人はよいが、多くの人はそれでも仕方なく電車に乗っている。これを何とかする方法はないか、考えてみた。

救急車には、高濃度オゾン発生器が搭載されている。これと同等のモノを導入してはどうか、と考えてみた。しかしこれは、少なくとも常時稼働することはできないと分かった。殺菌するのに必要な高濃度にすると、人間にも害があるらしい。恐らく救急車の場合は、一回終わるごとに人が降りて、除菌をしてから換気をして、また使うのだろう。

それでも、電車が車庫に入った時等にはこの仕掛けは使えるだろう。最低でも一日一回は作動させられるし、コロナ騒ぎのような時にはいったん回送にした上で除菌してまた戻ってくる、ということは可能だろう。

これと並行して、強力な換気装置を付けてはどうかと考えた。3密、と言われているが、このうち2つは回避不可能だ。そこで最後の一つ、強力な換気で対応する。今でもエアコンは搭載されているが、その送風能力を大幅に上げた上で、床下等から排気をするシステムを追加すればよいのではないか。エアコンの効率は大幅に落ちてしまうが、飛沫感染の可能性を大きく減らすことができる。

同じ仕掛けは、バスにも応用できるだろう。バスの場合、運転手との境にエアカーテンを置くことは有効だろう。エアカーテンというのは、その名の通り膜のような薄い気流を天井から床に向けて吹き付け、カーテンのように空気を分断するものだ。同じ部屋で禁煙と喫煙を分ける、ドアが開きっぱなしのことが多い大空間でエアコンの効率を高める、等に使われる。但し感染防止が目的のこの場合は、下でその空気を吸い取るようにした方が良いだろう。

タクシーはさすがに厳しいので、運転席に仕切りを付けた上で、自動精算機を置くのが良いと思う。今までより窮屈にはなるが、感染症対応タクシーというのは一定の需要があるし、仕切りのみは年中つけておかなくても取り外し式にしておけばよい。また、オゾン発生装置も同様に、客が降りる度に作動させればよいはずだ。

船、新幹線、飛行機など、長時間座ったままの乗り物の場合、その間ずっと顔に空気を吹き付けられるのは不快だし、乾燥する等不具合もある。そこで、感染症拡大時に限り、席を空けるようにして、その席に対してエアカーテンを設ける、という方法が考えられる。

そして、この「強力換気、エアカーテン、仕切り、自動精算機」という基本的な考えは、他にもレストランや居酒屋、バーなどといった飲食店、カウンターがある銀行など金融機関、レジがあるスーパーやデパート、パチンコ店等にも応用ができるはずだ。これさえあれば、今苦境に立っている大部分の業種は、不完全ながら営業を再開できることになる。

2020年5月20日水曜日

電子書籍とリアルタイムOS


今、巷に普及しているOS、即ちAndroid, iOS, macOS, Windows, Linux等は、全てリアルタイムOSではない。これはある意味トンデモないことだと思っている。

例えば、電子書籍を読みたいとする。データはサーバにあって、逐次ダウンロードしながら読む。この時、サーバとの通信、ダウンロード、表示、操作の全ては、本来はリアルタイム性が求められるべきものだ。表紙をタッチすれば1秒以内に最初の数ページがダウンロードされるべきだし、ページめくりをし続けていて途中で1秒でももたつくのは困る。しかし現実は、これより遥かに遅い。

もちろん、リアルタイムOSを使っただけでは駄目で、今までより相当に計算機資源を潤沢に使わなければならない。しかし、ハードの性能は上がってきている。OSがもっとリアルタイムを重視する設計になっていれば、表示や操作から予想した先読みダウンロードを基に、ユーザ体験は改善できるはずだ。

このためには、従来のファイル操作周りのシステムは、相当に作り込んでおく必要がある。画面に表示された全ての関連しそうなファイルを、片っ端からではなく可能性の高い順にダウンロードしてキャッシュしておく必要があるからだ。それも状況はどんどん変わるから、一度画面から外れたら中断して新しい画面に対応する、といった仕掛けが必要になる。また、普段から遅いサーバに対しては早めにアプローチし、レスポンスの良いサーバは遅めにするなどといった裁量も必要になるだろう。

まずは電子書籍、次はファイルシステム。ここで相当に頑張って作り込んで欲しいのだが、どうだろう。現在、電子書籍は使い物にならないと考えている諸氏の印象を跳ね除けることができれば、更に電子書籍は普及すると思うのだが。

2020年5月19日火曜日

再利用可能な熱殺菌防護服


新型コロナウィルスへの対応で、医療機関の防護服やマスクが足りないことが話題だ。ゴーグルは違うが、その他は使い捨てであるところがネックになっている。作っても作っても、消費の方が激しい訳だ。しかし考えてみれば、そもそも何で使い捨てなんだろう。細菌兵器用の防護服は使い捨てではない。が、ゴツくて高価だ。洗って使え、且つ安価軽量な防護服は無いものだろうか。

ここで、必ずしも洗う必要はなく、殺菌さえできれば良い、ということに注目する。最も簡単な殺菌法は、高温だ。単純な話、恒温槽に放置するだけでよい。おそらくは80℃、10分もあれば十分だろう。空気を循環させる必要はなく(むしろしないほうがよい)、ヒーターと温度管理さえあれば十分なので、恒温槽を作るのは簡単だ。水洗いや紫外線、オゾン殺菌などでは、シワの中等に届かない危険があるが、高温にするだけならその心配はない。

問題は幾つかある。①本当は何度何分が必要なのかは、検証する必要がある。②その温度時間に耐えられる安価で耐久性のある素材を探す必要がある。もちろんウィルスが透過しないものである必要がある。③穴や破れがあれば使えないから、その確認手順を確立する必要がある。

しかし逆に言えばその程度であるし、何れもそれほど困難な問題ではないと考える。今、使い捨ての防護服として使われている素材の耐熱性を調べ、不足であれば低温長時間の殺菌法を調べるか、素材を耐熱性のモノに変えてやれば、十回程度の再利用は直ぐにでも可能になるのではないか。

また、ゴーグルやマスク、患者の廃棄品(ゴミ)、シーツやカーテン等も、それで殺菌できる。そのためにもぜひ、この方法は検討して頂きたい。

2020年4月20日月曜日

LPWA付きICカード


できるからって何でもくっつけるんじゃない、と怒られそうだが、これにはちゃんと用途がある。

この場合のICカードとは、電子マネーやクレジットカードなどの金融カードである。そしてLPWAはその使用実績を中央に送り、場合によってはカードの機能の操作を行う。さて、これで何が出来るか。

昨今話題の新型コロナ給付金10万円をどう送るのかが注目されている。現金や小切手で送られれば盗難されること間違いない。ネットで申し込めば振り込まれる方式にすれば、通信環境を持っていない人やITリテラシーのない人に届かない。また、プッシュでなくプルになる。即ち、希望者に配るといっているのと同じだ。

ここで一つ、このLPWA付きICカードをマイナンバーカードだと思ってみよう。当然、一人一枚になる。現状では希望者だけだが、これを強制にする。国民IDカードのように所持を義務付ける(持ち歩きは義務付けない)。まずはこれを普及させる。

以後の行政手続きは、全てこれをベースに行うこととする。即ち、申請等は全てキヨスク端末で行い、最後にこれをタッチするだけで良くする。操作の履歴はLPWAで自治体に送られる。
これには電子マネー口座が付随している。基本的には納税と還付のためのものだが、補助金助成金等もこれで受け取ることが出来る。例えば今回のコロナのように、一人10万円支給するというのであれば、LPWAを通じて自動送金するわけだ。

これの優れたところは、個人がネットに接続したり操作したりする必要が一切無く、遠隔から自動で行われる点だ。カード自体に通信機能が付いているのだから当然である。だからこそ、誰にでも配ることが出来るわけだ。高齢者、子供、外国人、銀行口座が開けない人、携帯電話契約のない人でも持つことが出来る。また、カードだけでは詳しい履歴等を見ることができないが、コンビニや市役所のキヨスク端末にタッチしたり、市役所の人に渡してお願いすれば、中身を見ることができる。もちろん必要な操作もそこでできる。

これはつまり、ITリテラシーがなかったり通信環境がない人も含めて全ての人に提供可能という意味で、ユニバーサルな電子化手段であるわけだ。行政をオンライン化する検討をする際、こういう人たちに対しても市役所はサービスを提供する義務があり、管理の二重化は避けられなかったわけだが、これで完全に電子化に移行できることになる。また、非対面で行えるため、今回のコロナ騒ぎに限らず、役所に出向く必要はない。

中長期的なことを考えると、専用の携帯端末とセットにすることで、遠隔地でのあらゆる手続きが可能になる。例えば選挙がそうだし、市役所に行く用はほぼ無くすことができるだろう。また、専用のアクティベーターとペアにすることでセキュリティを高めたり、カードでなく腕時計型、ペンダント型にするなど工夫したりと、色々応用ができるだろう。

2020年4月19日日曜日

ロボット医者


新型コロナ盛りの今、呼吸器系の病気の診断は問題になっている。曰く、喉を見られない。インフルの検査ができない。では遠隔医療をできるかと言えば、これも難しい。それを解決しようというのが、ロボット医者だ。この仕組みを考えよう。

ロボットが乗った自動運転車を用意する。イメージとしては、ハイエース等のボックスカーになる。この中には、ロボットの洗浄殺菌スペースがある。車の自動洗車のイメージで、ブラシと水流で洗う。患者の唾液等が乾燥してこびりつく恐れがあるため、オゾンや紫外線だけではダメで、ブラシを使った洗浄は必要である。次亜塩素酸水のような安価な殺菌剤を噴霧して使えば、排水も少なくて済むし、環境にも優しい。

ロボットは患者宅に訪問し、診察する。もちろん実際の診察は遠隔から生身の医者が行う。喉も見るし、聴診器も当てる。もし持ち合わせの薬で対処できるならそれを渡して終わりである。もしさらに詳しい検査あるいは入院が必要等となれば、その車に乗っていけば良い。当然、診察一回ごとにロボットは洗浄し、患者が車に乗ればそれも洗浄する。

これなら、患者が慣れない機材を扱う必要はないから、診察は正確になる。テレビ電話以上の効果があること疑いないし、双方が感染リスクを抑えられる。

2020年4月18日土曜日

観光用感染防止ヘルメット

新型コロナによって、観光が大打撃を受けている。特にバスツアーが壊滅的で、8割9割といった売上低下があるそうだ。外出自粛が年単位で続けば、本当に多くの企業が倒産し、産業のジャンルというレベルで大幅縮小してしまうだろう。Visit Japanで観光に舵を切っていた国としては勿論、観光に頼ってきた多くの人が職を失うことになる。これは何とかしなければならない。

そこで考えるのは、「外出しても大丈夫な環境構築」ということになる。遠い未来の解としては、パーソナルコミューターがある。例えば、

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%A8%E3%82%BF%E3%83%BBi-REAL

にカバーを掛け、エアフィルターを付けたようなイメージだ。ただ、これは費用的にも法的にもハードルが高く、時間も掛かる。そこで考えるのが、タイトルにもあるような簡易防護ヘルメットだ。

これは、頭にかぶるものではなく、肩で支えるような、末広がり型の形状をした大きめのモノだ。イメージとしては、海底散歩に使われるようなもの

https://www.google.com/search?q=%E6%B5%B7%E5%BA%95%E6%95%A3%E6%AD%A9

だ。前面だけではなくできるだけ全体を透明素材で作るようにする。頭頂部ないしは後頭部にバッテリーとフィルタファンが備わっており、吸気に相当するきれいな空気を常に供給する。

首から下には、家庭の散髪で使うヘアキャッチャーのようなエプロンが付いており、エプロンの下端はヘルメットと繋がっていて、ここで密閉される。ヘルメットの斜め後ろ側に排気口があり、ここにもフィルタが装着される。エプロンにはある程度の面積があるため、少々隙間があってもヘルメットの陽圧に押されて体に密着し、首を無理に締め付けなくとも空気が漏れることはない。

この方法では、体は保護されない。例えば手だが、これは別の方法で適宜消毒する。アルコールや次亜塩素酸水のスプレーを座席に置いておく、あるいはヘルメットにマグネットでくっつけておけば(ないしはポケット等を作っておく、ヘルメット自体に組み込む等)、何時でも手を消毒することは可能だ。

また、顔を掻きたいと思えば何時でも(手を消毒してから)隙間から手を突っ込んで掻くことができるし、短時間であれば息を止めてヘルメットを脱いで、掻いてからヘルメットを戻せばよい。数秒でヘルメット内の換気は終わるから、また息をすればよい。顔を締め付けるものがないし息苦しくもないから、長時間被っていても問題ないだろう。

他のマスクやフルフェイスマスク等と大きく異なるのは、頭を全て覆い、しかも余裕があるところだ。これにより髪型が崩れることがない。これも観光用としては大きなメリットだろう。

また、フィルタは当然適宜交換すべきであるが、ヘルメットそのものは当然再利用可能である。表裏をアルコール等で拭けばお終いだ。空気をファンで取り込むため、フィルタはマスクよりも高性能のモノを使えるから、装着者の感染防止は完璧に近いだろう。

バッテリの持ちについても問題はないだろう。1万mAh程度のモバイルバッテリを取り付けておけば、太陽電池がなくとも一日保つだろうし、もし切れても交換は幾らでもできる。

問題となりそうなのは、重さ、そして仰々しさだろうが、まあ観光業界としては背に腹は代えられない。また、音が聞き取りにくいかもしれない。耳の付近を薄くする、マイクとスピーカを付ける等の工夫をする必要があるかもしれない。

ヘルメット内は陽圧になること、また息をするたびに気圧が変化するので、これが気になる人も出てくるかもしれない。CPAPのように内圧に連動してファンを調節する等、将来的には高度化することは可能だ。

バッテリ無しでフィルタだけでどうにかならないかとも考えてみたが、不可能ではないものの快適ではない。息苦しいし、湿気が溜まって曇るだろう。やはり能動的な給気があった方が良いと思われる。

頭頂部が雨に濡れる可能性も考えられるので、吸気口には工夫が必要かもしれない。これは様々な形状が考えられるが、既に過去に色々なものが出ているので、新たに考える必要もないだろう。ルーバーや給気塔等、あまり見た目が派手にならない範囲で考えてみたらよいだろう。

個人持ち、会社支給することにも道が開ける。これを装着する人は外出自粛の対象外とするとか、対面営業を許可する(但し来客も着けていること)などとすれば、一気に問題は解決する。今後何年流行が続こうが、とりあえずは耐えられるだろう。ただ、残念ながら外食には対応できない。

フィルタは、既に多数市販されているガスマスク用のフィルタが流用できる。これにより、例えばフィルタさえ高性能なものにすれば、火山降灰にも対応可能である。くしくも火山噴火に関するレポートが出たところだが、まずはこのヘルメットの開発をしてはどうかと思う。他にも粉塵用、有機ガス用等、従来はフルフェイスマスク等で対応していた現場でも、こちらの方が快適に使える場面は出てくると考える。

2020年4月6日月曜日

伝染病対応簡易隔離室


新型コロナのように伝染病が急速に拡大した際、軽症者をホテル等に隔離することで病床不足に対応する措置が行われる。しかし、ホテルの一室は病棟とは異なるので、隔離は完璧ではない。これを解消するための簡易的な方法を考える。

まず、部屋の通風孔は全部塞ぐ。次に、窓に、ウィンドウエアコンのような陰圧排気装置を取り付ける。部屋の中の気圧を常にモニタし、外気圧より常に低くなるようにする。もちろん高性能フィルタを取り付け、また紫外線照射による殺菌を行う。

次に、以前も紹介したような宅配ボックス内蔵ドアを取り付ける。これは、普段は折りたたまれており、必要な時に内側から操作して50cm立方内外の箱をドアの内側に展開できるようになっている。ドアの上半分に箱が張り付いているイメージである。廊下側、室内側、各々に電子錠付きのドアが付いていて、室内側の操作で解錠できる。

まず外側の錠を開放し、食事を入れてもらって、鍵を閉めたら今度は内側の鍵を開けてそれを受け取る。内側から外側への流れは、例えばゴミ出しやクリーニング等だろうが、その逆になる。内側と外側の鍵は、同時には開かないように制御されている。

この場合、箱の内側の汚染、室内から廊下へ出すモノそのものの汚染はあり得るが、屋内が陰圧であることが保証されるため、廊下側は手袋をして扱い、またアルコールや次亜塩素酸水で拭くだけでよく、サービス業者が隔離服を着る必要はなくなる。

ドアの改造は、隔離が必要なくなったとしても、ケータリングやクリーニングのやり取りでそのまま活用できる。また窓の陰圧排気装置にしても、普段は作動させなければ良いだけで、そのまま放置できる。エアコンもそのまま使えるはずだ。

伝染病となればホテルの客も減るし、補助金を出してやれば飛びつくところは多いものと思われる。ドアも排気装置も、開発の手間はそんなに掛からない。今直ぐにでも考えてみてはどうだろう。

2020年2月28日金曜日

傾かない防災基礎


通常、建物の基礎は鉄筋コンクリートで作る。その下は砕石、更にその下は地面(土)だ。地震でこの土がズレたり割れたり、液状化したりすれば、家が傾く。これを防ぐための構造を考えてみた。

通常の基礎の更に下に、相当の大きさの「箱」を設置する。この箱は、底面には穴が多数あり、箱の中には礫、即ち大きめの不定形の石が詰まっている。

地震で地面に亀裂や穴ができると、そこに箱から礫が落ち込み、隙間を埋める。一度出ていった礫が再び穴に戻ることは殆どないため、その礫が箱の底面で新たに家を支える。この原理により、家の傾きを大きく抑えることができる。

もちろん、全く傾かないわけではないし、地震の規模によっては役に立たないこともある。また、礫や穴の大きさや数、位置、量(箱の高さ)などには検証が必要で、それはノウハウになるだろう。

2020年2月27日木曜日

10%ヒューマノイド


自動運転車が全体の10%でも普及すれば交通渋滞が大きく解消される、というシミュレーションがあるそうだ。100%でなくて、あるいは80%でなくていいんだろうか、と思っていたのだが、実際にはそうでもないらしい。

なぜそんなことが起こるのかまではまだ検証されていないようだ。しかしここから類推するに、渋滞や事故事件というのは、全くの偶然に起こるものではなく、やはりその現場の空気感、温度、といったものによって急激に発生率が上昇するものなのではないか。そして10%の(法に律儀で一定の論理性を持った行動をする)自動運転車が紛れ込むことで、図らずもそういう状態を回避できているのではないだろうか。

もしこの仮説が正しいとすると、社会に10%のヒューマノイドが紛れ込んでいれば、世の中の事故事件は大いに減るのではないだろうか。

考えてみれば、集団の中に一人二人、人当たりの良い、まとめ役になりそうな人がいたりすれば、何かと話は進むものだ。人には個性があり、コミュニケーションが苦手な人も多いが、社会人としての実力がないわけではない。そういう人の苦手を支えることだけを仕事にするヒューマノイドがいれば、その軋轢を減らすことは可能なはずだ。

あるいは、極端な不幸や悪い生活環境から、ひねくれたり極端な思想を持ってしまうような状況が作り出されるのを防ぐことができるのではないか。それは例えば近所の人に目を配り、子供が怪我をしていないか、街に出てこず引きこもっている人がいないか、いるはずなのに人気のない家がないか、といったようなことが分かり、それを地域が共有できれば、何らかの行動は起こせるし警戒もできるだろう。

そしてこれは現実社会だけでなく、電子空間上にも言えることだ。SNSやフォーラムの中に適当な割合で紛れ込んでいて、トラブルが起きそうになると事前にそれを認知し、上手く誘導してくれるような存在だ。

これを思いついて書き出してみて改めて思うのは、この存在とはすなわち「おせっかいおばさん」なのだということだ。決して警察や自治会などではなく、民生委員でもなく、つまり役割として存在するのではなく、普段から生活する同じレベルの仲間であって、かつ他の人よりも周りのことが良く気づき、またおせっかいもしてくれる存在。近所づきあいが大事なんて言うけれども、結局こういう存在の存在こそが、かつての日本の治安を守っていたのではないか。

個人主義の台頭で廃れてしまったおせっかいおばさんの存在こそが、明日の日本の経済発展のカギなのかもしれない、とすら思う。

2020年2月26日水曜日

自動殺菌ノブ


SARSもMERSも新型コロナウィルスもそうだが、感染経路というのは飛沫の他に接触感染がある。このうち、公共の場にあるつり革や手すり、ドアノブ、エレベーターのボタン等は、重要な感染経路だ。今でもこれらは抗菌剤で作られていたりするが、完全には程遠いというのは明らかだろう。もしこれを完璧にできたら、と思って考えてみた。

  • 電熱によるもの
    • ドアノブは現在と同じく金属製であり、その内側に電熱ヒーターを配する二重構造。人が触っていないことを検知し、瞬間的に高温にすることで殺菌する。
    • 人が接触しようとしているときには温度が下がっている必要があり、センサ等の手間を考えると実用性が低い。家庭では有効と思われる。
  • 殺菌剤によるもの
    • 表面を梨地状に加工し、微細な穴を開けておいて、内側からアルコールを染み出させるもの。
    • 殺菌剤の補充、染み出させるタイミングが課題。ボタンをつけておく(自らの意思で出す)のも良いが、それを分かっている人向け。
  • オゾン発生によるもの
    • 同じく表面の梨地加工、微細穴にしておき、内側を空洞にしておいて、常時オゾン発生装置からのオゾンを微細穴から吹き出させるもの。
    • オゾンは生存期間が短いので、有効な量の確保が課題。長いパイプ等では心もとないので手元で発生させたい。
  • 光触媒によるもの
    • 原理はオゾンとほぼ同じである。表面加工、微細穴は同じで、表面には光触媒をコーティングしてある。内側に紫外線LEDを仕込んでおき、これを光らせると穴から光が漏れ、表面の光触媒が活性化し、殺菌する。内側からなので表面に光が届きにくいが、これは表面加工と穴の大きさ・形状等の工夫で乗り切る。
    • 四六時中光らせるとなると電線を光らせなければならず、大変だ。電池を使用するのなら、握って回した時に働き、5分間光り続ける、といったようなタイマーセットが有効だろう。
    • 穴でなくとも、アクリルやガラス、ポリカーボネイト等の透明素材で作ればもっと簡単である。また、この光はインテリアとしての価値もあるので、その点は興味深い。

これらを比較してみて、光触媒式が一番優れていると思った。この方法は、ドアノブに限らず手に触るところなら何でも応用できる。

2020年2月15日土曜日

陽圧空気清浄マスク


USB充電式のファンが付いているマスクを見つけた。例えばこれだ。

https://www.thanko.jp/shop/shopdetail.html?brandcode=000000002717&search=%A5%DE%A5%B9%A5%AF&sort=

きちんとしたマスクは息が吸いにくいので、こういった工夫は歓迎する。しかし、これ以外にも色々あるのだが、どれも大げさな外観なのが不満だ。また、ファンが付いているのなら、マスク内は陽圧なのだから、口の周りを密閉しなくてもよいのではないか。

そこで、少し形状を変えてみることを提案する。まず形状だが、飲食店で使うような、ほぼ透明のマスクを考えてみる。例えばこんなものだ。

http://www.asahisogyo1955.com/fs/asahisogyo/25889
https://item.mercari.com/jp/m27934061480/

上、左右が開いており、しゃべる時に唾が飛ぶのを防ぐだけ、といったような形状である。これだと開き過ぎなので、もう少し、肌に触れるぎりぎりくらいまでは囲ってやる方が良いだろう。

次に、このマスク中にパイプを通し、そのパイプは胸ケットに入る空気清浄機に繋げる。胸ポケットの空気清浄機は電池駆動で、空気をフィルタリングしてそのマスクの中に送る。マスクの中は狭い空間であり、そこに空気が吹き出すことで陽圧になり、マスクの中の空気は清浄な空気だけになる。という算段である。

最初に上げたUSB充電式のモノは、実は風量が弱くて吸気の際に脇から外の空気が入ってきてしまう危険がある。しかし本提案のものは胸ポケットに大容量電池を仕込めるので、大風量が可能であり、その危険はない。但し、そのせいで目が乾いてしまう可能性があるため、目に風が届かないような工夫は必要になる。これはマスク側で対処するのが本筋だが、目だけをゴーグルで覆うことも可能だろう。

尚、この機構は、いびき治療などに使われるCPAP

https://www.google.com/search?q=CPAP&client=firefox-b-d&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ved=2ahUKEwjit8rRxcbnAhXB7GEKHVe2BVMQ_AUoAnoECAwQBA&biw=975&bih=562

と殆ど変わらない。ただ、吸気のみに気を付ければ良いので、空気は送りっぱなしで良い。呼吸に合わせて送ることは電池の節約になるが、その分機構は複雑になる。センサや制御のコスト次第だが、多くの場合は不要だろう。

2020年1月20日月曜日

インフレータブルボートテント


インフレータブルというのは、要するにバルーンのことだ。遊園地にあるような大型のインフレータブル遊具、例えば滑り台等は有名だし、ボートにもそのようなものがある。飛行機の緊急脱出用の滑り台は、脱出後そのままボートになるが、あれもインフレータブルだ。

この脱出ボートだが、これと同じようなアイデアをもって、一家に1台インフレータブルボートテント、というのを考えてみた。

サイズは大人二人子供二人に耐える程度。インフレータブルなので当然小さく折りたたまれている。これを脹らませると、ボートになる。この場合のボートとは、漕ぐためのものではなく、水に浮かぶためのものだ。想定しているのは洪水や津波である。そういった事態にこれに乗り、溺れるのを防ぐのが目的だ。

そして更にインフレータブルの柱を脹らませると屋根が立ち、雨風を凌ぐことができる。先程の飛行機の脱出滑り台には同等の機能があり、雨風を凌ぐことができるが、基本的にはこれと同じである。このボートテントがあれば、もし洪水でなくとも、普通に庭に出して膨らませればテントになる。

登山用のテントは、床はシート一枚でしか隔てられていない。地面のゴツゴツはそのまま感じるし、断熱性がないのでそのまま寝るのは無理だ。インフレータブルマットやクッションを使うのが普通である。これに対しこのテントはそれらが要らない。

洪水に備えてインフレータブルボートを買うというのはちょっと常人には行き過ぎに感じるかもしれないが、これだったらどうだろう。普段のキャンプにも使えるし、洪水・地震どちらの災害にも使えるとなれば、少しは触手が動くのではないだろうか。

2020年1月3日金曜日

地球温暖化と宇宙冷蔵庫


宇宙は真空なので、温度の伝達は伝導・対流・放射のうち放射しか効いてこない。太陽光が当たらない空間を作ってやれば、放射し続けるしかないので、物体の温度は下がる一方であり、終いには絶対零度に限りなく近づいていく。宇宙冷蔵庫のごく簡単な原理だ。

宇宙冷蔵庫を擁した巨大な人工衛星を考える。これは単純に、常に宇宙の暗い方向を向いている深いパラボラの中心に閉鎖空間を作るだけだ。パラボラの内側は鏡面加工をしておき、外側は太陽電池を貼っておく。

ここから、少しだけ空気がある成層圏にまで下ろす、長いパイプがある構造を考えてみる。人工衛星は向きを常に変えるので、パイプとの接続は難しいところがあるが、まあここはとりあえず置いておく。

宇宙冷蔵庫には、最初にごく薄い空気を入れておく。すると、そこが放射の原理で徐々に冷えていき、その空気は液体化する。するとその中の気圧は下がり、パイプの先から空気を吸い込む。その空気はまた冷えて液体になり、… ということを繰り返すと、放っておいても宇宙冷蔵庫にはどんどん液体空気が溜まっていくことになる。

二酸化炭素は-78.5℃でドライアイスになり、酸素は-183℃で液化する。窒素は-195.8℃だ。だから、宇宙冷蔵庫では最初にドライアイスができる。これを分離して恒久的保管庫に移したら、残りの液体酸素や液体窒素は別のパイプで強制的に成層圏に落としてしまう。これを繰り返すと、殆ど動力を使わずに、二酸化炭素を回収することができる。

まあ、量的な面とデブリのことを考えれば、非現実的な提案ではあるのだけれども、こんなことまで真剣に考えなければならない時代というのは本当に来るのかもしれない。

2020年1月1日水曜日

蒸れないワイヤレスイヤホン


小型のワイヤレスイヤホンがだいぶ普及してきている。まだまだ大きいものもあるが、小型のモノだと補聴器なみに存在感がなく、音楽を聴くだけでなく通知を聞くのに入れっぱなしにしておきたいくらいだ。しかし、ここには二つ問題があって、一つは外界の音が聞きにくいこと、二つ目は耳の穴が蒸れることだ。

第一の方法は、ノイズキャンセリングイヤホンの原理を使うか、片耳だけにすれば何とかなる。しかし後者は問題だ。大きな穴を開ければ音が漏れるし、ファンを仕込むにもスペースは小さすぎる。この問題をどうにか解決できないか。

そこで考えたのだが、蒸れるのが問題なのだから、湿気だけでも逃がしてやれば良いのではないか、というものだ。そこで出てきたアイデアがこれだ。

イヤホンの内部に、ゼオライトを一粒入れておく。ゼオライトは、除湿器でも使われているような吸湿素材だ。イヤホンを耳に付けている間、このゼオライトが湿気を吸ってくれる。吸い具合の調整は、ゼオライトを入れた部屋と耳穴との間の通気口の大きさで調整する。そして、充電時にはゼオライトを電熱で温めて、放湿するわけだ。電熱は必ずしも内蔵させる必要はなく、充電器側に仕掛けを入れても良い。

これ、結構いける気がする。簡単で安価で効果がありそうだ。どこかで作ってくれないだろうか。

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