2024年10月9日水曜日

国民生活統合保障制度とプライバシー

ベーシックインカムには反対である、と既に述べているが、社会的にはあまり支持されないものだろう。社会主義の匂いを感じる人もいるだろうし、国が制定する設定生活レベルの低位安定も不安になる。

もし「金銭配布で済ませる」という枠組みを維持したまま社会保障の新しい形を考えるとすると、「オプトアウトによる自動的な保障」が良いと考える。つまり、拒否しない限りは有利になる保障は自動で受けることができる、何も考えなくて良い、というものだ。これなら既存の社会保障はそのままで、手続きのところだけ変えれば済むので、現状から大きな逸脱は起こらない。例えばライスステージの各々による支出の変化にもある程度追従できる。(児童手当など)

健康保険証を提示しなくても健康保険が適用され、後期高齢者になれば自動的にルールは入れ替わり、高額医療費も自動で適用される、・・・ というものである。自動でマイナンバーに紐づいた口座に自動振込される。その内訳を見ることはもちろん可能で、マイナポータルにログインすればよい。

年金の受給年齢をフレキシブルにするなどというものについてはデフォルト値を決めるだけでよい。もちろんそのデフォルト値を変えることは可能だし、変更可能な期限やその選択肢の説明なども通知は行く。バーターになるもの(医療費控除とセルフメディケーションなど)は各々資産の上でユーザに有利なものが選択される。生活保護相当より給料が低い場合は、自動的に生活保護相当との差分が支給される。もちろん生活保護自体の捕捉率も100%だ。

従来の社会保障の多くはオプトインだったので、複雑な手続きや期限があり、使い勝手が悪かった。また生活保護相当者の捕捉率は、わざと低く抑えられてきた。こういうものを解消するのだ。

ベーシックインカムと名付けてしまうと、個人の事情に関わらず一律支給というイメージが付いてしまうが、日本人はこれは好まないだろう。従来の「特別扱い」を維持しつつ支給するには、このようにするのが良いと考える。これを仮に「国民生活統合保障制度」と名付けることにする。

このためには、国民の属性を必要なだけ収集する必要がある。つまり、収入があればその全てを、家族がいればその全てを、病気や障害があればその全てを、当然年齢を、国に知られる必要がある。

これはいわゆる名寄せの危険に対する不安を呼び起こすことになるが、各々は、例えば収入は税務署に、家族構成は自治体に、病気や障害は社会保険庁などに、既に知られている。そしてそれらを基にした補助金の類を既に提供されている。なのでそれは「漫然とした不安」なのだが、もしどうしてもというなら全ては自治体(基礎自治体)に提供し、国には提供しないとするのが妥当であろう。また、職員によるプライバシー侵害には強い罰則を設けるのが良いだろう。

プライバシーの懸念を盾にオプトアウトを断るか、国や自治体を信じて楽になる道を選ぶかは国民の意思次第である。

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