2024年10月3日木曜日

サイコパスの増加に関する仮説

 

石丸某とか斎藤某とかの言動を見ていると、どうも人間の通常の思考回路から離脱しているような屁理屈を、方便としてではなく本気で信じているかのように見えるところがある。巷の分析ではサイコパスの疑いが濃厚だそうだ。こういう人が立て続けに出てきたことには、象徴的な意味があるのではないかと思う。

まず、サイコパスという言葉は正式な医学用語ではない。では医学的にはどう言うかというと、「反社会性パーソナリティ障害」というのだそうだ。略してASPDという。

https://ja.wikipedia.org/wiki/反社会性パーソナリティ障害

これをざっくり言うと、通常と著しく異なる発想や行動を取る(パーソナリティ障害)もののうち、その発想や行動に反社会性があるもの、ということになる。そしてパーソナリティ障害には他にも「依存性」「強迫性」「不安性」「瞑想性」など多数あり、特定の一つだけでなく多数が重なっていることもある。

サイコパスの場合、自分を守るあるいは自分の欲求を満たすためなら倫理や法律を無視しても構わない、という根本がまずあって、ここから嘘をつく、他人を騙す、そのごまかし方、屁理屈のこね方が上手い、更に他人の(主に心の)痛みに対する共感力が無い、といった特徴がある。だから相手がいくら傷ついても自分は平気、傷つけることを厭わない。

この「嘘」だが、事実を捻じ曲げるという方向もあるが、屁理屈とも言う通り、論理を捻じ曲げるのも彼らの得意である。一見正しそうだが実は間違っている論理というのは世の中に多数あるが、サイコパスはこれを(知った上でかどうかは分からないが)巧みに使いこなす。

事実の捻じ曲げ方のテクニックとしては、「多数ある情報のうち、自分に都合の良いものだけつまみ食いする」いわゆるチェリーピッキング

https://ja.wikipedia.org/wiki/チェリー・ピッキング

行為がよく使われる。斎藤某の場合は、議会満場一致で不信任になったのに、「辞めないでください」という高校生の一通の手紙を頼りにまた選挙に出ようとしている、といったことが挙げられる。前長野県知事の田中康夫氏は、斎藤某と同じく議会で不信任を受けた後に選挙で知事に返り咲いたが、このケースは田中氏が「議会には嫌われているが民衆には好かれている」という事実を見据えたものだった。今回の斎藤氏は民衆にも明らかに嫌われているので、冷静に考えれば落選は確実と判断すべきところ、そういった量的な分析ができていない。

チェリーピッキングと似た行為として、恣意的な論理展開がある。「論理展開における前提条件についてのチェリーピッキング」を行い、自分に都合の良い論理だけ主張する、というようなものが代表的だ。

人が会話をするとき、あるいは議論をするときでさえ、論理的に完璧な因果関係というのはなかなかない。その背後にある条件が変われば因果関係は弱まるし、逆転することすらあり得る。だから議論をするときにはその前提条件に常に注意する必要があるのだが、それを意図的に無視すれば自分の都合の良い論理展開ができる。

石丸某が職員と議論している動画で、石丸氏との会話より先約があった別の人との会話を優先させたことに対して職員を問い詰める、というものがあった。ここで石丸氏が駆使した手法がこれである。優先順位の付け方における原則とその前提条件の扱いを、意図的に捻じ曲げたものだ。

より上位の上長との会話を優先させるのは部下としては当然だが、それは先約がない場合の話である。この時は先約があったので、その先約と上位上長たる石丸氏のどちらを優先すべきかについて職員は石丸氏に尋ね、石丸氏が「いいですよ」と言ったので先約を優先した。しかし彼はそのことを後からなじったのである。前述の映像では、上位上長との会話を優先すべきという原則論のみを展開し、職員が「いいですよって言いましたよね」と何回も言っているのに、それを無視して原則のみを言い続けていた。当然会話は成り立たない。

大局的に見れば、ツマラナイ押し問答を繰り返して時間を浪費するよりも、さっさとしたかった会話をすべきだ。だが彼は、自分が後回しにされたことが気に食わなかったので、屁理屈をつけて職員を非難することでスッキリしたかったのだろう。目的が個人レベルの粗末なことであり、それを達成しても市民の役には立たない。時間の無駄であるし、今後の職員の心象は悪くなって結局自分に不利になる。当然、彼自身も含め、誰のためにもならない。公人しかも首長としての仕事の優先順位の付け方として根本的に誤りである。

ちなみに、この2つのテクニックは陰謀論でもよく使われるので、知っておくと役に立つだろう。

さて、私は最初に「象徴的な意味がある」と言った。

https://spockshightech.blogspot.com/2017/09/blog-post_17.html

https://spockshightech.blogspot.com/2019/05/blog-post_8.html

https://spockshightech.blogspot.com/2017/01/blog-post_8.html

このような投稿を過去にしているのだが、そのどれもが「ストレスの増加」を原因として、その結果として「不寛容」「右傾化」などが起きているのだが、「サイコパスの増加」もこの一つとして数えられるのではないだろうか。つまり、幼少期に強いストレスがあって、彼らはそのストレスへの自己防衛としてサイコパスになったのではないか、と思うわけだ。

サイコパスの特徴である「自己中心的」「共感力がない」というのは、別の視点から見れば精神的な自己防衛とも考えらえる。だから、ストレスが大きい社会ではそういう人が増えるというのは因果関係として納得できる。

彼らは、その強いストレスのお陰で自分に対する自信を失っており、相手との協調協力は始めから行うつもりがない。支配か服従かしか選択肢がないと思っているのだ。そしてもちろん服従するつもりはなく、支配する側に回ろうとする。それが自我を保つための全てなので、そのためには何でも許されると思っているのだ。

右傾化も不寛容も同様で、やはり心理的な視点からは自己防衛と言える。それらと同列なのではないか。つまり、強いストレス社会において、ある人は不寛容に、ある人はサイコパスになり、あるいは右傾化する。陰謀論者も同列だろう。そしてその数が多くなれば、首長にもそういう人が目立ってくる、というわけだ。

世の中が不寛容社会になり右翼やサイコパスが世間に増えてくれば、それを(優しく)咎める人も減る。教育の効果も落ちるだろう。そういうものが負のスパイラルを描いているのではないだろうか。

この仮説が正しいかどうかを検証する必要があるかどうかは分からないが、ストレスが低い社会を目指すというのは、この仮説に限らず現代社会が進むべき方向性だろうと思う。

とここまで調べたところで、改めてサイコパスの環境依存性について調べてみたところ、サイコパスには遺伝的要因が大きいということが分かった。ガックリである。

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