2024年10月10日木曜日

終日運用を想定したVR環境

 朝起きてから寝るまでの大部分の時間をメタバース空間で過ごすと仮定した際、各家庭にどんな機器を設置すれば良いかを考えてみる。

現在のところ、VRゴーグルの連続稼働時間はせいぜい2時間である。これを16時間程度に伸ばすには、極端な省電力化か、連続的に給電するか、しかない。省電力化の方法として期待されているのはレーザー網膜投影だが、これはまだしばらく時間が掛かりそうだ。よって当面は給電方式になる。

給電には有線と無線があるが、有線だと手を動かした時に引っかかるので、ここでは無線を考える。後述する無限軌道デバイスから給電してやるのが良いだろう。数m級の無線給電の技術は、実験では色々とされているが、まだ実用化(商用化)はされていない。これは汎用を目指すからこうなるので、VRゴーグル専用とすることで認可は取りやすくなるはずだ。

また、VRゴーグル自体の性能ももっと向上させる必要がある。主には解像度と視野角がまだ足りない。これらを増やせば計算能力も必要だが、これは後述するようにVRゴーグルから外出しすることが可能だ。

次に無限軌道である。歩く走るといった運動をするためには無限軌道が必要だ。市販されているものでは、滑りやすい靴を履いて半球状の台の上を歩くというものがあったが、これは足元が不安定だし、地面の形が平面にならないので好ましくない。

ディズニーが実験的な無限軌道を作っているニュースがあったが、あのようなものが良いと考える。また上の(滑る)市販品の直径はせいぜい1mくらいだったが、人間の運動範囲を考えると1.5〜2mくらいは必要だろう。

無限軌道は必ずしもキャタピラである必要はなく、例えば大量のベアリングを並べてモーターで回すとか、表面を超音波モーターにしてやるなど、幾つか考えられる。個人的には超音波モーターに魅力を感じる。

次に体の動きだが、手首足首にトラッキングツールやマーカーを着けて無線で把握するというものは市販されている。また手にコントローラーを持つ前提のものも多いが、これは止めるべきだろう。

無限軌道デバイスがある前提なら、その無限軌道デバイスからカメラで撮影すれば、トラッキングツールやマーカーは不要なのではないか。つまり、無限軌道デバイスの周辺に複数のカメラを埋め込んでおけば良いのではないか。下から見上げることになるが、見下ろすところはVRデバイスのカメラでできるので、下半身の動きを補強することでバランスがとれそうな気がする。

最後だが、椅子やベッド、テーブルの類をどうするかだ。1日中立っているのは疲れるし、事務作業は椅子に座ってキーボードを叩く、ないしはペンで書く、といった作業が必要だろう。

このためには、無限軌道デバイスをベッドぎりぎりに設置しておいて、寝る時にはそこへ移動する、というのが正解だろう。これで寝るのと座るのはできる。椅子の高さや硬さが調整できないが、これは妥協する。

机だけは解決策がないので、いったんゴーグルをMRモードにして、リビングの椅子とテーブルに移動してから改めてVRモードにする、といったことが必要だろう。キーボードやペンもリビングに置いておく。

ここまでのところを整理すると、①無線給電に対応したVRゴーグル、②無線給電と姿勢検知カメラを内蔵した無限軌道デバイス、これらさえ開発できれば、従来のVR体験にも増してかなりの体験ができることになる。②はAC接続だから、CPUを載せてVRゴーグルの計算の一部を肩代わりすることも可能だろう。これはVRゴーグルの軽量化、低消費電力化に貢献するので、一石二鳥である。例えば無線給電だけでなく無線LANも内蔵させてペアリングしておけば、①からはセンサのデータを飛ばし、②からは計算結果としての左右の眼の動画ストリームを流すだけで済むので、①はかなり小さくできるだろう。

これは今の8万円のVRゴーグルだけの体験よりは遥かにリッチになるので、①②セットで30万円くらいでも売れると思う。もちろんコンテンツの充実は前提だが。

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