メタバース上の「モノ」、例えば衣服やアクセサリやオブジェ等は、ワールドをまたいで、あるいはメタバースプラットフォームをまたいで使うことはできない。これを解消すべくMetaは協議会のようなものを開いているが、その成果は未だ現れていない。以前も主張してきたが、プラットフォームとワールドという二段階で世界が分断されている現状は、望ましくない。更に言えば、服のような「形だけ、色だけ」のアイテムではなく、ウォレットや契約書、書籍、あるいは電子機器のような「機能性のあるアイテム」には、全く互換性は無いと言って良いのが現状ではないかと思う。
二次元の画面ではなく三次元の空間を扱うメタバースOSは、全面的にUIを乗っ取るべきではない。メタバース空間自体はあくまでもOSが管理し、アイテム類はOSの上で並行して動く複数のミニプログラムとして存在すべきであり、そのミニプログラム同士でもデータのやり取りを(位置ベースで:近づく、触れる)できるようにするのが正しいのではないだろうか。そしてそのUIとAPIを標準化して、開発ツールとして開放するのだ。そうすれば複数のワールドを渡り歩いて使えるようになる。
そして、メタバースにおけるAPIやUIは、現実世界のメタファを引き継ぐべきである。なぜならそこは3D空間であり、現実世界の模倣だからだ。既存のPCのAPIのように、何のメタファもない状態でAPIを作ってしまうと、自由度がありすぎて互換性が無くなってしまう。これに対してネジには物理的規格があるので世界中で通用する。物理の法則は勝手に作れないから、APIとしても自然に大人しくなり、結果として互換性は増すことになるはずだ。
そこで本提案では、その仕様として①物理法則、②電気、③光学、④情報、を規定するものとする。つまり、メタバース上の「モノ」には物性や電気的特性等を付与し、そこを通じて他の「モノ」と連携するのだ。
従来のコンピュータのUIやAPIは自由度がありすぎ、相互接続が困難だったが、物性なら誰でも知っているし法則も少ない。例えば複数の歯車を組み合わせて時計を作るとか、建材を加工して家を建てるといったことが可能になる。電気で言えば、銅線を巻いてモーターを作ったり、電球を作ったりができるようになる。
情報で言えば、近接通信を設定してお互いがウォレットを近づけると操作可能状態になり、送る側が金額を指定して送れば相手のウォレットに送金される、といったことが可能になる。
契約書の作成については、両者が契約書を手に取り、双方が署名を許諾すると、その場で署名済みの契約書が作成され、両者のアイテムボックスにコピーされるようにするのが良いと思われる。また、契約書に紐づくスマートコントラクトが設定できるようにするのが良い。例えばアイテムの販売なら、モノの所有権の移動と対価の支払いがセットになっている必要があるが、これが契約書に書かれていれば、契約の成立と同時にそれらの処理が自動で行われる。
なお、ステータスウィンドウのような投影画像は、モノではないとみなし、空中に浮かんでいて良い。
こういった法則に基づいてアイテムを作れば、メタバース上のアイテムは、素材の組み合わせによって急速にリッチになる。現実の世界でもできていたように、メタバース内でPCの自作とかモデルガンの改造とかも可能になるだろう。ルーブ・ゴールドバーグ・マシンだって夢ではない。
但し、どこまでも現実世界をシミュレートする必要はない。例えばニュートン力学は模倣しても良いが量子力学まで踏み込む必要はないし、摩擦ゼロとか電気抵抗ゼロとかのいわゆる理想状態も想定して良いだろう。物理的な存在の加工精度や誤差もゼロにして良い。そうしないとモノの動きの計算が複雑になってしまう。
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