2018年1月8日月曜日
AIロボット兵士の是非
https://www.newscientist.com/article/mg23631512-900-letting-robots-kill-without-human-supervision-could-save-lives/amp/
Google翻訳で読んでみても大体のことは分かるが、まあ興味深いことだ。将来導入されるであろう、人間の指示を待たずに自分で判断して敵を殺す軍事ロボットの脅威に関し、人(兵士)が判断して殺すよりも信頼できるのではないか、自動運転の方が人の運転より信頼できるように、というのが主旨のようだ。
確かに、裏切りやら極限の精神状態での判断やらといったヒューマンエラーの要素をロボットが持つことはないので、一見正しいように見える。おそらくこれは、建物が入り組んだ市街地で、敵兵士と民間人が入り乱れているような状態において、敵のみを殺す用途には向いている、との主張だろう。
だが、これには二つの問題点がある。第一は、そもそも敵を定義する人間の間違いや恣意悪意を正すことはできない、ということ。二つ目は、ロボットは人間よりも安価で大量に導入できる、ということだ。
敵をどう定義するかをAI的に考えてみると、自分(ロボット)を攻撃してきたら敵、と単純に言えるだろうか。あるいは爆弾を抱えていたら敵か。何れも判断は単純ではない。ロボットが民間人の見方とは限らないし、人質爆弾の可能性もある。相手が持っているものが武器かどうかの判断も、やはりそう簡単ではない。よって当分の間、敵の定義は一律ではなく、都度インプットすべきものだ。
例えば人質救出作戦において、人質の情報が曖昧だった場合、犯人と人質をどう区別すればよいのか。間違って人質を殺してしまったら問題だし、犯人をかばってもやはり問題になる。人質の重要度によって判断基準を変えることも考えられる。
その判断基準を打ち込むのはAIプログラマだ。なぜならその基準設定は単純にスイッチやボリュームで設定できるような単純なものではないからだ。その結果作戦が失敗したとして、プログラマに責任を押し付けることができるのか。
また、市街地でのゲリラ戦において、一人のAIプログラマが千台のロボットに同じ命令を与えて町全部を攻撃したとする。結果として数千人のゲリラと数百人の民間人を殺したとする。そのプログラマ一人の判断が全ての(成功と)間違いの原因を作ったわけだ。つまり、一人の間違いが、ロボットの投入数に比例して増大する。
白兵戦であれば、どんな歴戦の勇士でも、一回の戦闘で何百人も殺すことは不可能だ。だがロボットならそれができてしまう。戦争を単純にゲームとして見れば効率の高さは善だが、それは核ボタンを持ち歩くような重責にもなる。
それでも、ロボットの判断システムが素晴らしく優秀になってくれれば話は別だ。テロ集団が人間の盾を使ったり民間人に偽装していたりしても、全て見つけ出して綺麗に殺してくれるのなら、民間人は安心して日常生活を続けることができる。遥か遠い将来のことではあるが、そこに行き着く過程として、上のような過渡期は存在せざるを得ない。その狭間で(試行錯誤の糧として)殺される人は、たまったものではない。
技術的には正論だが心情的に受け付けない。こんなところも戦争のまどろっこしいところだ。
登録:
コメントの投稿 (Atom)
注目の投稿:
使い捨てアプリとスマホの今後
Google I/Oの印象 において、使い捨てアプリの時代が来ること、またユーザが直接アプリを触るのではなく、ユーザ側にもAIアプリが使われることで、AI対アプリの時代が来る、と予測した。 そういう時代においては何が普通になっていくのかを考えてみた。 自分が使いやすいようUIを...
人気の投稿:
-
ナフサの現状 から2ヶ月強、AIをClaudeに変えて、改めて分析したレポートをお知らせする。 --------- 2026年ホルムズ海峡危機 日本の石油需給・財政・産業構造への影響分析 作成日:2026年8月9日 分析対象期間:2026年2月〜2027年以降(予...
-
一日千人の利用があるのに廃止する路線バスのニュースがあった。理由は運転手不足だという。 中期的にはこれは自動運転で置き換わっていくのだろうが、そうすると今のバスでは都合が悪いように思う。自動運転の時代には、「大型バスで定期運行」という形態そのものを見直すべきだろうと思う。 ...
-
合計特殊出生率が1付近でウロウロしている時代が長く続いている。これは一世代で人口が半分になるという急速な少子高齢化を意味しており、現在の日本で既に数兆円規模で行われている少子化対策費をもっても止められていない。移民やAI・ロボットによる労働力支援は窮余の策ではあるが根本的解決...
-
以前投稿した 太陽炉とシリコン発電所の設計 だが、その後GeminiからClaudeに切り替えて検討してみたところ、思ったほど簡単ではないことが分かった。そこでClaudeベースで再検討をした結果をお知らせする。 まずClaudeが指摘したのは、酸化ケイ素から酸素を分離...
-
8月版 に続き、9月版をお届けする。 大雑把に言うと、以下の通りになる。 原油の輸入量 は予想を遥かに上回る速度で回復し、 7月には2月とほぼ同等になった 。だがこれは3月4月に新たに調達したものが6月7月にたまたま重なって到着したためにそう見えているだけで、恒常的に見るとタ...
-
空調服が世に出て久しいが、不格好なのは相変わらずで、着る気がしない。その理由は明らかに「ハリセンボンのように膨らんだ形状」である。 膨らむ理由は空気を「吸い込む」構造だからだ。ファンから吸い込んで、首や裾から吐き出している。であれば逆に「吸い出す」構造にしてはどうか、と考え...
-
アメリカーイラン戦争を発端としたナフサ不足、塗料不足への懸念から、カルビーがポテトチップスなどのパッケージをモノクロにすると発表した。 2026年6月第4週の売上は、物珍しさ等から前週比45%増と大きく売り上げを伸ばしたが、その後は売れ行きは一気に落ち込んだ。定量的な減少量...
-
図書館で本を借りたいと思った時に苦労するのは、どこに所望の本があるかが分からないことだ。小さい図書館ならともかく、大きな図書館では階が違っていたり、分類を間違えたり、と手間が掛かる。まあそれが楽しいという人もいるだろうが、自分としてはさっさと借りて帰りたい。 そこで考えるの...
-
民主主義が限界に来ている、とは色々言われている。だが、ならどうすべきかについてはどうも議論百出であり、自分としても「これは」と思うものが無かった。そこで色々調べていて、「パンアーキー」という考え方を見つけた。これが自分の考えに比較的近いと思ったので、この考え方について紹介する...
-
Google I/Oの印象 において、使い捨てアプリの時代が来ること、またユーザが直接アプリを触るのではなく、ユーザ側にもAIアプリが使われることで、AI対アプリの時代が来る、と予測した。 そういう時代においては何が普通になっていくのかを考えてみた。 自分が使いやすいようUIを...

0 件のコメント:
コメントを投稿