2018年1月28日日曜日
宅配ロボットと自動倉庫の融合
使わない荷物を預かってくれるサービスがいくつか出てきている。これと宅配を結びつけることは十分に考えられることだろう。Amazon.comがやっているような、家の中に勝手に入るよりはよほど安心できる。
このサービスは大きくは二種類ある。ある程度の大きさの倉庫をレンタルして、そこに自分で荷物を出し入れするもの。もう一つは、段ボールを宅配便で送受するものだ。前者は定額で最大容量制限あり、また自宅の近くであり、自分の都合で何時でも出し入れできる。後者は段ボールの数に比例する従量課金で、出し入れは宅配便に依存するので時間と受け取りの手間が掛かる。
どちらでも可能だが、ここでは後者を考えてみる。すると、こんな仕掛けになる。
個人は自動倉庫に荷物を預けられる契約をしている。そこを配送先に指定すると、宅配業者はその個人の荷物として荷物を自動倉庫に預け、通知をする。個人はその通知を見て、好きなときに荷物を出す。直ぐ出す気がないならそのまま放っておく。例えば季節モノの服をクリーニングに出して、そのまましまってもらうなどだ。
これを更に便利にするのがロボットだ。荷物を指定して、自動倉庫連動で荷物を出し、自宅に届けてくれる。人間の宅配業者と違ってセキュリティの心配がないし、自動倉庫と連動で費用も安く設定できるだろう。ロボットだから在宅のタイミングも勝手に調節してくれる。
現在はこのロボットがなく、ダンボール一個二百円/月だが出し入れは宅配便のため、頻繁に出し入れするには向いていなかった。全工程をロボット前提にしてここを大幅に安くしてやれば、気軽に出し入れをすることが可能になる。例えばダンボール二十個まで、出し入れ月十回までで月1万円の定額としたら、だいぶ普及しそうではないか。
このシステムが発達すると、大部分の荷物は倉庫に出し、屋内は必要最低限のものとする生活が可能になる。季節の服はその代表的なものだが、他にも記念の品(学校で作った作品や賞状、旅行土産など)が入る。
また、個人のものとリース、更には購入前の品との境目が曖昧になっていくことが考えられる。例えば服なら、自分のものとして保管するよりも、初めからリースにしてしまうとか、シーズンオフや流行遅れのものを他人に貸すような仕掛けが生まれるかもしれない。買い物にしても、最初から自動倉庫に保管しておいて、購入すると同じ仕掛けで送られてくるようにできる。
買い物画面と自分のものの画面、リースの画面が一体化して、引き出すときにカネが掛かるか掛からないかという違いしかないのだとすると、所有欲はぐっと減るかもしれない。また、クリーニングや修理などがここを経由することで、小型家電や本もこの仕掛けに入っていくことが考えられる。
自動倉庫自体も仮想化され、実際には遠くの巨大倉庫と近場の分散倉庫がロボットで連携しているような状態になっていて、需要が見込まれるものをあらかじめ分散倉庫に移動するなどの最適化が行われることも想像できる。
こうなると、人は余計なモノを買わなくなり、モノの使用効率も高くなる。同時にスペースの使用効率が高くなる。端的には、狭い家が許容されるようになる。結果としてこれは、人がより少ないモノで生きていけることになる。
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