2018年1月12日金曜日

AIの持つ知見同士を付き合わせる技術


学習済みのAIに質問を投げ掛けると、何%の確率でどうだ、という答えを返してくる。しかし、その知識を全てひけらかすことは原理的にできない。こういったAIが複数あるとき、その知見同士を結びつけることはできるのだろうか。

これは、データと学習という観点でも興味深い。例えば市役所は市民のデータを持っていて、市民の行動に関するAIが動いていたとする。一方で、近所のスーパーマーケットは当然購買データを持っていて、買い物に関するAIが動いている。ここで、このAIを付き合わせるとどうなるか。

本来なら、データを両方とも持ってきて、一つの巨大なAIに食わせることになる。だがそうするのではなく、学習済みのAIを付き合わせることで同じ効果が出るのであれば、データ(プライバシーや企業秘密)を出すことなく新しい知見が得られるのではないか。

例えば、スーパーと市役所のAIが協力して、スーパーマーケットの顧客リストに対して新たに精度の高いDMを打つ、という具合になる。但し、スーパーマーケットが納税額を知ることはできないし、市役所が購買履歴を知ることもできないようにする。

これを抽象化して考えると、ある人物Aが行動Bをとる確率について、組織Cと組織Dが各々推測するものとする。組織CとDは、各々人物Aの属性をある程度知っているが、その属性は組織固有のものであり、共通するものがあるかどうかも含めてお互いに知らないものとする。そうして各々の組織が出した結論のみを、互いに突合せる。

当然、双方の結論は異なり、また人物によって、結論の差異は大きかったり小さかったりするはずだ。ここで、お互いの結論と最終的な結果がフィードバックできれば、相手の結論が自分の推論マシンにとって有益かどうかが分かる。そうすると、協力した方がよい(悪い)という判断ができるようになる。そしてもし「よい」という結論なら、その後も継続して協力することになるだろう。

この協力関係は、たまには一方的(Cには有益だがDには無益)だったり、またマトリクスになるので一週回って役に立つようなこともあり得る。更には双方の組織自体を匿名化したり、貢献のない組織をはじき出したりする仕掛けも考えられる。

こうなると、このマトリクスは市場取引のように価値が出て、相場でやり取りするようなものになるのかもしれない。

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