2018年1月21日日曜日

民間にもHCIを


HCIとは、ハイパーコンバージドインフラストラクチャ、の略だ。舌を噛みそうな名前だが、やりたいことはシンプルだ。結局それは、プライベートクラウドの物理構成をシンプルにしよう、というものになる。

外から見るとプライベートクラウドに見える。つまり、管理画面と多数の仮想マシンの束だ。ハードはSAN(ストレージ)とサーバ群、それを繋ぐ高速回線(FibreChannelなど)から構成されている。更にサーバは管理用と仮想マシン用に分かれ、管理用サーバはクラスタ等で多重化されているのが一般的だ。管理用サーバは仮想マシン用サーバとは構成が異なる。

この構成を、ソフトウェアの力を借りてシンプルにする、というのがHCIだ。具体的にはサーバ(とネットワーク)だけを準備すればよく、SANやFibreChannelが不要になる。サーバの区別は特になく、ただ増設すれば性能が上がっていく。

現状のHCIはまだ複雑だが、将来的には中小企業や個人に落ちてくるものと思われる。そのときに必要になるのは、管理ソフトをとてつもなくカンタンにすることだ。また、現状ではUPSの扱いはHCIには入っていない。これはHCIが原則としてデータセンタに収まる前提だからだが、もし中小や個人に展開するのなら、UPSはサーバ筐体内にデフォルトで内蔵されているようにするべきだ。

まず、ハードウェアサーバに搭載されているソフトは「ない」ことが必要である。つまりネットワークブート前提でなくてはならない。これは1台目とて例外ではない(例外を作ると構成が複雑になる)。1台目はUSBメモリブートにする。2台目以降は参加するネットワークが管理する。

また、可能な限り判断は自動化する必要がある。UIはGUIであり、難解な用語が入り込んではならない。そこにはさまざまなポリシーの葛藤があるはずだ。また、筐体のデザインにしても、ラックマウントありきではなく、積み重ねるなどの工夫も欲しくなる。

これに、更にオンラインバックアップとの接続、UPSの存在を前提とした、バックアップ/リストア、電源断~起動シークエンスについても、自動化・簡易化の範囲とする。

ハードとしてはUSBメモリと単一の(UPS内蔵)サーバ(とHUB、LANケーブル)があればよく、サーバをストックとして持つこともできるし、故障した時にも買うサーバは決まっている。売る側としても多種揃えなくて良いので便利だ。

これを最低2~3台構成として売り込む。また、リファービッシュを前提とした下取りプログラムや、故障修理時の代替機貸し出しサービスなどと組み合わせることで、低価格に提供できる。

リファービッシュはストレージ交換、UPSバッテリ交換、掃除が主流となり、それを見越したハードウェア構成(掃除しやすい、なるべく半田付けなど)もあり得るだろう。

ソフトウェアによる自動化・隠蔽の範囲は多様であり、また電源オンオフや構成の変更、故障やバグ対応が主となるため、そのハードルは低くない。しかしそれが出来上がった際には、中小や個人のプライベートクラウドが花開くことになる。

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