2018年1月25日木曜日
ロボット自給自足
ロボットが自分自身を生産・修理できて、またその材料と自ら動くためのエネルギーを自己調達できるなら、ロボットに掛かるコストは画期的に下がる。今はバラバラに研究されているものを、この軸で統合して研究を助成するのは、良い方針だと思う。
エネルギーの自己調達としては、自然エネルギー発電所の無人(ロボットによる)運用が考えられる。自らの生産修理も、工場の無人運営が考えられるのだが、問題はその材料だ。必要な部材をただ買ってくるのであれば、あまりコストは下がらない。
この問題の解決には、二つの方法がある。一つは材料を自ら生産すること。もう一つは故障したロボットを分解してリサイクル・リユースすることだ。これについて掘り下げて考えてみる。
別項で、ボディが樹脂製のロボットを考えている。樹脂は植物から作ることができるし、植物そのものを構造材とすることも可能だ。またモーターも植物から(なんとか)作ることができる。畑や森で育つ植物を計画的に伐採して使うことは可能だし、必要なら植物工場を運営すればよい。
そこで問題にしているのが、半導体(コンピュータ、センサ)とバッテリである。バッテリに関しては、空気アルミニウム電池など、原材料がシンプルで、他の材料を使わずエネルギーだけで再生できるものが有望である。その代わり、今の電池のように便利ではない。起電力は低く寿命も短い。
最後は半導体だ。電子回路を印刷するような技術は存在するが、必要な集積度がまるで違う。知る限りでは半導体はリサイクルに向いていない。金は回収できるが、シリコン自体は安価なもので、わざわざICから抜き取る必要がない。また、半導体の製造にはシリコンや金だけでなく、様々な化学薬品や設備が必要である。現状では半導体までを完全にリサイクルすることは困難だ。
というわけで、ボディとモーターを植物性樹脂で、バッテリはリサイクルで作るようにすれば、ロボットの大部分は自前で作られることになる。
ボディを金属で作ってリサイクルする方向性も勿論考えられるが、この場合モーターを全部鉄で作るか、鉄と樹脂のみで作るか、ということを考えなければならない。もちろん分解してからリサイクルでも良いのだが、ちょっと効率が悪い気がする。
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