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大学の研究プロジェクトが纏めた、都道府県別の各種統計情報のシミュレーションだ。ざっと見させてもらったが、なかなか面白いことが分かった。
- 2020~2030年の間に、ほとんどの都道府県(自治体)は財政赤字になる。これは東京大阪も含めて、だ。
- インフラや建造物の一人当たりの費用負担は、どんどん増えていく。
- 国からの補助が増え、例えば年金が減らされるなどの措置が取られる可能性は高い。またこれにより、自治体から自治権の委譲・剥奪が進むだろう。
- 人口が減ること、高齢化が進むことはおおむね予想通りだが、男性の比率がかなり高くなる。
- 実は東京は女性のほうが多かったのだなあ。それもイコールになってくるが。
- 逆に、福岡は男が多かったところ、均等化していく。
- 沖縄は今でも若者の町だった。高齢化してない。これからはしてくるが。
- 特に農業人口が大きく減り、地方では半分になるなど極端な県も出てくる。
- まあ、どの職業も減っていくのだが。
- 農家一人当たりの耕地面積は、どこでも順調に増えている。
ここから考えられることは、例えば近郊野菜や漁業人口が大きく減ることで、食料が不足する可能性だ。これに対応するには輸入しかないが、これはに国家レベルでは単純に支出(純損)になる。この対抗には、従来の漸次的な改良ではなく画期的な、例えば生産性を二倍にするような改革が必要になる。それもこの十年程度の時間レンジで、だ。
この道筋は既にあって、IoT活用、農業会社、水産業界の再編(大規模船舶を持つ会社化、ICT技術の導入など)、などが考えられる。問題は推進の規模、スピードだけだ。
また、財政赤字を抑えるためにインフラを節約するにはコンパクトシティ化しかないが、これもせいぜい二十年の間に人口の2/3を都市に集める、といった、極端な施策が必要である。もちろん集めた先はインフラ整備を放棄することになる。そのためには様々な法整備も必要になるだろう。
それでも土木関係の予算はそう簡単には減らないから、情報インフラ系に関しては強いコスト低減圧力が掛かるはずだ。これはクラウド化、共同利用化、パッケージ化によってなされる。つまり、従来あった地域間の特色は減って均質化が進む。鬼太郎の住民票とか特別な控除の仕掛けなどは衰退し、逆にどこに行っても同じ行政サービスが受けられるようになる。当然職員の数は減り、行政施策の多くはオンラインで閉じるものが増えていくだろう。
女性比率が少なくなることはなぜなのか疑問だったが、よく考えてみれば元々出生率は男性の方が高い。平和が続いたことで(戦争に行かないから)男性が死ななくなったことによるものと推測できる。この均衡をつけるために、男性の冷遇(女性の優遇)は政策として必要かもしれない。例えば男女で年金に差をつけるとか、医療費やその控除に差をつけるなどだ。
地方交付税交付金は、今後頼りにならなくなる。頼みの綱の東京が落ちぶれるからだ。これで地方は海外に目を向けざるを得なくなる。地方が直接外貨を獲得する手段としては、農産品などの輸出と観光誘致しかないが、そのどちらかないしは両方を極端に強化する必要がある。これも何%レベルではなく何10%、何倍、というレベルである。また、観光誘致に関しては、人口が減っているヨーロッパやアメリカではなく、人口が増加し若さがあるアジアを主戦場にする必要がある。
働き方改革で可能になる効率化はせいぜい数%だろうから、全く不足である。行政が無策であればこの先は国民総貧民化が待っている。大胆な行政改革を期待する。
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