2018年2月12日月曜日
放射線水素工場
放射線を水に充てると、水素と酸素が分離して水素酸素混合気体が発生する。この原理を使って、水素工場が作れないだろうかと考えてみた。
使うのは、高レベル放射性廃棄物、いわゆるガラス固化体である。これを細かく砕き、礫状にしたものを使う。これを水にさらす。要は、籠に入れてプールに沈めるわけだ。触媒のようなものがあれば、発生効率は向上する。後はプールの上部に上がってきた水素と酸素を分離して回収する。設備としてはこれだけである。
放射能漏れの心配は、プールの設計を正しくすれば全く問題ない。水は放射線を遮断するから、水が枯れない限り地上に放射線は出ないし、万一枯れても、放射性物質自体はガラス固化体に閉じ込められているから、放射性物質自体が出て行くことはなく、出て行くのは放射線だけで、しかも上にしか行かない。建物を覆っておいて天井にそれなりの物質を使えば漏れることはない。
水は常時継ぎ足しが必要である。不純物が混じるとそれなりに困るだろうから、純水ないしはそれに近い水が望ましい。これは、雨水をフィルタリングして投入するような仕掛けにすれば、水道代も掛からない。
この装置が故障して長時間放置され、万一水が枯れるようなことがあると、ガラス固化体は高熱を発し、溶けるかもしれない、と思われがちだが、元のガラス固化体の放射線濃度をあらかじめ調整することにより、防ぐことは可能である。一定以上の熱量になることはなく、原発のようにメルトダウンすることはない。床コンクリートを規定の厚みにしておけば、地下への放射線遮断も問題ない。
プールの水の量を監視すること、必要に応じて水を継ぎ足すこと、ガスを回収することが基本的な保守作業だ。また、時間と共に放射性は薄れていくから、プールは段階的に作っておいて、流れ作業が可能なように作っておけば、用済みのものは順序引き上げて地層処分をしてやれる。
このために作るガラス固化体は、従来のキャスク用よりも放射線濃度が高くても良い、つまり高濃度で体積効率が良いものになる。これも後の廃棄物処理に有利になる。速く燃えるので、地層処分までの年数も少なくてよい。
非常時には、爆薬やハンマーなどで破壊できる止水栓と、十分な量の水があればよい。これはプールでも良いし川や湖、海などから引き込むものでもよい。大量の水は必要ないので、山奥に作ることも可能である。
発生する水素も危険な物質だが、空気より軽いため、漏れても拡散してしまうので問題ない。回収は漏斗のようなものを使ってポンプで行い、冷却して分離し保管する。これは当然売り物になるし、施設内で燃料電池を使って自家消費することもできる。
これでどのくらい水素が発生するのかは計算していないが、深いプールを使って多数のガラス固化体を沈めることで、土地面積の効率は高いものが得られるだろう。原理は単純であり管理も楽なので、数十年~百年単位での管理も十分に可能である。
その間、水素は発生し続ける。量の制御はできないので発電所としては不適切だが、また量も大して稼げないだろうが、これなら安全かつ利益も多少は生みそうな気がする。最終処分の話はまた別として、これなら検討する、という自治体が出てくるのではないか。
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