2018年2月21日水曜日

頭のないロボット


SFやアニメで、ロボットに限らず怪獣や戦艦を攻撃する時の鍵となっていたのが、「目」だ。目を狙え、頭を狙え、というのは、何度も登場する必須パターンだった。相手の情報入手手段を奪うことだから、当然と言える。そしてその手段として、カメラのレンズを割る、強い光で撮像素子をイカれさせる、というのもよく出てきた手だ。

カメラのレンズは基本的に凸レンズだからこうなる。強い光を当てられれば撮像素子には光が集中して焦げてしまうし、レンズが割れれば焦点が合わなくなる。実に合理的だ。だが最近、レンズ不要のカメラが幾つか出てきている。

例えば、CCDにスリットを重ねて干渉縞を作るような原理のものが出てきている。これを使うとレンズが要らないので当然割れることもない。光が集中しないので、焦がすためにはさらに強い光が必要だ。また最近は、カメラ(目)は一つではなく、あちこちに多数仕込まれている。それこそアレイカメラのようなものもあるし、横や後ろを見るのに広角カメラをいくつも仕込んでいたりする。

すると、旧来の「目を狙え」は通用しなくなってくる可能性が高い。例えばロボットなら、全身にハリネズミのように撮像素子を備え、相当数が壊れても残りが補完するような仕掛けが出てくるだろうからだ。これは必ずしも戦闘のためだけでなく、周囲を立体的に捉えるのに有利だし、一つ一つの素子が貧弱でも全体で見れば高解像度の映像が得られる、という利点もある。

そうすると今度は、「頭」の必要性が薄れてくる。目にしても耳にしても、全身に分散するようにすればよいから、頭のようなものを作ってそこにセンサを埋め込む、という発想がなくなってくるのだ。

それでも人型ロボットを作ろうとするなら、頭がないものになる。脳に相当する機能はセンサと同様に分散させ、一箇所が壊れても他が補完するような作りにするはずだ。胴体にメインを置き、関節と関節の間に一つづつ、などとしてしまえば、手が無くなり足が吹き飛んでも残りで補完できる。

これはロボットの話だが、将来的にもコンピュータの作り方としては面白そうだ。別に議論をしてみることにする。

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