2017年9月12日火曜日

生物多様性とGoogle


「女性は技術職に向かない」、米グーグル従業員の主張で物議

天下に名だたるGoogleの社員でさえこんなことを堂々と考えるのか、というのにまず驚いたが、それを巡る周辺の議論の中で、多様性の意義について語るものがないのが少々気になった。

この話は単純な男女差別の話なのだが、これは広く言えば生物多様性の問題になる。その本質は、多様であることは強靭になるということだ。近代工業における大量生産は、生物ではないが多様性を排除し効率化を図ってきたと言える。これが人口爆発や大気汚染など様々な問題を生み、それを抑えようとまた技術を開発し、ということが繰り返されてきた。これは多様性を阻害したための弊害の一つだ。

極端な話、生産性を理由に男女差別をして良いのなら、障害者や老人は死ね、と言って良いことになる。生産性が悪く、将来に渡っても生産する見込みが無い人を養う理由はないからだ。これは人道的な側面からも否定されるだろうが、多様性の面からも問題を指摘できる。

例えば、女性の気持ちを組したソフトウェアがある日ヒットするかもしれない。経営危機に陥ったとき、老人の知恵が会社を救うかもしれない。未経験の事象に対して、自らの経験から原因を推測できる人が出るかもしれない。逆に、トランスジェンダーの気持ちを不用意に踏み躙って評判を大きく落とすこともあるだろう。もし多様性がなければ会社が潰れてしまうところ、それらを助け補完する人達が居ることは、会社を強靭にする。

そして、それは何処でどんな理由で起こるか分からない。分からないからこそ、多様性が必要なわけだ。全てが完璧に分かるのならそれに対して最適化すれば良いが、人間、そこまでの天才はいない。

会社の景気が悪くなると、研究費がまず削られたり、ボーナスを下げたり、新人の採用を抑えたりする。これも意味は全く一緒で、そこに逃げる会社は多様性を失い、将来の危機に対してますます脆弱になる。これを繰り返した挙句、脆弱性は増していく。そしてある日、そこを突かれて倒産する。

零細企業ならともかく、中小企業以上の企業は多様性について配慮すべきである。このことは、スーパー戦隊シリーズを見ていれば自然に身につくはずだ。

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