2019年3月24日日曜日

情報開示端末


災害時に個人の医療情報を見られるシステム、というのが以前も検討されていた。つまり、普段は個人情報なので限られた人しか見れないのだが、大規模災害時にいちいち認証を得ていては治療が間に合わないので、そういう時のみは認定して全部見れるようにする、というものだ。だが、一度そうしてしまうと、もう誰に拾われるか分からない。「災害後」までも見越したシステムとは言えない。

災害は命に係るので仕方ないにしても、そこに至る段階的な問題は幾らでも考えられるし、大規模災害に特化したシステムではコストパフォーマンスが悪い。ではどうすべきなのかというと、日頃からこういうものは全部システム上で管理しておき、開示程度に応じてデータを示すが、出てくるデータは生ではない(統制された状態で出てくる=コピー不能)ようにすべきなのだろう。

つまり、大雑把に言えば
  1. 閲覧の制限の段階(誰に開示するかを制御する仕掛け)
  2. 情報のコピー可否(暗号化したまま演算できる、写真に撮れない、録音できない等)
に各々複数の段階があって、その組み合わせで制御できる、とするものだ。今の情報開示システムは、これがごっちゃになっている。特に2.をしっかり分類し、組み合わせることが肝になる。

例えば、タブレットに表示するものとして、これが写真撮影不可にすることは技術的には可能である。例えば赤外線でランダムパターンを描くようにすれば、人には見えなくてもカメラが反応してしまい、もちろん完璧とは行かずとも、スマホ、コンデジ、防犯カメラ程度で防げれば、一定の効果はあるはずだ。音声にしても同様で、超音波でマスキングすることはできる。盗聴用に対策をされてしまえば別だが、一般の機器ならできなくするというようなことはある程度可能だ。

また、認証が継続している間のみ表示して途切れると直ちに切れる、というようなことも可能だろう。内向きカメラで顔認証をし続ける、Bluetoothドングルで近くにいる間だけ表示、などもそうだ。

情報開示先をこういった特殊端末に限定することで、情報開示の手続きを簡素化する。こう考えれば、災害時のみならず普段使いとしても、安心して情報を他者に託すことができるのではないか。そしてそれを前提として社会システムを再構築すれば、プライバシーにぴりぴりすることなく、安心安全を実現できるようになる。

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