2019年3月31日日曜日

空飛ぶ病院


ドクターヘリはある。血液やワクチンを運ぶドローンもある。しかし、手術室はまだない。

バスくらいの大きさのものを浮かすことができれば、手術室をドローンで飛ばすことは可能だと思う。しかし、今のところそんな大きなドローンはない。バス並みといえば、自衛隊が導入しているCH-47(チヌーク)が有名だろうが、このヘリコプターは8トンの積載能力があるそうだ。一方で大型バスは15トン。つまりバス一台吊り下げるというのは不可能だ。しかもこのチヌーク、物凄い風圧があるそうで、簡単には近づけないほどだそうだ。

また、手術まで現地でやろうとするのは大規模災害時のみであろうから、そもそも予算的にも困難なはずだ。それに、そもそも空を飛ぶ必要はあるのか。自衛隊には手術車両があるが、あれではダメなのだろうか。

そう考えると、空飛ぶ手術室というのはあまり現実的ではないことが分かる。ただ、50~100kg程度の積載能力を持つドローンが何台かあれば、色々と便利なことがある。

その代表的なものは、怪我人の輸送である。通常のヘリコプター輸送よりも、100kgドローンの方が遥かに小さく、小回りも利くし風圧も弱くてよい。単にベッドを搭載しただけのドローンであっても、従来の吊り下げ式よりは遥かに安定するし、素早い救助が可能になるはずだ。

また逆に、このドローンに医者一人と最小限の機材を載せて現地まで行く、ということも考えられる。いち早く現地に入るためには、オフロードバイクよりもこちらの方が簡単だ。一度でも機材が入ることができれば、そこを拠点として更に50kgドローンが追加の資材をピストン輸送で運び込むことができる。

中でも滅菌テント(空気で膨らませるタイプ)があれば、手術も可能になる。他、診察室、処置室、ベッドなどはテントで賄える。

資材、ドローン、充電器を全部合わせても、航空貨物コンテナ一つに十分納まる。自衛隊が使うパレットにも載せられるだろう。これを全国自治体で共有し、全国数箇所に分散配置しておく。災害発生と同時にそれを現地に送る段取りまで含めても、年間数億円で納まりそうに思う。

他の支援資材(食料・水など通常の防災ストック)とドローン前提の資材共有と運用を検討してみても良いのではないだろうか。

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