2019年5月2日木曜日
人型ロボット大工
別項の「半3Dプリンタ住宅」において、住宅を3Dプリンタと規格化された材料のみで作る方法を提案した。これには当然3Dプリンタが必要だが、必ずしも従来の形をしている必要はないのではないか、と考え始めた。
その時に想定していたのは、クレーンやプロッターのようなものだった。つまり、家の最大の大きさ高さを上回る外形の支柱を立て、その間にノズルを自由に動き回らせられるものだ。しかし、建物程度の大きさになると、この設置だけでも大事である。
位置決めさえできれば、独立して動き回れるロボット形態の方が自由度が高くなるのではないか。もちろんその分作業は複雑になり、建築時間は長くなるのだが、速くしたければ数を増やすこともできるし、技術者も少なくて済むし、作業危険度も低くなる。
そこで考えるのは、こんな形態だ。ロボットは二台で一組。一台目は人型(である必要はないのだが敢えてそうしよう)で、手は三本以上あっても良いが大きさも人と同程度とする。背中には材料(壁ブロック、コンクリート、樹脂タンク、樹脂棒)を背負い、二つの3Dプリンタ吐出ノズルとブロック固定用の手を持つ。
もう一台は大型犬サイズの四足ロボットで、一台目のロボットと材料置き場ないしはトラックの間を往復しながら、一台目のロボットに材料を補充する。大工と助手のような関係になる。
この大工ロボットは、高さが足りなくなれば脚立を使うなど、人の道具の多くを流用できる。また、材料はどれも小さく、例えば軽ワゴンでも十分に運搬できる。自動運転車を併用すれば、一台目でまずロボットと当面の材料を運び、作り始めている間に材料を取りに戻る、といった連携もできるだろう。
このくらい小回りが利くようになれば、例えば震災時の仮設住宅や海外支援でも、航空貨物で送れる。この際、コンクリートは世界中で手に入るから現地調達とし、ロボットとそれ以外の材料のみ送ることも可能だ。
これは、「製法の単純化とロボットの技術レベルをつき合わせて単純化した例」と言う事もできる。だが、ここまでくると、ロボットだけで家を作ることは可能なんじゃないか、と思えてくる。最初は仮設住宅でも、ここから応用を広げていき、全部ロボットで普通の住宅を作れる日も遠くないかもしれない。
登録:
コメントの投稿 (Atom)
注目の投稿:
ロボットシェアリング&困窮者向けジョブマッチングモデル
近い将来、AIやロボットが発達することで、労働者の仕事が奪われる事態が起きる。頭脳労働では一部業界に既に起きている(イラスト、音楽等)が、これが肉体労働にまで進んでいく。例えばレストランのフロアスタッフは既にタッチパネル注文や配膳ロボットにより侵食されており、他にも徐々に複雑な仕...
人気の投稿:
-
高市首相は安倍氏と同じ積極財政論者で、就任直後からその方向に舵を切っている。プライマリバランスゼロ目標を事実上反故にし、戦争でもコロナでもないのにいきなり17兆円もの補正予算を組んだ。ちなみに安倍総理が初年度に打ち出した補正予算は10兆円であり、それと比べても突出している。 こ...
-
「生成AIはミーハーである」の回でも少し触れたのだが、生成AIの回答は一次的には誤っていることが多い。それを指摘してAIが回答を修正していく様を見て楽しむ、というのが最近のマイブームだ。 どういう指摘をしているのか、と自己分析してみると、興味深いことに陰謀論者との議論とあま...
-
たつき諒氏の予言が話題になっているので、私も一つ予言をしてやろうかと思う。 2025年7月5日を中心とした前後1週間(計2週間+1日)の間に、日本の太平洋岸を震源とする、最大震度6強以上の地震は、起きない。 地震予知三原則である①地域の特定②時期の特定③強度の特定、何れも満...
-
古くは仮面ライダースナックやビックリマンチョコ、最近では万博パビリオンの時間指定チケットやマクドナルドのちいかわグッズなど、何かと話題になっている転売の是非について考察してみた。これももちろん生成AIを使って、なかなか面白い結論が出た。 最初は万博場ビリオンについて議論したのだ...
-
ディーン・ケーメン氏が発明した浄水器「 スリングショット 」の原理は、いわゆる蒸留である。つまり水を沸騰させて水蒸気にした後、冷やして水に戻す。汚水と蒸留水の間で熱交換を行うことで効率を上げている。 日本では、防災用の浄水器としては中空糸膜や逆浸透膜が殆どだ。これと蒸留式には...
-
生成AIを使って作成されたイラストに対する極端な非難が相次いでいる。そのどれもが、ちょっと行き過ぎに思える。例えば、事前にAIであることを知らせているもの、絵を描いている本人が確認し承諾したものまでも非難されている。なぜこんなに過剰な反応をするのだろう。単にノイジーマイノリティの...
-
聞くところによれば、実用的な量子コンピュータの登場は2030年代半ばから後半(2035年〜2040年頃)が有力な予測とされているのだそうだ。これは、数百万qbit規模の量子コンピュータが開発される時期、という意味だ。 一方、従来の公開鍵暗号(RSAや楕円曲線暗号など)は量子攻...
-
高市新総理がかつて主張していた「スパイ防止法」。巷でもスパイ防止法の制定を望む声は強いのだが、調べてみるとそんなに単純な話ではない。特に、世間のイメージと実態はかなり異なっていることが分かったので、ここでメモしておく。 まず、「スパイ防止法がないのは日本だけ」とよく言われて...
-
ハクキンカイロの発熱原理を調べていて、これを防災用(キャンプ用でも良いのだが)の湯沸しに使えないかと考えた。 普通、キャンプではガスコンロを持っていく。だがあれは裸火を使うから、熱効率は悪い。これに対してハクキンカイロの仕掛けは、白金触媒を適切な場所に配することで、極...
-
近年の世界的な右傾化、自国第一主義化について、その原因を生成AIと討論しながら考えた結果、そういう結論に達した、というお話。 まずトランプが未だに支持されている理由について議論したのだが、その理由はアメリカ白人低学歴層の貧困化だという。この白人貧困層は、人数的には数千万人と規...

0 件のコメント:
コメントを投稿