2017年2月5日日曜日

大金持ちのカネの使い方


この手のテレビ番組は好きで、よく見ている。豪邸訪問とか、持ち物自慢とか、豪勢な日常生活とかだ。最初は憧れ、次に嫉妬、軽蔑、最後に憧れに戻る。人によってはどれかがないこともある。そしてつい、また見てしまう。あまりによく見るので、同じ金持ちが2回、3回と出てくるのが分かってしまい、興醒めになることもある。
自分が大金持ちになったら、やはり好きな技術を極めたいと思う。最先端のコンピュータや映像機器を触ってみたい、海外の大規模な展示会を廻って説明員を質問攻めにしてみたい、IT系大企業の重鎮と会って意見交換をしたい、自宅を自動化の固まりにしてみたい。だがそういう金持ちを見たことがない。なぜか高級料理、アンティーク、豪邸、クルーザー、宝石、高級ブランドばかりだ。
ゲイツ氏の家はハイテクの固まりで、ザッカーバーグ氏の家ではAIが動いている、という話は聞いたことがあるが、彼らの家を紹介するコンテンツは見たことがない。日本でも三木谷氏や孫氏はハイテク系だと思うのだが、自宅公開などは聞いたことがない。もしかしたら自分の同士(ハイテクで固める系)はいるが、マスコミに現れることを由としない性格なのかもしれない。あるいはテレビ栄えしないからか。確かに100万のサーバと500万のサーバの見た目は殆ど変わらないからなあ。
セレブの贅沢とは、言ってみれば大きな無駄遣いだ。もちろん自分の稼いだ金をどう使おうが自由だが、日本の大金持ちのテレビ番組で気になるのは、そういった人たちが自分のためだけでなく、社会にどう貢献しているのかが殆ど紹介されていない点だ。
先ほどのハイテク機器だが、もちろん無駄遣いではあるのだが、眺めて楽しむだけの積もりはない。弄って楽しんだ後は自分の好むソフトの開発に投資したいし、家の映像機器や自動化なら実用の目的になっている。わざわざハイテクを使うためだけにルーブ・ゴールドバーグ・マシンを作るのではない。
以前、トム・クルーズが、生まれてくる赤ちゃんのために、超音波エコーの機械を買って自宅で見るために使い、生まれた後は病院に寄付した、と言う話を聞いた。自分の考える理想的なハイテクにおける無駄使いの一つだ。もし最後の寄付がなかったら、逆に軽蔑していただろう。
別に提案しているような、クラウドを前提とした汎用アプリケーションプラットフォームの開発なんてものは、正に趣味と実用(それで社会貢献をしてもよいし儲けてもよい)を兼ねた、よい投資だと思っている。一方で、かゆいところに手が届くような便利ツールの類も、開発環境として提供した上で作ってもらう。それは、例えば既存のアプリの機能の一つに不愉快な制限があるとか、UIでもうちょっとこうして欲しい、といったものが多くなる。無論有料で開発してもらい、成果はオープンにする。
また、VRを使った教育コンテンツや、そのためのプラットフォーム作りにも興味がある。スポーツの型がそうだし、ブロックや電子機器をバーチャルで組み立てるようなものも面白そうだ。単純な座学にも、新技術を取り入れることで理解が深まるようなことはあるだろう。
欧米の金持ちの社会貢献というと、芸術でのパトロンや、社会的弱者や難病の薬の開発などへの支援、自然環境保護基金、新興国での教育施設などが思いつく。ただ、カネを出すだけなら今でもできる(小額だが)ことで、また幾らでもスケールアップできる、逆にいうと際限がないし、ハイテクの匂いがしない。技術好きの金持ちが何をしたらよいのか、まだなっていないけれども、それを開拓するのも面白い。

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