2017年2月17日金曜日

VRと広告


現在のWebビジネスは広告で成り立っている面が多いが、VRになると広告が入れにくくなる、というのは直感的に分かると思う。ゲームの途中に立体感のないバナーが出てきても違和感ありまくりだし、恐竜探しの途中でヘンな3Dオブジェクトが出てくるのも興ざめだ。
これを解決するのは、ネイティブ広告やステルスマーケティングなどであろうと思われる。マクドナルドが地域によって外観を変えているのと同様、表示するVR空間に合わせて広告の形、色、動き、内容に至るまで調整して、違和感がなくなるようにするものだ。
例えば、街中を歩いている想定なら、ビルの看板や店舗のBGMなどを本物のそれに入れ替える、という手法になる。部屋の中なら何気なくつけているテレビに映っている、などはベーシックだ。だが上のように状況は様々だから、そういった場合はちょっと難しい。
ゲームの多くはそうだろう。ジェットコースターから見える景色に目立つ広告を入れてしまうとそこに目が行ってしまうし、時代劇の中で現代の広告が見えてはおかしい。AIに頼るような高度なことはまだ無理だろうから、個々にカスタマイズしてやる必要がある。
それでもゲームのような固定的なものはまだ考え易い。例えばVR専用OSのようなもの(Oculus Homeのような)があったとして、そこから様々なコンテンツへの経路があったとする。有償の業務用ソフトは広告は関係ないから、無料提供の①音楽、ビデオ、映画など②そこから更に発展した3Dコンテンツ③昔のSecond Lifeのようなコミュニケーション空間④ゲーム⑤仮想体験(海外旅行、スカイダイビングなど)⑥アプリケーション、に対して、各々適切なコンテンツ枠を用意しておき、それに貼り付けるというものになるだろう。
従来は、バナーのサイズだけ規定して画像ファイルだけだったものを、動画にしてみたり立体物にしてみたり、また既存空間と違和感がないように一定の修正を受け入れたり。広告も結構大変になってきそうだ。特に実写の3Dコンテンツに広告を埋め込むのは至難の業になる。
始めから全てがバーチャルなら簡単なのだが、実写コンテンツだと実物が殆どであるので、広告オブジェクトの違和感がより目立つことになるだろうからだ。色調や内容の調整等はある程度機械化できるとは思うが、広告の目的が成功報酬型(つまりクリックしてそこから抜け出し広告空間に飛ぶ)だと余計違和感が生じる。つまりクリックの先との繋がりも重要な訳で、さすがにそこまで規制できるのかは疑問だ。
それでも初期には総合プロデュースで素晴らしいものができる可能性はあり、その経験からノウハウが生まれるものとは思うが。その先の世の中は、実写とVR、本物と広告が区別しづらいまま交わるという(結構恐ろしい)空間になるのだろうか。

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