世界人口の推移を見ると、産業革命が大きな転機になっていることがよく分かる。また、人口がこのペースで増えるとして、これを賄う地球資源や食料・水が同じペースで増えていけるのか、というのは素人でも不安に思うだろう。
国連の統計によると、現状の人口増加率は1%で、2000年頃には2.5%だったそうだ。そして今後も減る傾向にある。このペースでいくと、2200年頃までには人口はピークを迎えることになる。その時点で食料生産や他の地球資源が持ちこたえられれば、人類がその後も生き続けることは可能と言えるだろう。この時点での人口は100億人程度だろうから、現状の1.5倍程度の進歩でよいことになる。これは明るいニュースと言える。食料と水については、地球温暖化など他の要因が深刻にならない限り、技術進歩や更なる開墾で賄うことができる。
但し、地球温暖化が進んだとしても遺伝子操作や田畑の北への移動で何とかなるのでは、という考えは少々危険だ。耕作地の移動は世界規模で行わなければならず、また放棄地は荒れ果てるため更に温暖化を促進する。行先に豊富な水があるとも限らない。開墾には膨大な労力とリスクがある。
農業の拡大策として、遺伝子組み換えやゲノム組み換え、植物工場、センサ農業、機械化、砂漠緑化、海水淡水化などの技術がある。技術的な見地はともかく、世界の大部分の農地適用できる点で最も有望なのはセンサ農業と機械化だ。都心部の植物工場と組み合わせることで、1.5倍は見えてきているのではないかと思う。
残りの問題として、効率的な再生手段が無いことが分かっている資源、代表的には石油、レアメタル、化学肥料、また再生可能だが再生が追いついていないもの、これは水産資源(魚介)、二酸化炭素、淡水などだろうが、こういったものについては、その量と、どの程度深刻なのかを一つ一つ検証していく必要がある。
これらのうち、石油やレアメタルの枯渇についてはあまり心配していない。もし石油が枯れたとしても、太陽電池や風力発電による電力は残る。そしてこれは徐々に起こるので、その深刻さに応じて技術革新も進むだろう。その速度が十分でなくても、変化はアナログ的であり、人類が滅亡するようなことはあるまい。
一方で、二酸化炭素と水産資源が深刻ではないか、と考えている。他のものは統制が効くのに対し、これらは抜け駆けが幾らでも可能であり、地域的にも広く分散するため、それを取り締まる強力な手段がないからだ。世界中でどんな協定をしても、末端がそれをちゃんと守るとは思えない。
二酸化炭素を固定する手段やら水産資源の養殖化やらは技術として存在するのだが、広すぎる大気や海に対しては余りにも無力だ。南極の氷の厚さを維持するのに何兆円とかいう試算を見たことがあるが、そんなに負担してもその程度のことしかできない。
二酸化炭素の収支は、産業革命の時代から合っていないことが分かっている。この図によると、収支を合わせるためには、おおよそ人類の生産的活動を半分にする必要がある。これもランニングでの収支(プライマリバランス)であり、元に戻すには当然それ以下を目標にしなければならない。それには最大の消費である化石燃料の消費(燃焼)を、最低でも半分にする必要がある。
化石燃料の代替は、自然エネルギーか原子力による発電しかない。そう考えると、現状の自然エネルギーの増加率ではまだ足りない。原発を大幅に増やすことも考えられるが、これをやっているのは中国くらいで、他の国では流行っていない。今後エネルギー需要が増えるのは主に新興国だが、石油が安い間は火力が最も簡単であるから、自然エネルギーや原発は伸びないだろう。また、水産資源は、漁船の動力たる石油の値段を上げることで需要を絞ることは可能だろう。
こう考えると、石油の生産高と価格は、地球資源の持続性に対して決定的なファクターとなっていることが分かる。もはや自由市場で決めるのではなく、科学的見地に基づいて、国連などで決めるべきではないだろうか。
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