2017年2月15日水曜日

翻訳の発達がもたらすもの


英語を母国語としない多くの国は、国際標準語として英語を学ぶことが多く、従って英語が話せることがステータスとなって所得格差が発生したり、逆に読めないことで国際ニュースを自由に閲覧できず、母国語になったニュースのみから世界を見るために自国の報道偏向を自覚できない、という事象があった。だが最近では自動翻訳の精度が向上しており、また安価に手に入るようになっている。個人用途であれば、タダで翻訳が可能な時代だ。
これは外国語対外国語でも同様で、最近では中国のニュースを定期的に翻訳して掲載するサイトが出てきたり、アルジャジーラを翻訳して閲覧することも可能である。その気になれば世界中の情報が手に入る。もちろん検閲の危険はあるが、自国の報道フィルターの影響を受けずに見ることはできる。
更には、時間が掛かることは別として、いきなり海外に飛び出してもある程度生活できることが可能だ。翻訳はスマホを通じて行えるから、最低限のコミュニケーションはできる。もちろん文化の違いは都度学ぶ必要があるし、スマホを盗難されるなど治安の問題はあるものの、環境としては良くなってきているはずだ。
これらが何をもたらすかと言えば、一言で言えば国際化だ。外国の文化を偏見なく学び、交流し、貿易や文化交流が活発になる。交流が増えれば詰まらない偏見は減り、仲良くなれる。また、言語の問題で隔てられていた優秀な人材を生かすことができるし、勉学と縁のなかった人が勉強で新しい才覚を現す機会も増える。
最近、近所で中国語を聞くことが多くなってきた。観光もそうだが、定住も増えてきているようだ。そうなれば個人レベルでの理解は進む。放っておいても勝手にネットで発信したり、帰国して廻りに話すなどする人が増えれば、日本に対する先方の偏見は減っていくはずだ。だが逆、つまり日本人が中国に多く進出しているという話はあまり聞かない。いないわけではないだろうが、大きく増えているようには思えない。つまり、日本人の中国人に対する偏見は大きく減るように思えない。
もちろん、全く関係のない国の話題を教養として知っておく、などという必要はないのだが、中国を例に取れば、それなりに交易があるし、世界的にも経済的・軍事的な意味において一定の地位を示してきている国だ。従前の知識やイメージで接するのはまずかろう。
自動翻訳はそれを補う道具として有用だが、ただ翻訳機能があるだけでは足りない。翻訳したその情報を積極的に発信するような自動化ツールが必要だ。まず対象と目的を入力ないしは推定し、その目標に合わせて翻訳記事を常に目にできるように、ニュースサイトを見たときの何割かをそれにする、というようなカスタマイズができるとよい。
その国に対するイメージや事実関係認識についてアンケートをとり、自分のそれと中国をよく知る人のそれとのギャップを埋めるような記事を自動で選んで表示する、というシステムだ。定期的にアンケートを取り直し、一定の水準に達すれば役割を終える。ニュースサイトにそんなサービスが付いていたら、日本が国際化するのに随分役立つはずだ。
これが全言語に対応し、世界中の人が世界中の人を偏見無しに見れるようになったとしたら、これが本当のグローバル化だろう。

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