大規模プロジェクトの管理には、PMBOKに基づくツール類が多数売られていて、実際にも使われているようだが、これは当然PMBOKの知識体系を理解していないと使いこなせない。PMBOKの内容の多くは、よく考えれば当然のものも多いが、分量としても多いし、中には独自の指標が出てきたり、そのお互いが影響を与えるようなものもあるため、勉強だけでなく経験も必要になる。また、ツールには必ずしも入力されない情報が多数あるので、実際にはツールに頼り切ることができない。これはまた、ベテランPMが必要な理由にもなっている。
大規模PMというのは曖昧さとの戦いでもある。こういうときにはツールは道具にしかならないものだが、もしここをAIで管理できたらどうだろう、と考えてみた。
話は簡単で、PMや要所の責任者の行動、音声、メールを管理し、打ち合わせや立ち話までの情報を全て入力してやる。AIはそれが対象プロジェクトに関するものかどうかを判断し、PMBOKに基づく様々な知識をこれに当てはめ、各々の視点からの警告を発してやるのだ。
まあここまでは難しいだろうから、最初は各種PM関連ツールやメールなどの電子情報だけを対象としてやる。PMのノウハウは多岐に渡るため、注意の勘所は素人には分かりづらい。まずはここを目指すものとする。つまり経験の浅いPMへの気付きを与えるツールにする。
AIの仕事は、マネジメントが平均的に充分出来ているかどうかを監視することだ。それはBIダッシュボードに近いイメージとなる。出力はBIツールでもよいので、そこへのインプットとして、電子情報を判断整理してPMBOK指標に変換するのがその第一の役割である。
第二の役割は、そういったインプットに基づく指標が、どれだけ危険なのかを判断するところだ。BIツールの「ゼロポイント」と「偏差」を求めるもの、と考えてもらえばよい。これらはプロジェクトの性格によって大きく揺らぐところなので、会社毎などに学習範囲を抑えて多く体験させる。
「このくらいだと危険」という勘所が、網羅的に、更には一定の品質で出てくることは、大いに有用だ。そのようなPMツールは既に存在するが、そのパラメータが個別の会社に必ずしも合っているとは言えないし、ましてや学習はできていないだろう。これはそれを補完し、ひいてはPMツールの信頼性を向上させることになる(入力が無駄にならない、役に立つことを実感できる)。
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