2017年4月14日金曜日

サプリメントは効かないのか


これも、巷には効く効かないの諸説入り乱れていて、納得できる説明に当たったことはない。
前提が難しいのだが、サプリメントが全く効かないということはあり得ない。例えば、「食べ物からとるのが一番」という説だが、体は、それがサプリメントかどうかなど判断できない。必要な栄養があればとる、なければとらない、それだけだ。逆に、食べ物からとることがかえって拙い場合だってある。高価だったり、量が多くて食べきれなかったり、不味かったり、余計な栄養素までとってしまったり、という危険だってあるのだ。また、全ての人に一人ひとり栄養士がついているわけではない。性格だって、懐具合だって、まちまちだ。そんな抽象論を振りかざされても、虚しいだけだ。
人工合成物だ、植物由来だ、というのもナンセンスだ。もちろん大きな分子からなる化合物では細かい違いはあるだろうが、人工かどうかは栄養素の良否とは関係ない。鮭の皮からとられようが、石油から作られようが、同じモノは同じモノだ。大体、エビデンスがない。つまり、自然由来のものと人工のものとで人工のものの方が明らかに悪い、という結果があってこそ言えることのはずだ。
ただ、誤解され易い点はある。まず、サプリ中毒のような人に対する非難が込められている場合がある。これはサプリが悪いのではなく、本人の精神状態が不安定で、たまたまサプリに逃げているだけのことだ。また、過剰になったりバランスを崩したり、あるいは食事が疎かになってしまう危険については、栄養学を理解せずに使用する知識不足から来ていると言える。
一例を挙げると、ビタミンCだ。「L-アスコルビン酸」というのが化学的な名称だが、市販されているビタミンC錠剤の多くは、「アスコルビン酸ナトリウム」と、「ナトリウム」がついている。このため、ビタミンCを大量摂取するとナトリウム過多になる、という解説がある。だがもちろん、アスコルビン酸だけとればナトリウム過多にはならない。アスコルビン酸だけのものや、アスコルビン酸カルシウムを含む製品はあるので、そういうサプリを選べばよい。
体の調子が悪い、あるいはもっと良くしたい、というモチベーションがある状態において、それを向上すると謳うサプリメントがあったとする。だが実は、それが不足しているのではなく、別の要因で悪いのかもしれない。プラセボ効果もあるから、飲んで良くなったという実感だけで判断することは危険だ。二重盲検法は大げさにしても、A/Bテストのようなことくらいは自分の体でできるし、日頃の食事を分析したり血液検査をしたりして、ある程度の確信が得られることが望ましいと言える。
平均的な日本人の必要摂取量に対し、実際の摂取量が統計的に足りていないことが分かっている栄養素の場合は、比較的分かり易いだろう。特に調べなくてもサプリで摂ることが有効だと言える。また、それを補うためにXX(食べ物)をとりましょう、というものもよくあるが、今までに食べていたものにプラスでそれを食べてしまうと、足りない栄養素以外の余計な栄養素もとれてしまう。そんな場合、サプリメントの方が有用だ。
また、サプリメントには複数の栄養素が配合されているものもある。総合ビタミン剤などはその一例だろう。こういうものは、バランスをとった配合がされている。食べ物でそのバランスを取るのは事実上困難だから、かえってサプリメントの方が望ましい可能性もある。
これもよく聞く話なのだが、お年寄りが口や喉を痛めて入院したとき、流動食や点滴で栄養を補うのだが、しばらくすると入院前より元気になったり、白かった髪の毛が黒くなるなどの現象が起こるそうだ。これは栄養のバランスが改善されることにもたらされるということなのだが、あれもサプリの一種と言えるだろう。
個人的にも、サプリにだいぶ助けられているところはある。ちゃんとA/Bテストをして、はっきり効いたと実感できるものも幾つかある。少なくとも一律に「効かない」などということはない、とは断言できる。

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