2017年4月1日土曜日

「動かない生活」推進の鍵


人はなぜ都市を目指すのか。職を求めて、というのが一般的だと思う。それにも、地元によい就職先がないという消極的なものから、都市にしか存在しない職種を求めて、ということもあるだろう。
これからの自治体のあり方だが、都市集中という国際的な流れの中で、コンパクトシティ化というのは方向性としてアリだと思うのだが、小規模だろうが大規模だろうが、都市化を極めると、小さい方が大きい方を飲み込んでいくのが運命だ。地方再生とか地元活性化とかを論ずる場合、持続性の視点からはあまり魅力的とは言えない。
ではどうするのか。その方向性とは、テレワークの延長線上にある「動かない生活」である。人が集中しなくて済むようにするには、テレワークのみならず総合的な生活が遠隔サポートされている状態が必要になる。何か一つでも欠けていればそれとネックとなるし、欠けていなくとも不便さに比例して都心への求心力が強まってしまう。
ここでは、以下が完璧であること、と定義する。
  • 道路整備
  • インフラ(上下水電気ガス通信、ゴミ廃棄、金融機関)
  • 通販(生鮮食品含む)、買い物
  • テレワーク
  • 遠隔医療、訪問医療
  • 遠隔教育
最初の三つは、カネの力で何とかなる。一方で下の三つはそれでは不足で、システム(コンピュータシステムと言う意味だけではなく社会システムという意味で)の発達が必要になる。各々は遅々として進んではいるが、いまいち起爆剤がない状態ではないか。
ここでの起爆剤となり得るのは、安価で高機能、且つ汎用性のあるテレビ会議システムである、と考える。その要となるのは「電話番号」、要はIDの汎用化だ。今でもテレビ会議システムは多く存在しているが、お互いが囲い込み戦略のため相互接続していない。電話番号並みの気軽さと、実際に確実に繋がる安定性が必要だ。
例えば教育なら、年間300日、朝8時から夕方5時までずっと点けっ放しにしても問題ないような料金と安定性が必要である。遠隔医療なら、高解像度撮影に対応することが必要になる。テレワークなら資料共有の仕掛けとの連動や多拠点同時接続が欲しい。
こういった環境さえ整えてやれば、アプリケーションは自然発生する。後は法的な問題のクリアが必要になる。教育と医療では各々、補助的には使われるにしても、遠隔では完結させられないはずだ。つまり、
  1. 「テレビ電話番号」の新設と、確実な相互接続の保障、及び指定機関への設置義務(努力義務含め)、安価な価格設定
  2. 遠隔教育、遠隔医療に関する法整備
これを行政が強く推進すれば、周り回って地方再生に繋がる、という次第である。
これは、都市に対する求心力を弱める効果があるので、人口が分散し、主に都市のインフラや交通網に余裕が生まれる。自然災害への耐性が自然と強まり、総じて精神的余裕も増えるものと思われる。

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