2017年4月17日月曜日

仮想空間デパート



昔はホロデッキが欲しかったのだが、VRが普及してくると、これでよいのではないか、と考えるようになってきた。もちろん実力はまだまだなのだが、HMDに色々なセンサが付くことで、またHMD自体の画角が広がったり解像度が上がったりすることで、ホロデッキでやろうとしていることのかなりの部分が実現可能に思えてきたからだ。
ホロデッキで何をやりたいのかというと、一言で言えば『旅行』だ。今のVRでもそこそこ体験できるが、リアルタイム性もインタラクティブ性もない。その理由は、街が実際の町を撮影したものだからだ。静止画であったり、動画であってもごく短い時間の分しかない、また自由に歩き回ることができない、といった不満がある。全てCGならこの心配はない。
VRで行きたいくらいなので、この際のCGは、リアルに街や人が見えなければならない。ゲームに登場する程度のクオリティでは不足だ。実写に3D認識にテクスチャマッピングとか、とにかく膨大な計算量をこなしてでも本物そっくりにしてほしい。
従って、観光が使い物になるのは少し先の未来になる。このもっと手前では、実用のための仮想空間が登場するはずだ。それは商店街(ショッピングモール)であったり、手続きのための店(市役所、携帯電話店など)であったり、通話であったり、映画館(映像コンテンツを見て楽しむ)であったり、と様々だ。
ここで重要なのは、異なるサービスが一つの電脳空間に同居することだ。Webブラウザで異なるURLを叩くことに相当するのが、街の別の場所に移動することになる。この際、道がURLのアルファベットで分かれている、というようなUIはバカげているから、もっと現実的な空間の想定が必要である。
電脳空間は無限だが、空間が広すぎると、最初の方は選択肢だらけになって先にたどり着けない。最後も同様で、バナナ専用フロアにバナナ売りが1万人いたとして、どこから買えばよいのかなど誰もわからないだろう。
そこで考えられるのが、「カスタマイズ可能なデパート」だ。フロア毎に大体機能が決まっていて、それは現実のデパートを模したものになっている。地下は食料、1階は化粧品、2階は高級ブランド、・・・という、あれだ。
そのフロアの広さも大体決まっていて、入れる店舗は限られている。ユーザはまずデフォルトの店を試し、気に入らなければ退店させ、別の店を入れることができる。デパート自体も複数持ち、普段用と週末用などと使い分けることができる。また、市役所、パチンコ店、職安など、現実のデパートとは縁遠いものでも入れることができる。
また、この構成を他人に公開することもできる。トレンドを追う109的なショップ、正統派総合デパート、庶民派スーパー、エンターテイメント中心など、個性豊かなモールが存在し得る。これ自体は無料だが、店舗はテナント料を設定してもよいだろう。有名なモールには人が集まり、売上げも増えるから、そのショバ代を取る根拠らしきものはある。
このような空間を、次世代のインターネット空間へのUIとして設定してはどうかと思う。このためには、URL振り分けは勿論だが、店舗や店員の面構えは同じプロトコルで記述する必要があり、標準化が必要である。

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