2017年4月29日土曜日

吊り下げ人工ツリーハウス


以前、「吊るす家具」という投稿をしたことがあったが、あれを家全体にまで拡張したらどうなるだろう。
家の重量バランス上の中央に、太い柱を立てる。鉄筋コンクリート、鋼管、あるいはそれらの複合である。管は中空で、上下水、通信、電気電話などのインフラはこの管を通る。上水、下水は各々独立、その他は共同管で良いだろう。地中深くでインフラと接続し、管内に虫やシロアリが入り込まないよう、厳重に封止しておく。室内への誘導は、免震クッション(後述)より上で行う。柱は必ずしも一本でなくても良いが、少ない方がよい。
柱の最上部から四方に、傘のように屋根が張り巡らされる。各階の床は、天井の枠からワイヤーロープやテンション材などで吊り下げられる。この際、幾つかのロープを斜交いに張ることで、振動が抑制される。屋根と天井の間は開放空間となる。壁は天井枠及び2階以上の床枠から吊り下げられる。枠の外側は耐候、枠の内側は断熱を担うようにする。床下は、通常よりはかなり高く空け、空気が十分に通る構造にする。家の真下になり隠れる部分は、鉄筋コンクリートでベタ打ちする。
柱と家の間には間隙を設ける。家の上下の重量中心より十分に下の部分に、柱との間のクッションを設ける。これが台風や地震の際の免震構造になる。免震クッションは、油圧制御の高度なものなどは必要なく、極端な話、砂袋で十分である。玄関へのアプローチには階段が使われるが、途中で切れている。人間はまたげるが、虫には無理な幅を持たせる。
虫や小動物が、地面から柱を伝って家に侵入するには、少なくとも免震クッションの所まで上らなければならない。この部分より下の温度湿度が外気と同じなら、シロアリなどはまず上ってこない。忌避材や防虫剤を塗布する際は、この柱だけに塗ればよいし、オープンなので何度でも塗り直すことができる。柱の周りにとげを仕込んだり、高圧電流を流すような荒業も可能だ。ネズミを含む動物の侵入も、ある程度阻止できるだろう。
家を吊る方法で作ると、強固な構造材(柱)が必要ない。これは構造材を節約すると共に、壁の凹凸を減らす効果がある。一般的に、断熱材は、構造材の隙間に埋め込むのだが、そのために構造材の部分が熱橋(そこだけ熱伝導率が高い状態)となりがちだ。これは結露などにより家が傷む原因となる。だがこれなら、ワイヤの内側に断熱材を均等に、隙間無く、また厚みも十分に入れることができる。地震にも強くなる。
基礎も床下空間もないから、当然ながら床下の換気は不要であり、湿気がこもることはない。天井も空隙となるので熱や湿気はこもらず、ネズミやイタチが走り回ることもないし、もしそうなっても退治は容易である。
下水が問題で、1階の排水はポンプで免震クッション上まで持ち上げてやらなければならない。これが壊れると、下水が溢れることになる。
もう一つの問題は、火災により構造ワイヤが切れてしまった場合。1階なら地面に落ちるだけだが、2階の場合は1階を全て潰してしまう。もっとも、ワイヤが全て切れるほどの火災なら、外装は不燃物だから、中の断熱材は全て焼けてしまっているはずだ。どうせ先に死んでいるのであまり関係ない。
この構想は中央に柱を通すやり方だが、周囲、例えば四隅に柱を立てて、真ん中に家を吊るす方法も考えられる。この場合は上下水の引き込みがより面倒になる(地面から直接引き込むのでは吊るす意味が薄れる)が、似たような効果が得られる。

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