2017年4月30日日曜日

ロボットへの課税


かのビル・ゲイツ氏が提唱し、あちこちで波紋を広げている。発言の主旨からすると、人の代替に対するペナルティという側面が強そうに思えるが、一般的に考えてみればロボットは製造機械であり、資産課税はそれ以前の問題としてされることが確定している。機械は元々製造効率を向上させるものであるから、やはり人の代替である。それとロボットとの線引きの難しさ、つまりはロボットが他の製造機械とどう違うのかなど、確かに議論を呼びそうな話題ではある。
ただ、そのもっと根元、なぜそれに課税するのか、という考えからすると、また別の見方ができるはずだ。ゲイツ氏の懸念は、ロボットによる人の代替が今まで以上に極端に進むこと、それによって失業者が大量に出ることへの心配であると予測される。つまり問題はロボットかどうかではなく、効率化が急激で人がそれに追いつけないことが問題なのだ。
であるなら、当然その指標は、効率に対する課税である必要がある。そしてその対象は、ロボットが多いか少ないかとは関係なく、全業種に及ぶべきである。更には、その「効率」とは、利益率ではなく、従業員の人数に対する事業規模で表すべきである。つまり少ない人数で大きな事業をしているところには、その規模に応じて(赤字かどうかに関わらず)課税すべきなのだ。
その結果、ロボットが主に代替するであろう製造業よりも、もっと課税すべき業種がある、という可能性は充分にある。例えば投資や金融廻り、一部のサービス業はどうだろう。従来は、会社が儲かれば高額な人財を雇って更に儲けさせる、という図式がまかり通ったのだが、この基準に従うなら、儲けるほど人を雇っていなければならないし、一部の人間に極端な高給を与えるのは不利になる。これは貧富の差を是正する。
自分の知る限りでこのような税体系を採っている国はないが、これこそが、共産主義・資本主義・自由主義・社会主義などに続く新しい社会体制である、となる可能性は否定できない。そしてそのためには税制を弄るだけでよい。詳しく考えてみる価値はあるのではないか。

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