2017年4月19日水曜日

SPCの増加


映画の出資が製作委員会形式になって久しいが、これも任意団体ではなくSPC(特別目的会社、特別目的事業体)
が流行っているようだ。映画やテレビは一つ一つが大きいから、リスク分散のために早めにこういったことが行われるのが普通になっているが、これが他の商品に波及することは考えても良いはずだ。
自社だけではリスクが大きいような事業、あるいは自社の規模を超える大きな規模の事業をやりたい時、あるいは尖ったプロジェクトの数をこなして自社のリスクを分散したいときなどに、期間限定で会社を作り、成功すれば存続して利益の分配を続け、失敗したら早々と畳んでリスクを限定する。その代わり思い切った大胆な企画ができる。これは会社、従業員、そして顧客の何れにもメリットがある。
この例として考えられるのが、
  1. 原発関連(解体、減容、処分含め)
  2. 航空機開発
  3. 新技術の戦略的普及策
  4. 大規模な社会実験、科学実験
  5. 軍事関係
などだ。今にして思えば、東芝の原発、三菱のMRJ、富士通の京、陽子加速器などといった大規模な技術開発は、この方法が良かったのかもしれない。また、これなら異能や業界の会社跨ぎでの人財集約もできるし、海外からの招聘も可能だったろう。
そして、過ぎたことはそれとして、これからはこのような大規模なものでなくても同様のことができるはずだ。そうなると、SPC目当てのフリーのエージェント(特定の会社に所属せずSPC専門に渡り歩く有能な高給取り)が出現したり、会社がプロジェクトではなく機能別に分離したり(特定の技術の専門家集団になる)、逆にプロジェクトマネジメントだけの会社(SPCの立上に専念する)会社が出現したり、という構造の変化が起こるのではないか。
大会社は、リスクを取らなくなって、安定する代わりに詰まらないものしか作れなくなった。こういった形態が社会で一般化すれば、まだ尖った商品が世に出て世間を騒がせることができるようになるかもしれない。

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