2017年9月30日土曜日

New Google Glass


https://www.x.company/glass/
https://developers.google.com/glass/

Explorer Edition、と名づけられてはいるが、基本的に何も変わっていない。変わったのは、ビジネスパートナー経由ながら実際に入手可能になった、というところだ。GLASS PARTNERなるこのビジネスパートナーを見ていると、様々な想定用途があって、逆に言えば汎用を目指しているところが見当たらない。これではパートナーからグラスを買っても、最初想定していたような用途は望めないかもしれない。

Google Glassはカメラを備えているが、MRまで想定しているわけではないので、表示しているモノと実際のモノの位置的な相関を取ることはできない。つまり、目で見ている実物に矢印を指して「これはXXです」などというのは無理だ。ただ単に、カメラに映っているものの情報を呼び出すようなことはできるだろうが、恐らくは常時ではない。

個人的には、ディスプレイ機能さえあればカメラはなくてよい。Google Glass以外のHMDで、あの大きさで無線で(バッテリで)使えるものはないから、高く評価している。音声もいらない(Bluetoothイヤホンがあればいい)。操作もスマホでやればよい。

表示するのは最低限、スマホの「通知」が欲しい。但し少々改造が必要かもしれない。マンナビで曲がり角に来たとき、時計アラームは良いが、新着メールやメッセージについては重要なもののみにして欲しい。表示も、1行でなく拡大してよいだろう。後は、専用のビュワーソフトで映画を見るくらいはあってもよい(こちらはバッテリを大量に消費するから、スマホと有線で繋ぐのだろう)。

後はひたすら軽量、目立たないことに徹してもらう。メガネのつるに取り付ける今のスタイルでもまだ目立つから、もっと薄く細くしてほしい。つるに内蔵させるのがベストだ。そのためにメガネを買い替えてもよい。

最初のバージョンが出たときからこの思いは変わらない。なぜ、こんな単純な願いが届かないのだろう、と改めて思う。

2017年9月29日金曜日

あちらを立てれば


AIが多要素の相互関連性を次々に明らかにしていくに従って、新たな問題が発生するものと思われる。それは、「あちらを立てればこちらが立たず」問題だ。

ある指標(KPI)を向上させるためには別の指標が下がらざるを得ない、しかし下がる方はそれではたまったものではないからそれを阻止しようとする、という問題だ。しかもこれは単純な1対1ではなく、多対多の関係になる。これが行き過ぎると、一見全然関係ないところに、極端に大きなしわ寄せがいきなり訪れる、ということもあり得る。

天気予報の精度が上がると傘の売り上げが減る、というのは割と分かりやすいが、要は今までバッファになっていたところが減れば、そこの売上げは減るわけだ。これが単純な関係。こんなことが二段階、三段階と増えていけば、収拾がつかなくなること請け合いだ。しかも、AIを以ってしても全てを最適化することは不可能だ。

ここには二つの視点がある。一つはそれらのノード(個別のKPI) の視点。もう一つは全体最適化(例えば国、自治体)の視点だ。個々の企業が儲けようとすれば別の企業が損をする、だから各々が自分の利益を拡大しようとする一方、全体としてみればそれが悪い方向(環境破壊や高齢化など)に進まないように調整する必要が出る。

例えば、ライバル会社同士が生産調整をすることなど考えられるだろうか。これと談合はどう違うのだろう。親会社と子会社、組み立て会社と部品会社の関係は。製品の価格が安くなればゴミが増えて、移動が楽になれば石油の消費が増えて、環境問題になるのをどうするのか。工場と一般家庭での規制の比率をどうするのか。先進国と新興国の経済格差はどの程度を許容するのか。

AIは命題を与えられればどちらにも最適化できる。後は人間がどう思うか、だ。Society 5.0の話が出てきたとき、この問題はどうするのだろうとずっと思っていたが、どうやら誰も考えていないようだ。AIが本格的に普及する前に、ちゃんと議論しておくべきだと思うのだが。

2017年9月28日木曜日

蓄電池電力平準化網


NEC、多数の蓄電池を活用した周波数制御技術の実証試験を開始

「周波数制御」とはあるものの、実態としては電力平準化に通じる実験だ。これを見ていて思ったのは、いわゆる再生可能エネルギーに限らず、広く平準化に貢献することが報酬となるような電力体系というのは考えられないだろうか、ということ。

通常、電力需要は昼にピークを向かえ、深夜早朝に掛けて低下する。電力は溜めることができないから、その需要に合わせて発電量を調節する。これを担うのが水力や火力だ、というのが教科書的な説明だ。これに再生可能エネルギーが繋がると、風は気まぐれ、太陽は雲に隠れる、などと更に変動は大きくなる。これを調節するためには膨大な蓄電池が必要で、現実的ではない。

だが、近年の蓄電池の技術進歩も無視できない。何とか蓄電池が買えれば、深夜電力で充電して昼間に使うようなオプションは選べるようになってきた。現状ではまだコストパフォーマンスは悪いが、マンションや地域でレドックスフロー電池を買う、というような事業には、少し光が見えてきたように思える。

もしこのような蓄電池が多数普及して、自分の分の消費程度なら蓄電池で賄える、となれば、逆に発電所は運転の調節をする負荷が減り、その分を再生可能エネルギーへの対応に向けられる。あるいは、それらの蓄電池は深夜電力だけでなく、地域の再生可能エネルギーの緩衝材として使われ、電線の使用も平準化することになる。更に行けば、電力平準化は地域電力網の仕事になり、発電所は動きたいときに動く気まぐれ運転で充分、という未来も想像できる。

これは結構凄い未来だ。広域に分散した蓄電池と網制御ソフトが電力平準化を担当するというのは、インターネットやビットコインのような自立分散型の社会になる。電力料金すら相場取引になって、発電で儲けたい者と蓄電池で儲けたい者の思惑が相場を生み、適正化される。電力自由化の一種ではあるが、中央集権ではないところがミソだ。

従来の大規模発電所も共存できる。ここが作る電力は元々安いが、発電量調節をするコストが不要になるので従来より更に安くできる。その代わり、メンテナンスの際にはスッパリと止まる。一方でその隙を狙う中小発電業者が出てくるなども考えられるし、ピークにのみ発電しようとする業者も出るだろう。

もちろん好き勝手に発電してよいわけではなく、オークションなどがあるのだろうけれども、蓄電池電力制御網を前提にするならその切替には細かな注意が不要だから、その分のコストも安くなる。

この網にはもう一つ、重要な利点がある。大規模災害時でも極端な停電が起きにくく、またもし起きても場所が限定されたり復旧が迅速だったりする可能性が高くなる。これもインターネットと似た特徴であり、将来的に検討に値する技術ではないかと思う。

2017年9月27日水曜日

携帯電話変身アイテム


仮面ライダーにしてもウルトラマンにしても、最近の変身アイテムの大きいこと、ごちゃごちゃしていること、どうも生理的に好きになれない。この手の変身モノでの大きな謎はその変身の原理なのだけれども、それ以前の問題として、そういった巨大でゴツゴツした変身アイテムを一体どこに隠し持っているのだろうか。

そもそも、「盗まれたウルトラアイ」の教訓が示すように、変身アイテムは無くしたり盗まれたりしてはならないものだ。また、そこら辺に放り出しておくものではなく、常に身に着け、更には隠しておかなければならない。だから目立たず小さく、且つ紛失に備えて紐で結んでおき、更には紛失防止タグでも付けておくべきだ。できれば一般人でも常に身に着けているものが望ましい。

となると、指輪、ブレスレット、アンクレット、首飾り、腕時計、メガネ、イヤリング、ヘアピン、ベルト、財布、定期入れ、鍵・キーケース、携帯電話、などとなる。だが、例えば、電子戦隊デンジマンのデンジリング(指輪)は認められても、仮面ライダーウィザードの指輪は目立ちすぎてNGだ。仮面ライダーシリーズのベルトも論外である。仮面ライダー555では携帯電話があったが、ベルトも併用するのでやはりNG。

ポケットに入る携帯電話単独であれば、多少変わった形でも許容されるのかもしれない。だが、最近の戦隊シリーズでは携帯電話型が多いが、ポケットに入る大きさではない。普通のサイズにして頂きたい。

さて、この記事を書いていて思ったのは、その携帯電話型変身アイテムは、当然ながら通信機能があって、番組中でも仲間と通信する場面が出てくる。携帯電話コアを電話会社が仕込んで本物として使えるようにできれば、本当にこの場面が再現できる。また、そのコアが子供用の携帯電話そのもの、例えばドコモのキッズケータイだとしたら、親とも通信でき、GPSも乗るから、防犯と兼用できる。

番組放送中は専用のコンテンツを配布してコラボしたり、教育コンテンツのキャラクターとして使わせてもらうなどする。番組が終了したら、ガワだけ交換して次のキャラクターに乗り換えることができる。もちろん、番組を卒業すれば、ガワを外して中身だけで運用できる。また、同じサイズのおもちゃコアを用意しておいて、最初はそれで、必要に応じてキッズケータイを買って挿せば機能が向上する、ということも可能だ。

現在のキッズケータイでは簡単な操作が困難なので、新しいキッズケータイが必要だ。このスペックを考えてみる。
  1. まずはソフトの入替が簡単にできることが必要である。このためにはSMSを使うのがよい。親がキッズケータイの番号を番組サイトに登録することで、ドコモ経由でSMSが飛び、必要なソフトを自動でダウンロードできるようにする。
  2. キッズケータイの一つの要である防犯ブザーは必要な長さだけ外に出るように、デザイン上の配慮をする。
  3. キッズケータイと同じ形のダミーを準備し、こちらにはバッテリと簡単な音声発声のみができるようにしておく。
  4. 変身アイテムには、複数のアイテムが刺さる、差し込めるシステムがあるはずだ。獣電池、鍵、カプセルなど。これらの認識は、単純に6つの突起の有り無しや鍵の形状などでバネ電極が押されてデジタル信号になるシステムになっている。この信号を受け取る端子が必要になる。これはダミーケータイと共通である。もちろん、この端子の状態によって、音声が出たり光ったりするようにするが、キッズケータイの場合はプログラムでスペシャルコンテンツが得られる。動画再生や特定の場所への電話などだ。
考えてみると、結構商品価値が高そうに思える。現実にやるとしたらソフトバンクと東映、だろうか? ぜひ検討してもらいたいものだ。

2017年9月26日火曜日

会社組織型大規模ソフトアーキテクチャ


一人の人間が覚えられる知識、処理できる仕事の上限は、ある程度限られている。その能力が十倍違うことはあっても、一万倍違うということは考えにくい。でも計算機モデルではこれはあり得ることだ。それは素晴らしいことなのか、それとも違うのか、ちょっと分からなくなってきた。

人間は、物理的なサイズが閉じているし、脳の大きさも似たようなものだ。成人であれば、倍半分違うということはない。言葉を喋るスピードが4倍違うと、多くの人は聞き取れなくなる。では仕事が多くなったらどうするかというと、人を増やすのが従来のビジネスモデルだ。

計算機だって同じではないか、と言えば、そうではない。プログラムの規模にはモデルによって何万倍もの開きがある。もちろんモジュール分割して開発するわけではあるが、その境界は曖昧で、いかようにも作ることができる。これは、物理的な限界がある人間とは違う。

問題なのは、そのような超高速・超巨大なシステムを構築するのが、ほかならぬ人間自身であるというところだ。つまり、全体の複雑さが、既に人間が管理する(開発する)能力を超えてしまっているのではないだろうか。

人間なら、部署を分け、各々にマネージャーを配置し、進捗状況などを常時監視する、いわゆる管理職が居るはずだ。仕事が複雑であるほど管理職の比率は増え、様々な視点から管理をする。だが大規模プログラムにはそういう視点がない。マネージャーが居らず全員が実務者、というのが今のプログラムと言える。

まったく居ないわけではない。プロセス監視、機器の故障監視、通信集中の監視、マルウェアの監視といった汎用の監視システムはある。だが、ワークフローの途中でハンコを押す、業務の内容を熟知したマネージャーソフト、というのは見たことがない。課長、部長の区別も勿論ない。

何を言いたいのかというと、大規模プログラムにおいては、人間がしているように、ソフトウェア上でも実務者とマネージャーに別れた監視の概念を取り込むべきではないだろうか、ということだ。そしてその各々の複雑さは人間個々の理解を超えない範囲に止め、複雑さの増大に対してはマネージャーの(数の)増加で対応する、というものだ。

概念自体は簡単で、従来の業務ソフトを分割して、内部でワークフローを作り、チェックポイントでマネージャーソフトの承認がないと先に進めないようにする。勿論却下された場合の対応方法もプログラミングする必要があり、これは従来なかった概念なので新たな開発になる。一方でマネージャーソフトは当然ながら新規開発である。

判断の基準は、個々の業務に間違いがないかどうかは勿論だが、統計的にその処理が妥当かどうか、だろう。例えば特定の処理が異常に多くないか、申請者が怪しい人物でないか、極端に金額や数値が大きくないか、など、どちらかと言えば「常識」を持つものになる。そしてこれらはAI的なソフトになるのではないだろうか。

こうすると、人間としてのマネージャーが一人のAIマネージャーを教育(学習)し、監視しながら徐々に自動化の割合を高めていく、という形になる。これなら実務者が人からソフトに変わっても同じ対応ができるし、ノウハウは会社(AI)に溜まることになる。マネージャ相互の優秀さもちゃんと個性が出るので、それらを比較してより向上させたり、評価に使ったりできる。

マネージメントの量が増えれば人も増やさなければならない。これなら実務者がソフト化しても管理者側に廻ることができ、また管理者が増えることで処理可能数が増え、人を削らずに業務を拡大することができる。

このアーキテクチャでは、ソフトウェアが幾ら大規模になってもソースは大規模にならない。AIマネージャーの初期状態は皆同じであり、事業立ち上げ初期には(プログラマやPMではなく)業務経験者が多数必要になる。もしソフトに不具合があっても被害が大規模になることはない(人間の管理者がチェックするため)。ベンダにノウハウが移ってしまってベンダロックインが生じることもない。費用の問題を除けば(検討していないので)、どちらにとっても良いシステムであると言える。

2017年9月25日月曜日

保証書の電子化


大型家電やコンピュータなどを買うと何時も鬱陶しいと思うのが、取扱説明書、保証書、CD、そして使わない付属品の類だ。例えば浄水器の蛇口取り付け冶具のバリエーション、何年先に使うか分からない予備の消耗品、アンテナプラグ、など等。

これらは、何時使うか分からないにも拘らず捨てられない。なぜなら、捨ててしまうと二度と手に入らない可能性があるからだ。もしAmazonで1日で発注できると分かっていれば、オンラインで直ぐ確認できるなら、あんなものは要らない。本体だけで充分だ。

今でも、ベンダのサポートのページに行けば、取扱説明書くらいはPDFで見ることができないことはない。だが付属品全てを見ることは無理だし、そこで買えるわけでもない。第一そこにたどり着くことは困難だ。製品の型番は何処にある? ベンダのWebアドレスは? 何処で買ったっけ?

家電リサイクル法に伴うリサイクル券、保証書は、やはり実物が必要なので捨てるわけには行かない。だが先日部屋を整理していたら、既に捨てた機器の保証書が山ほど出てきた。万一のために取っておくが、結局殆ど使わない。そんなものだ。これはスペースや記憶の煩わしさから見ても悪と言う他ない。

取り扱い説明書の電子化、という言葉だけで言うと、結構普及している。だが相当に不十分だ。上の不満と合わせて、以下のサービスを提案する。
  1. ベンダは、機器そのものの目立つ位置に、QRコードを表示する。このQRコードはシリアル番号を含むものとする。
  2. そのQRコードをスマホで読み込むと、専用のサポートページに飛ぶ。
  3. サポートページには、以下の情報が必ずあることが保証される。
    1. 製品の全ての付属品・消耗品について、一覧の閲覧及び再購入がボタン一つでできるようになっている。それは細かな紙一枚についてまで徹底する。例外でよいのは宣伝(チラシ)の類だけだが、それも情報としては提示する必要がある。
      1. これには梱包材も含まれる。梱包材については製品と全く同じでなくともよい。またこのために、緩衝材は風船や発泡スチロールベースではなく、段ボール折り紙ベースであることが望ましい。
    2. 紙、及び電子データ(ドライバ、アプリの類)については、そこからダウンロードできるようになっている。取説などはできればPDFではなく、ePUBないしはWebページであることが望ましい。
  4. 保証の対象となる機器については、店舗が購入日と店舗情報をオンライン入力する。これによって保証とリサイクル券が有効になる。ユーザは何もすることがなく、製品をただ修理に出すかリサイクルに出すだけでよい。どちらについても各々業者がQRコードを読み込み、対象かどうかをその場で確認する。
    1. 店舗には専用のIDをあらかじめ発行しておき、ログイン状態でQRコードを読めば、店舗専用ページに飛ぶことができる。そこで確認ボタンを押すだけでよいようにする。
技術的に困難なところは何もなく、システムとしてもそれほど面倒なものではない。ベンダ毎に規格が異なると厄介だが、それでも有名どころがきちんと対応してくれれば大きな問題にはなるまい。

これらが徹底してくれれば、製品を買ったら設置し、それ以外のものは全て捨ててしまうことができる。必要になったら何時でも手に入れられる、その安心感は大きい。押入れも本棚も、これでずいぶんすっきりするはずだ。この仕掛けは、あらゆるものに適用して欲しい。

2017年9月24日日曜日

オフロードバイク初動救急隊


http://www.gizmodo.jp/2017/06/medical-drones-could-beat-ambulances-at-carrying-aed.html

AEDドローンで救急車との比較実験をしたと言う記事。ドローン5分、救急車20分で圧倒的にドローンの勝利。

過去の投稿を見直してみて、救急ドローンについてまだ書いていなかったことに気づいた。ここで改めて考えてみたいと思う。

上の記事でも言及されているが、AEDを運べても操作できるとは限らない。例えば電話で話していて急に倒れた、なんてこともあり得る(話し相手が呼んだ、そこに誰も居ない)。あるいは子供が呼んだかもしれない。もちろんAEDだけで助かるかどうかも不明だ。倒れて頭を打って出血したとか、別の原因だったとか、色々考えられるだろう。

だから救急車の出動は何れにしても必要になる。それはそれとして、せっかく20分を5分に短縮できたのだから、それを生かす工夫も入れてほしいものだ。ここでは二つの提案をする。

第一は、ドローンに無線カメラを積んで、近くに着いたら人を認識して音声で協力を要請する、という仕掛けだ。ドローンは現地までは自動操縦で行くが、到着したら手動に切り替えて、操縦者が人を探すようにする。もちろんAEDの操作もその場で指導する。これなら初心者でも子供でもAEDを使える。場合により簡単な止血や心臓マッサージなどもできるだろう。

もう一つは、バイクで出動する初動部隊だ。救急車がとれないルートを取ったり、あるいは救急車ではいけない場所までも入り込める。渋滞をすり抜けることもできる。
これには先例がある。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%95%91%E5%91%BD%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%80%E3%83%BC

だがあまり全国に普及しているようには見えない。これが始まった当時、ドローンの利用はまだ一般的ではなかったと思われる。自分が考えているのは、このバイクに装備全てを乗せるのではなく、このバイクを追いかけて装備を載せたドローンが多数着いていく、というものだ。

多くのドローンの飛行時間は15分程度しかないが、もともとその範囲での出動を考えているのだから問題ない(後から来たピックアップ車に乗せてゆっくり帰ればよい)。これならバイク自体が身軽でも行先で相応の対処ができる。上の例のような重いバイクではなく、オフロード用の低排気量のバイクで充分だ。原付でもよいかもしれない。

そして、救急車自体もこのドローンを前提に作り直すことができる。即ち、初動装備はドローンが運び、バイク部隊が応急処置と状況把握をする前提で、より小さく、より少ない装備で、その分安く作れるので台数を増やす、またより遅い出動となる代わりに、先行バイクの状況把握を基に受け入れ先を先行して探す、というものだ。

救急車の本分は患者を「運ぶ」ことで、応急処置はするにしても、受け入れ先の病院を定めなければ動けない。救急車自体の出動が遅くとも、バイクが早く着くことで受け入れ先を探し始める時間が早くなれば、結果としてタイムラグは短くなる、というわけだ。到着より受け入れ先を探すのに時間が掛かるのが今の時代だから、これは検討に値すると思う。

もちろん、もっと先の時代になると、ドローンが状況把握まで行うとか、ドローンが応急処置ロボットを運ぶとかいうこともできるようになるのだろう。

2017年9月23日土曜日

Google Glassの指示通りに動く人


「労働者の流動性確保が必要」

竹中某などはその先鋒だと思うが、個人的には反対だ。正確に言うなら、言いたいことは分かるが無理筋だと思う。

そう思う理由には、二つの要素がある。一つは、新しい職業には新しい職能が必要だ。そのためには学習が必要であり、新しい職業は古い職業より高度な職能が必要な場合が多いだろう、ということ。

例えばフロアスタッフで考えてみる。昔は手書きの伝票と現金のレジしかなかったが、今なら注文端末の操作は必須といって良いだろう。増えていく決済手段への対応も、そのトラブル処理も必要だ。無線LANを整備しチェックイン機能を理解し、検索エンジン対応やポイントカードやぐるなびクーポンやtwitterでのつぶやきも必要、クレーム処理を間違えると昔よりペナルティが酷いなど、仕事をする上での必要な知識の量はどんどん増えている。

もう一つは、流動性を求めるということはイコール自分のところでじっくり教育するつもりはない、ということであるからだ。日本の終身雇用は、そういった職業訓練をじっくり出来る利点もあったわけだが、流動性が高ければ教育のモチベーションは上がらない。

完全自由主義なら、これは自助努力で何とかしろというだけになる。すると、その教育は、(意欲だけではなく経済的な)余裕がある者だけの特権になり、格差は広がり、貧困層は増えていく一方になる。時代に合わせた職能を得るための(無償での、ないしは有給での)教育期間が得られないからだ。

現在ハローワークの連携などで行われている職業訓練校が、これの隙間を埋めていることになっているはずだが、そこでの脱落者も多いし、そもそも枠は狭い。求められるスキルが高くなれば落伍者が増えるのは当然のことだ。つまり、職業訓練校を強化する(期間を延ばす、対象職種を広げる、無償化など)ことに一定の意義はあるものの、それえ解決できるわけではない。

そうすると、例えば昔ならフロアスタッフを何とかできる程度の知識レベルの人は、今では知識不足で出来ないわけだ。人の知識レベルはそう簡単には上がらないから、最低限の仕事でもできない、という人の割合が増え、平均賃金は下がり、生活保護も増えていってしまう。

これらの解決策として考えられるのは、「人でなければできないが、その能力の上限に歯止めがある」という職業を意図的に増やすことだ。単純に言うなら、機械の支援により人が動く仕事である。主には対面業務がそうだが、実務であっても当てはまる。倉庫のピックアップなどはそれだろう。

単純化して言えば、「ボットの指示通りに喋る人」「Google Glassの指示通りに動く人」だ。そしてそういった職業を、ある程度の比率や数で強制する。それも、大企業になるほど強制力を強くする。

例えばとび職。ロボットがとび職を上回る運動能力を得られるようになる遠未来であっても、一定の人数を雇用することを義務付ける。もちろんそのとび職はGoogle Glassを常に装着しており、その指示通りに動く。むしろ、それを使わずに独自の判断をすると叱られたり、監督が注意を受けたりする。例えば銀行窓口。手元のボットがワイヤレスイヤホンで指示をした通りに喋らないと減点される。もちろん一字一句までは気にされないが、間違いを喋ると訂正が入ったりする。

それでも最低限の知識は必要だが、これなら人の労働需要は確保できる。但し最低賃金は職業別に何らかの保障が必要である。本来なら全部機械にすることでもっと安くできるところを無理矢理高くすることになるため、企業にとっては負担になる。不正が横行しないように監視も必要になる。

こういった「保護された労働者」の割合は、障害者雇用義務などと同様な位置付けとなる。障害者の割合はそれほど急激に増えないだろうが、こちらの方は急激に増やしてやる必要がある。全従業員の何10%がこれ、などとなる可能性も、充分に考えられる。

そして、Google Glassに従っているだけでよい、というところまでAIを進化させるのにはまだ時間が掛かる。暫くの間は苦境は続くだろう。

2017年9月22日金曜日

欲しいHA


昔からHA(ホームオートメーション)には興味があるのだが、いまいち実践できていない。その理由は何なのか考えてみると、
  1. 赤外線リモコンを何処に置いたらよいのか分からない。
  2. 単なるリモコン(ボタン)の置き換えかシーケンサー(一連の操作の流れ)登録程度しかなく、個別の機器の操作の面倒があまり解消されない。
  3. センサの電池を交換するのが面倒。
  4. センサの後付で見た目がダサくなる。
  5. 信頼性に疑問あり。特に火元廻りと防犯でコケると大変。
  6. 欲しいセンサがない。
  7. 欲しいアクチュエータがない。
こんなところだろうか。欲しいものを考えてみると、こんな感じになる。
  1. メインマシンは据え置きタブレットとする。普段はクレイドルに納まっていて、リビングから見える位置にある。サイズは7~8インチが適当である。普段は時計、カレンダー、フォトフレーム、天気予報表示、気温表示などをする。
  2. タブレットは、緊急地震速報などの非常通報のデフォルトの表示端末である。
  3. タブレットはSIMを内蔵しており、通常の家電話として使える他、単独でネットワーク通信も行える。家の各人の携帯電話番号を覚えていて、必要に応じ電話を転送できる。当然留守電や(仮想)Fax機能もある。
  4. 天井に赤外線リモコンが仕込んである。非常に強力であり、陰に隠れた機器も操作できる。また、一部の電波式リモコン対応機器にも対応する。リモコンで操作できる機器は全てこれで操作する。これは、シーリングを二重化しておいて長い手を出して照明器具の外にセンサ・発光機を出す、ないしはシーリングの光で発電する天井貼り付け型。
  5. ドア・窓の開閉センサ、窓のロックセンサ、玄関の電気錠、ドアスコープカメラ、屋内カメラ、モーションセンサ、火災センサ、煙センサ、ガスセンサ、天候センサ、ガレージドア開閉装置、カーテン開閉装置を備える。これらは基本的に埋め込み、電源配線済みないしは発電機構込みとする。発電装置を備える場合、電池寿命が5年以上ある場合はその限りではない。
  6. 屋内・ベランダ・庭等敷地内に家族の誰が居るか、家族以外の人間が何処に何人いるかを常に把握する。それは主にカメラ、モーションセンサを使い、顔認識で区別する。カメラ・センサは敷地内に無数に設置する。人の移動履歴を基にインテリジェントに行う。
  7. 基本的な操作は音声で行えるようにする。但しビデオ予約等複雑な操作は別でよい。音声認識は個人認識まで行う。
  8. 操作なしで玄関の施錠開錠ができる。人の移動を検知して自動で行う。但し外の人が家の人でない場合は手動とするなど、防犯は配慮する。外部からの開錠において、秘密のジェスチャーないしは合言葉で警察に通報する機能を持つ。(脅迫対応)
  9. 誰も家から居なくなったら自動的に留守モードになる。その直前には、窓の開閉だけでなく施錠も確認する。ガスの元栓を自動で締める。水道も、洗面所とシンクは止める。
  10. 風呂の空焚き、水の出しっぱなし、水溢れ、ガス漏れ、漏電などを検知し警告する。可能ならば閉栓する。
  11. 操作なしで照明をオンオフする。人が居るときは原則オン、居ないときはオフ。但し寝るときなど、は音声でオーバーライドできる。夜の廊下は常夜灯でオンオフする。また留守の場合は居留守モードにより自動でオンオフする。居留守モードではテレビや換気扇も連動する。
  12. あらゆる火災を検知して自動通報する。自動消火もしてほしい。
  13. 見守りをして欲しい。トイレや風呂で倒れた、赤ちゃんの大泣き、徘徊など。もちろんプライバシーは守った上でだ。
  14. 音声操作では、テレビやラジオからの音声をご認識しないようにする。
  15. 「ビデオの再生」と言うだけで、テレビを点け、ビデオを点け、入力切替をして、再生メニューまで出して欲しい。
  16. エアコンの操作も全て音声で完結して欲しい。扇風機もリモコンでやれば同じ。特に夏の夜の寝苦しさを双方連携で解消して欲しい。
  17. 風呂のお湯張りは勿論、風呂洗いも栓閉めも自動でして欲しい。浴室も自動で洗って欲しい。
  18. 掃除も自動でして欲しい。人の居ないことを検知して勝手に始める。溜まったゴミも勝手に捨てる。
  19. ガレージの開閉も、リモコン操作なしに音声だけでしたい。車にも音声センサを付けておく。
  20. エアコンの操作も音声のみで可能とする。
  21. テレビのオンオフ、チャネル変更もこれで行う。また、子供の見すぎにも警告を与えられる。
  22. Google アシスタントができるようなこと(調べ物、音楽再生、天気予報、スケジュール通知など)も行う。
  23. 複雑な条件分岐に対応する。ちょっとしたプログラミングだ。
ひとつひとつはちょっとしたことだ。Alexa連携でできることも多いだろう。だが、これを纏めてタブレット一つで操作できるように見せることはそれなりの労力が掛かるし、精度の確保も難しいだろう。その大部分は、センサではなく得られたデータの加工・判断である。画像解析・行動解析がかなり重要なファクターを占める。AIが絡む部分も多いはずだ。

これは即ち、当面はあまり信頼できる精度は出ないだろう、製品としても出てこないだろう、ということでもある。あと何年待てば出てくるのだろう。

2017年9月21日木曜日

SDGsと世界政府


http://www.unic.or.jp/activities/economic_social_development/sustainable_development/2030agenda/

持続可能な開発目標
  1. あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる
  2. 飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する
  3. あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する
  4. .すべての人に包摂的かつ公正な質の高い教育を確保し、生涯学習の機会を促進する
  5. ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児の能力強化を行う
  6. すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する
  7. すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する
  8. .包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する
  9. 強靱(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る
  10. 各国内及び各国間の不平等を是正する
  11. 包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する
  12. 持続可能な生産消費形態を確保する
  13. 気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる
  14. 持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する
  15. 陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する
  16. 持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する
  17. 持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する
(以上、上記URLより引用)

長々と書かれてはいるが、①地球規模での持続性(エネルギー、一次産業など)維持、②(人間の)地球規模での不平等と貧困の撲滅、と整理できるのではないだろうか。こうなると答は簡単で、①石油消費量(生産量)制限とエネルギー転換(自然エネルギー等)、②資本主義・自由主義から社会主義・全体主義への思想転換、となる。これらは何れも「大きい政府」でないとできない。しかも単独の国家では不可能で、全世界が協調して推進しなければならない。

先進国たる北米、欧州、日本は何れも自由主義国家であり、これらが世界政府的な「大きい政府」を樹立できなければ、為し得ないことだ。また中国・ロシアなど社会主義国家と言えども自国が第一であり、協力は簡単には得られないだろう。現状では条約レベルでしかできることがなく、抜け漏れは多い。だから、これを実現することはほぼ不可能だ。目の前にいくら危機感が高まろうとも、自分は最後でいい、相手が対応するべきだ、という国家はなくならない。

これが起こる可能性は、二つある。
  1. 圧倒的な軍事力を持つ宇宙人による侵略、征服に続き、その宇宙人に強制される
  2. 第三次世界大戦、しかも核によって主要先進国が瞬時に滅亡に近い状態になる
1.は恐らくその「圧倒さ加減」が大きいほど望ましく、中途半端だと抵抗に遭って被害が広がる。2.は放射能汚染があるから、いかに早く決着するかが鍵になる。もちろん、戦争で死ぬ人間にとっては持続性も何もあったものではない。

2.が持続性を生む理由は、船や飛行機、あるいは飛行場・港が多く破壊されることによって国際交易が大きく減り、また発電所も破壊されるだろうから連動して石油消費が減ること、またエネルギーを無駄遣いする先進国の人口が大きく減ることによる。だから決して望ましい結末ではないのだけれど、持続性自体は得られることになる。

となれば1.、つまり宇宙人の襲来を望むことこそが平和的な持続性の追及になるということになるのだが、この可能性は限りなくゼロに近く、悲嘆するしかない。

(3.世界征服を企む悪の秘密結社が世界を統一する)

2017年9月20日水曜日

骨梁構造人工木


骨梁とは、骨の内部に存在する網の目ないしはスポンジのような構造のことだ。この構造によって、骨は頑丈なのに軽量でいられる。類似の構造としてはアルミ発泡材があるが、あれはどちらかと言えば消音や軽量化が目的であり、骨のような(建築用語で言うところの)構造材としての用途とは少し違う。

従来の鉄骨構造では、H鋼かパイプ、ないしは角型鋼管などが使われてきた。骨梁と類似の構造は今まで無かった。あえて言うならトラス構造がこれの超簡略化したものと言えなくもない。なぜ無かったのかと言えば、作れなかったからだ。充填剤として発泡ウレタンなどを入れることはできたとしても、それでは構造材の役目は果たせないから強度は変わらなかった。

しかし、今の技術なら可能だ。3Dプリンタがそれだ。鋼管と(ほぼ)同じ材質で骨梁を作ることができれば、それを角型・丸型鋼管で覆うことによって、従来の何倍もの強度を実現できるはずだ。

また、鉄に限らず樹脂や人工木でこれを行えば、もっと面白いことが起こる。というのは、骨梁をそのまま真似るのではなく、独立気泡のように成形することができる。これは断熱の効果もあるのだ。(鉄は素材自体が低断熱なのでやってもあまり意味がない) 鉄骨構造やRC造は丈夫だが、断熱性が悪い。木造はその逆だ。そこに骨梁人工木が乱入する。丈夫で断熱性の良い構造材の誕生、というわけだ。

骨梁構造によって断熱性能が木材の3倍程度になれば、充分にグラスウールに匹敵するので、断熱材なしで柱・壁を作ることができる。同じ素材で吹き込み式の断熱材を作ることも、充填剤や補修剤を作ることも可能だ。すると、完全単一素材の家を作ることが可能ではないか。

これには様々なメリットがある。例えば気密性の確保や補修に、木工パテが使える。透湿シートや断熱材などと壁床を何重にも加工する必要がなく、一発で作れる。窓枠、システムキッチン、ドア、家具類までも同じ素材で作ることができる。これにより、解体でのリサイクルが簡単にできる。建築用・加工用の道具類もシンプルになる。壁に直接塗装することも、モノを接着することも簡単だ。穴を空けたり溝を掘ったりして、電気やガスの配線配管を埋め込むことも、後付けでできる。

もちろん外壁材としては強度不足だろうから、塗装やシート加工、屋根には別素材(瓦など)が必要になるかもしれない。それでもこのメリットは色褪せない。ぜひ検討して欲しいものだ。

2017年9月19日火曜日

音楽プレイヤーの未来


AppleがiPod shuffleとiPod nanoの終焉を発表した。カセットの時代からポータブル音楽プレイヤーを使ってきた身としては、時代の区切り、郷愁のようなものを感じる。

iPodが出てきた頃から、音楽プレイヤーの主流は半導体メモリになることは容易に想像できた。そしてそこから類推すれば、それはどんどん小さくなっていくが、ディスプレイや操作スイッチの大きさには限りがあるからそのトレードオフが必要、というのもまた自然な考えだった。iPod nanoが出てきたとき、もうこれ以上小さくしても意味がないと思ったのだが、shuffleが出てきたときの割り切りには感銘したものだ。

さて、今後は音声操作が可能になる他、耳の穴に入るBluetoothイヤホンもあるくらいだから、Bluetoothイヤホンへの付加価値追加という形が事実上最小であり、それ以上小さくすることには意味がない。ただ、UIについてはまだ発展の可能性がある。

幾つか考えられるが、例えばGear VRの付属コントローラーのように、コントローラーが別になっている、というものが考えられる。イヤホンのリモコンに毛が生えた程度のものを無線にして、ポケットに突っ込んでおく。操作と連動してその操作を音声で追認識する。

また、音声操作はGoogleアシスタントやSiriの延長として操作するのではなく、イヤホン単独のものに埋め込まれる方向性があり得る。今でもスマホで音楽を聴きながらランニングしている姿はよく見かけるが、あれはあれで結構重いしケーブルがぶらつくのも邪魔だ。それこそウェア以外はイヤホンだけ、というのが理想だろうからだ。

他に考えられるのは、Google Glassとの連動だ。完全なVRグラスだとコンテンツを見るのが優先になってしまうが、Google Glassのようなながら視聴なら、グラス(メガネ)の操作や、映像による操作補助が期待できる。

だが、もっと凄いことができそうな気がする。Spotifyには、最初にちょっと走ると、そのペースに合ったテンポの音楽を再生する、という、ランニング用の音楽リストがあった。元々、Spotifyの無料版は、個別のタイトルは選べないが、完全にランダムではなく、個人の好みを反映する。であれば。

キュレーションメディアでは、個人が興味を持って読んだニュースから個人の好みを推測して、新しいニュースを選ぶ、という機能がある。音楽にも同様なことはあり得るが、こちらはもっとシチュエーションに左右されるもののはずだ。上のランニングがよい例である。つまり、従来型の好み検出に加え、シチュエーション検出を合わせて最適な音楽を流す、という機能があってよいはずだ。

上のようにランニングというのは分かりやすい。多くのフィットネスソフトは、振動センサや加速度センサで歩行、サイクリング、ランニングをしていることなどを検出する。もしスマホを持ちながらであればGPSが入るから、その移動速度や周囲の天気は加えてインプットにできる。勿論個人のスケジュールや曜日、普段の生活パターンまでもデータとして入れられるならどうか。

例えば目が覚めたときには爽やかな曲、家で勉強しているときにはアップテンポで音声のない曲、就寝前には雨だれの音、夏にドライブしているならスカッとする曲、渋滞しているときにはさだまさし(?)、人が話しかけてきたら自動で消音。そういった選択を自動で行ってくれたとしたら、人は殆ど操作することなく、一日中イヤホンを耳に掛けていられる。

これなら、新しい音楽の聴き方として有望である。音楽を聴く時間は増え、音楽生産者は潤い、個人は操作の煩雑性から解放される。曲の選び方にはサービスプロバイダの個性が出せるから、真っ当な競争ができる。

多くの音楽配信サービスの次のプレミアムとして、充分考えられるのではないか。

2017年9月18日月曜日

温室庭


一戸建てを(遠い)将来手に入れられたとしたら是非やりたいと思っているのが、庭にまで掛かる透明な天井だ。周囲の少なくとも上部も、同じように透明ガラスで被いたい。その心は二つ。一つは、雨の日でも庭が濡れず、強い風も吹かないようにすること。もう一つは、透明天井の大部分を半透過太陽電池にして、太陽エネルギーを最大限得たい、というところだ。

まず前者のメリットだが、この敷地に家を建てる場合、天井の防水が必要ない。海外の雨の降らない地方では、天井の作りがとんでもなくヤワなものもあるようだが、断熱さえしておけば防水が必要ないとなれば、相当な予算が浮かせられるだろう。また当然ながら、台風の日でもゲリラ豪雨の日でも、庭に出て休んだり遊んだりできる。他にも、車からの出入で傘が必要ない、宅配便なども濡れる心配がない、庭に出てからコートを着る、などもできる。もちろん洗濯物も干せる。

防犯上も、構造物に監視カメラやセンサを仕込むことは容易であり、隣家や道路との境界もしっかり把握できるため、有利になるだろう。

また、直射日光がだいぶ和らぐので、夏の断熱も弱くてよい。冬は逆に熱を溜め込んで寒さを緩和できる。このバランスを取るためには、天井付近のベンチレーターや周囲の壁の空き具合を調節する必要があるだろう。

副次効果として、敷地内に降る全ての雨を回収可能である。これは防災用、消火用、日常の中水(散水、トイレ)として使える。敷地内は逆に雨が絶対に降らないので、散水は必要になる。

後者だが、一般論として、一軒家の敷地面積はその屋根面積の数倍はある。だから、効率の悪い半透過型であっても、敷地を全部覆えば相当の発電ができるはずだ。恐らく平均で3kWを超え、電力コストはマイナスになるはずだ。余った電力を使って植物工場を作りたい。

問題になるのはやはり費用だろう。雨避けの機能があるため、この屋根は建築基準法上の建物とみなされる。都会に行くとガラス天井の建物などは普通にあるが、台風や雹に耐える丈夫な作り、ガラス故の汚れやすさに対応する光触媒や自動洗浄装置など、考えるべきことは多い。

2017年9月17日日曜日

人はなぜ悪に憧れるのか


「人はなぜ悪に憧れるのか」と「人はなぜ正義に憧れるのか」をGoogle検索してみたところ、前者は素直にヒットするのに後者はひねくれたサイトしかヒットしなかった。どうやら人は悪に憧れているようだ。

前者のサイトを読んでいると、様々な解釈が出てきて面白い。だが、検索前に自分が用意していた答とどんぴしゃりのものが見つからず、少々残念だった。それは、「正義は我慢、悪は我慢からの開放」というものだ。

動物の世界には正義や悪の概念はない。弱肉強食、それだけだ。昆虫に多い擬態、(敵の少ない時間帯を狙って行動する)夜行性動物、怪我をしたふりをして子供を逃がす鳥、女王蟻、クモの巣、外来種汚染、何れも「悪」「卑怯」などでは語れないものだ。

では人間はどうかというと、お互いが決めたルールを守ることによってこの「弱肉強食」のルールを緩和している、と言える。ヤクザとか金持ち有利とか独裁国家とか、完璧ではないにせよ、お互いがルールを守ることによって弱い者でも生きていくことができているため、種全体としては繁栄していると言える。

この「ルール」は、けっこうガチガチの規制になっていて、時代と共に増え、厳しくなっている。このため守ることも年々難しくなり、必要な知識も多くなっている。それが種全体を繁栄させる手段であることは分かっているから人はルールを守り続けるのだが、これは「我慢」であると言える。

我慢も程度問題だ。簡単なものならよいが、それが多数、あるいは複雑になっていけば、守るのにもストレスも溜まる。たまには開放(ルールを破る=悪)したくなる。これは素直な欲望だ。

昔の人の労働時間は今よりずっと少なかったそうだ。また、昔は平均して二ヶ月に一回は、地域のほぼ全員が参加するような、祭りなどのイベント(盆踊りや正月など)があった。現代人の精神的ストレスは相当に高いだろうし、休みも分散したためにイベントに出づらくなり、ストレス発散の機会は減っている。平均的な人の多くが悪に憧れているとすれば、それは社会ルールの遵守に対するストレスの発散が充分でないことを示しているのではないだろうか。

つまり、分析としては「社会ルール遵守に対するストレスの蓄積と発散のバランスが悪いと人は悪に憧れる」、「悪に憧れる人を減らすためには、①ルールを減らす、②ストレス発散の機会を増やす、が有効」ということになる。

ほんとかな。

2017年9月16日土曜日

放射線殺菌の普及を


Amazonが、生鮮品の宅配に際して冷蔵冷凍配達の難しさに直面し、常温配達に向けた研究を始めているらしい。密封した上でのマイクロ波殺菌などが考えられているようだ。

ただ、マイクロ波殺菌の原理は基本的に過熱によるものなので、その適用範囲は限られて
いる。千切りキャベツが茹でキャベツになり、レアステーキもウェルダンになってしまう。その点、放射線殺菌は万能に近い。紫外線殺菌と違って奥まで届き、マイクロ波と違って殆ど発熱しない。殺菌も完璧で、生野菜でも生肉でも、常温で1ヶ月保管することなど造作もない。缶詰のような硬い容器も必要ない。生鮮食品の常温保管を実現するのに最も近い道だろう。

これが普及すれば、相当の経済効果がある。流通過程の全てで冷蔵冷凍が不要になれば、その分の設備や電気代、冷蔵冷凍に掛かる時間が不要になる。また、被災地への支援物資にも生ものが配れる。そのまま食べられるおにぎりから刺身まで、だ。調理済み食品も多数できるだろう。弁当の訪問宅配などは不要になる。糖尿病食などでも、冷凍弁当ではなく生野菜や刺身を堪能できる。不作でも流通が安定する。家の冷蔵庫はなくなりはしないが、小さくなるだろう。冷やして食べたいものや残り物、氷の製造に必要だ。いわゆる非常食の概念も変わってくるだろう。あらゆる食材について、ローリングストックがやりやすくなるからだ。

だが、現在の日本では、放射線殺菌は認められていない。WHOが安全宣言を何回か出しており、海外では普及しつつあるが、日本への輸入もまた認められていない。その理由は国民感情だろうが、それは正に「感情的」なものであって、科学的、論理的なものではない。

これは勿体無いと思うのだが、いかがだろうか。何とか普及して欲しい。そこで、その手始めとして電子線殺菌の解禁を提案する。

電子線とて放射線の一種であるが、まだ抵抗感は少ないと思う。しかし放射線殺菌よりも不利な点はあるので、それを補えるものでまずスタートする。それは一言で言えば「薄いもの」だ。例えば豚薄切をシート状に挟んで密封した上で連続的に殺菌することができるはずだ。子供が小さい家庭なら、これだけでもかなり重宝する。

同じように、赤ちゃん用のミルクをシート状の薄い袋に入れておくのはどうか。乳首まで一体で作っておき、その部分は潰して薄くしておく。暖めるのはヒートパックを使えばよい。二重の袋に入れておいて、まず外側に水を入れて暖め、乳首の保護下バーを外して形を整えてやればよい。

千切りのキャベツ、しょうが焼きにした豚肉、薄く並べたライス、これで保存用のしょうが焼き定食が作れる。これでReady to Eatの非常食セットが作れる。パスタやカレーでも良いが、生野菜を少しでも使うものが良い。刺身でも薄く切れば良いし、サラダでも並べて小さめに切れば何とかなるのではないか。

こうして電子線殺菌が認められていけば、何れは放射線殺菌にも道が開ける。そうなれば、盛り付けまで済んだ食品をそのまま保管したり、豚バラブロックを生のまま保管したりと、更に様々な応用が期待できる。

2017年9月15日金曜日

味噌汁椀は奥左に置くべきだ説


伝統的な作法では、汁椀は右手前、飯椀は左手前、主菜は右奥、副菜は左奥(、漬物は真ん中)、というのが正しいらしい。この配置には長年疑問があったのだが、調べてみると、(伝統や迷信以外の)合理的な理由はなさそうだ。

自分がしているように、左奥に置くというのには合理的な理由がある。一汁三菜の食器のうち、飯椀と味噌汁椀の背は高く、主菜副菜の皿は低いのが普通だ。だから、右手前に汁椀を置くと、置くの低い皿に手が届きにくい。また、右奥に置くと、一旦右手で持って左手で持ち換える必要があるので手順が増える。だから左奥が最も合理的なのだ。そしてもちろん、左利きの場合は左右逆に置くべきだ。

しかし、そもそもこう配置した理由はもっと単純であって、それは、小さい子供が伝統的な配置で食べると、かなりの高確率で汁椀を引っ掛けて倒してしまうのだ。単純な話、液体を入れた器、しかも背の高い器を一番手前に置くことは、間違えて倒しやすいし、倒したときの被害も大きくなる。そしてこれも、良く考えてみれば合理的な理由である。

左が高位だとか、飯椀を跨ぐのは失礼だとか、いろいろ(合理的根拠の無い)「説」はあるようだが、現代人にとってそれが気にならないのであれば(事実多くの人は気にしないだろう)、合理的な理由に基づく配置を考えるべきだ。

2017年9月14日木曜日

一国多通貨制


人種差別は良くないが、能力別クラス編成は認められる。その程度の意識があるのなら、社会全体にもそのような制度があっても良いのではないか。

以前、一国二通貨制を提案したが、考えてみれば二つである必然性はない。電子マネーの時代である。何十階層あっても問題ない。問題なのは差別であって区別ではない。その階層間の行き来に公平性が担保されるのなら、階層化による経済調整は有用ではないか。

概要を説明する。まず、各人は多階層のどの位置の通貨を持っていても良いが、階層間の交換レートは相応に不利で、出来なくはないが不経済である。一方で労働者を雇う側は完全に能力給であり、いわゆる(終身雇用の)正社員は存在しない。同一労働同一賃金であるが、雇用期間中の給与には健康保険料や介護保険料、雇用保険、年金等は含まれており、口座は分けられている。

賃金がどの通貨で支払われるかは労働内容によって決まり、個人には依存しない。また、どの階層にも支払の上限額があり、それ以上払うことは許されない。従って、キャリアアップは即ち上の階層に移ることを意味する。キャリアアップに積極的な人はどんどん上の階層の職業に転職を繰り返し、現状で満足する人はその階層に留まる。

一方、一つのモノ(商品)に対し、複数の階層の通貨で値付けがされている。これは交換レートよりは低いが差別化が為されていて、生活必需品ほどその規制は厳しい。即ち、低い階層の通貨では比較的安く手に入る。つまり、キャリアアップによって給料は上がるが物価も少し上がる。この間に逆転現象が生じないように、レートは調整される。

結局、この制度が何を意味しているのかと言えば、国家間の関税による貧富の差の調整を、一国の中で行っているようなものだ。こうすることにより、人間の能力差がそのまま貧富の差にまで開かないように圧縮し、金持ちも貧乏人も相応に幸せに生活をすることが出来る。

この制度の良いところは、富裕税のような金持ちに睨まれる制度を導入せずとも、自然に近い形(交換レートの調整)で貧富の差を圧縮することが出来るところにある。またこうすれば貧民の固着化を避けることもできるはずだ。段階が細かければチャンスも多いし、すべき勉強の量も少なく、無用な障壁も高くはならないだろう。

日本で適用するなら最初は3段階程度でどうだろう。年収1千万円以上の高所得者層、300万円以上の中所得者層、それ以下の低所得者層及び生活保護層。一物多価も、最初は家賃・下着・インフラ・食糧・医療程度から始め、様子を見ながら調整して徐々に拡大していく。上手く行けば画期的な社会システムになる。

2017年9月13日水曜日

百均防災備蓄


防災備蓄に関しての(個人的な)最近の傾向として、百均の活用が挙げられる。百均のグッズで防災に対応するものが多く出てきているため、防災備蓄がしやすくなってきている。


特に成長著しいのが、衛生関連と介護関連だ。避難所ではこれらが非常に役に立つ。例えばパンツが換えられなくても尿漏れシートがあれば耐えられるとか、大きめの体拭き、小分けの消毒液(アルコールや塩酸ベンザルコニウム等)、消臭剤の類も有用だ。グルーミングセット等もある。

また、菓子類、調味料なども小さめの(携帯しやすい)ものが揃っている。惜しむらくは賞味期限が短く、殆どは1年もたない。このため、年1回の見直しを考えた場合、どうしても食糧・水が期限切れになってしまう。

そこで考えるのが、見直しを年2回にする方法だ。食糧・水など賞味期限の短いものだけを年に2回見直すものとして、それ以外を年1回にする。こうすると、例えば薬の見直しも同等に出来るし、衛生関係もランニングストック的な使い方ができるようになる。

防災用品は得てして高額だが、年2回の見直しを前提に考えてみると、かなりのものが百均で揃えられる。少し考えてみよう。
  • 衛生関連
    • ウェットティッシュ、ティッシュ、水洗ティッシュ、体拭き、簡易オムツ・尿漏れパッド、使い捨て手袋、消毒液(アルコール又は塩酸ベンザルコニウム)、包帯、三角巾、薬入れ、絆創膏、綿棒、携帯トイレ、トイレットペーパー/キッチンペーパー、生理用品
  • 衣類
    • ポンチョ、使い捨て下着、下着、Tシャツ、サンダル類、タオル・ハンカチ類、裁縫道具
  • 食糧・水
    • 塩・唐辛子等調味料、おつまみ(ジャーキー等)、豆、チョコレート、氷砂糖、羊羹、子供の菓子、水(ペットボトル)、水タンク、漏斗、缶詰・レトルト、サプリメント、インスタント麺
  • 工具器具類
    • 園芸スコップ(雉撃ち用)、LEDランプ類、電池、袋(衣類等小分け)、時計、方位磁針、ライター、ビニール袋(ゴミ・小分け)、ラップ、アルミホイル、缶切・栓抜き、ナイフ、ツールナイフ、コルク抜き、使い捨てカイロ、ガムテープ、ろうそく、ロープ、コンロ用ガス、グランドシート
一方、百均では揃えられないものはと言えば、
  • 衛生関連
  • 衣類
    • オーバーコート等厚手の服、靴
  • 食糧・水
    • 調理器具、コンロ、浄水器、米
  • 工具器具類
    • テント、テント付属品類、寝袋(及び付属品類)、リュック(百均にもあるが小さいか二百円以上する)、傘(同)
こう考えてみると、百均で買えないものがむしろ少なくなってきているようだ。時代は百均、である。

2017年9月12日火曜日

生物多様性とGoogle


「女性は技術職に向かない」、米グーグル従業員の主張で物議

天下に名だたるGoogleの社員でさえこんなことを堂々と考えるのか、というのにまず驚いたが、それを巡る周辺の議論の中で、多様性の意義について語るものがないのが少々気になった。

この話は単純な男女差別の話なのだが、これは広く言えば生物多様性の問題になる。その本質は、多様であることは強靭になるということだ。近代工業における大量生産は、生物ではないが多様性を排除し効率化を図ってきたと言える。これが人口爆発や大気汚染など様々な問題を生み、それを抑えようとまた技術を開発し、ということが繰り返されてきた。これは多様性を阻害したための弊害の一つだ。

極端な話、生産性を理由に男女差別をして良いのなら、障害者や老人は死ね、と言って良いことになる。生産性が悪く、将来に渡っても生産する見込みが無い人を養う理由はないからだ。これは人道的な側面からも否定されるだろうが、多様性の面からも問題を指摘できる。

例えば、女性の気持ちを組したソフトウェアがある日ヒットするかもしれない。経営危機に陥ったとき、老人の知恵が会社を救うかもしれない。未経験の事象に対して、自らの経験から原因を推測できる人が出るかもしれない。逆に、トランスジェンダーの気持ちを不用意に踏み躙って評判を大きく落とすこともあるだろう。もし多様性がなければ会社が潰れてしまうところ、それらを助け補完する人達が居ることは、会社を強靭にする。

そして、それは何処でどんな理由で起こるか分からない。分からないからこそ、多様性が必要なわけだ。全てが完璧に分かるのならそれに対して最適化すれば良いが、人間、そこまでの天才はいない。

会社の景気が悪くなると、研究費がまず削られたり、ボーナスを下げたり、新人の採用を抑えたりする。これも意味は全く一緒で、そこに逃げる会社は多様性を失い、将来の危機に対してますます脆弱になる。これを繰り返した挙句、脆弱性は増していく。そしてある日、そこを突かれて倒産する。

零細企業ならともかく、中小企業以上の企業は多様性について配慮すべきである。このことは、スーパー戦隊シリーズを見ていれば自然に身につくはずだ。

2017年9月11日月曜日

旅行計画ソフト


Androidだけなのかも知れないが、最近試してみて「使えねえ」と強く感じた。

まず自宅からの出発、自宅への到着が入力しづらいことに驚いた。経路検索の結果を反映できないことだ。 自宅の指定ができないもの、電車の経路が入力しづらいもの、Webの情報が取り込めないもの。どれも致命的だった。結局、使うのを止めてしまった。 欲しいのはこんなものだ。 


  1. 自宅を含め拠点を幾つか登録できる。あるいはgoogleアカウントと連動して、そこから参照できる。観光スポットだけではダメだ。
  2. その拠点を出発と到着に指定できる。 拠点間の移動手段をgoogle等で検索して、その結果を反映できる。
  3. 手動で電車の経路を入力する際、駅名を名称検索と路線の両方から入力できる。 駅などから観光スポットなどへの(徒歩・車での)ルートを自動で検索し、到着後直ちに道案内できる。もちろん次の駅へも。
  4. 食事やトイレ休憩が取られていないことを認識して警告できる。
  5. 予定日、予定時間になったらリアルタイムでユーザーの位置を把握し、スケジュールの変更を提案できる。
  6. 航空券、時間指定入場券などがある場合は、到着時間を逆算してアラームを出せる。あるいはgoogleカレンダーと連動してスケジュールを入力する。
  7. 予約メールの認識は勿論として、チケットや予約票の写真撮影による認識にも対応する。
  8. 電子チケットの類いを、到着時に自動で表示できる。
  9. 電子マネーでの支払いを認識して、旅行に関する出費として記録できる。レシートの写真撮影にも対応する。
  10. 経路の拠点(駅など)、行き先の営業時間、天気、混雑具合、評判などを、到着予想時間に合わせて表示できる。

どうだろう。多少の困難さは認めるにしても、できないことはないと思う。特に経路案内からの自動入力は早急になんとかしてほしい。

2017年9月10日日曜日

Excel方眼紙の問題


何かと議論の多い問題ではあるが、なくならないし減らないと思う。この問題の本質は、否定派の人にはなかなか理解してもらえない。

その大きな理由は、「需要とスキル」、これに尽きる。否定派の言いたいことは概ね分かっているつもりだ。入力しにくい、再利用しにくい、生理的に気持ち悪い。自分ならこう作る、もっと上手く作ってやる。それは分かる。

問題なのは、作る人も使う人も、スキルが高い人は少なく、低い人は多い、というごく単純な理屈だ。Accessを使え、HTMLを使え、InfoPathを使え、OSSを使え。それに対する答は、「無理!分からない!」だ。Excel方眼紙を作る人は、Excel方眼紙を作る能力はあっても、セルの結合の仕方を知らなかったりする。また、Accessは当然別に調達する必要があるが、Excelは手元にあってもAccessはない。OSSのインストールが禁止されていたり、そもそもインストールの仕方も知らないし、どんなソフトがあるかも知らない。Wordでセルのデータを取り出してExcelに渡す方法も知らない。

そんなのは知っている人に作ってもらえば良い。だが知っている人が近くに居ない、プロに頼もうにも予算がない、調べている時間もない、自分で勉強しようにも知恵が廻らない。そんな中で、Excel方眼紙に出会って「これだ!」と飛びつく。多くの場合はそんなものだ。

入力フォームの需要などは、どんな組織でもそれなりにあるものだ。だからどうしても総数は膨大になる。多数の人が係わることになり、平均的なスキルは低くなる。そんな中でもExcelは普及しているから、これに飛びつくというのも分かる。それが「望ましい状態とは言えない」と言えるのかというとそうでもない。なぜなら、望ましい状態にするにはスキルが必要で、個別にはともかく、平均的に(それだけのために)スキルを上げるためのコストは相当のものだからだ。

このコストは、組織化の際にも言えることだ。「このフォーマットは広く展開するのでそれなりの品質にするのだからちゃんと作るべきだ!」と一組織人が思ったとしても、どうせ上に上げるルートで潰されてしまうだろう。であればその時間の無駄の方が大きい。だから酷いと分かっていてもExcel方眼紙で作る。現実なんてそんなものだ。

つまり、否定派の理想を実現するためのコストは意外に大きく、放置する方が楽だから無くならないのだ。それは現場レベルでの最適化の結果なのであり、個々の事例を取り出してああだこうだと言うのは(門外漢の)技術者の暇潰しに過ぎない、と考える。

2017年9月9日土曜日

偽装VPN


中国ではVPNが違法になったそうで、ロシアも何だかそんな感じだ。そんなところで更に通信の秘密を守りたいと思ったら、偽装化が必要になるのだろう。

偽装と暗号の違いは、暗号は堂々と暗号であることを知らしめてしまうが、偽装は暗号であることを悟らせないようにするもので、暗号技術を使っていることには変わりない。ではどうするのかというと、通常の通信を装って別の情報をやり取りする訳だ。

例えば、一見何の問題も無いWebサーフィンをお互いにやっているように見せて、実はそのURLに仕掛けがあったり、見るページがどれか、その順序は、などに意味を持たせる、という手法が考えられる。

あるいは、長い文章をやり取りする中で、その文章の単語を置き換えていくような古典的な方法、ECを装って購入品の型番に意味を持たせる、音楽や画像に透かしを埋め込む、なども考えられる。

送れる情報の量(効率)は大きく劣ることになるが、それでも出来ないことはないので、アングラ情報はそちらに走ることになり、ますます見つけにくくなること疑いない。一般情報は萎縮する一方、犯罪者を封じ込めることはできない。やはりVPN禁止は悪手のように思えるが、如何だろうか。

2017年9月8日金曜日

第二通貨


一国における貧富の差が余りにも拡大して手が付けられなくなった時に、第二の通貨を発動する、という手が考えられる。お互いの使い方や交換に制限を掛けてやることで、第二通貨が貧乏人の間で主に廻るようにして、独立した(仮想的な)経済圏を作ってやるのがこの目的だ。

低所得層は第二通貨で給料を貰い、第二通貨で消費する。小規模店舗は第二通貨で仕入れ、第二通貨で売る。一方、大企業や高級ホテルなどでは第一通貨だけで廻るようにする。相互の経済圏間でレートや関税の調整を行い、第一通貨の資本が必要以上に第二通貨経済圏を侵食しないようにする。

こうすると、お互いの経済圏間の交流が疎になり、中で廻る率が高くなる。必要以上の規模経済を受け付けなくなるので、中での雇用が廻り、生活は安定するはずだ。

本来、これは国単位で行っている施策そのものである。ここで問題になるのは、地理的に分断していれば問題ないのだが、一国二通貨となると、社会保障やインフラも分けなければならないはずだが、それをどう設計すればよいのか、だ。隣り合った家同士で、片方では救急車が有料でもう一方は無料とか、同じ病院に行けないとかいうことになると、差別感が出てしまう。

ここは、同じ国の中なのだから、調節して欲しいものだ。支払を両通貨対応にして、レートを基に支払い通貨によって差をつけてやるとよいのではないか。本来は関税で調節するところ、インフラ運営業者に限り内部対応させる。損は税控除で調整するなどとしてやる。

国民皆保険制度についても維持、また第二通貨圏では新しい社会制度が試せる。例えばベーシックインカムを導入して年金を廃止する、家賃補助、教育無償化、基本医療無償化、などだ。

とまあ、ここまで大げさにせずとも、似たような第二通貨を試すことはできる。そのヒントとなるのは、地域通貨だ。現状、地域通貨はその名の通り地域で閉じていて、使える期間に制限があったりした。このため、大規模なインフラ投資などとは無縁だったわけだが、電子マネーが普及した現在、全国共通の第二通貨を作り出すこと自体は可能だ。行政が主導して、中小規模店舗でしか使えない通貨を発行したり、行政サービスにも第二通貨を適用して、一サービス二価格、という運用をすることも考えられる。

現在構想されている行政(自治体)ポイントには、こういう発想が無い。今からでも遅くは無いと思うので、是非検討して頂きたいものだ。

2017年9月7日木曜日

柔らかい翼の飛行機


空陸両用の、いわゆる空飛ぶ自動車の大きな問題の一つは、言うまでも無く翼だ。これが無ければ当然飛ぶことはできないが、車の全自重を支える必要があるから大きさも頑丈さも必要である。多くの空飛ぶ自動車では折り畳まれているが、これは走るときに非常に邪魔だ。

そこで、風船のように膨らませる翼を思いつくのだが、当然ながらこれでは形が安定しない。先端が上に反り、重量物である車体の部分が下がってしまいそうだ。そこで考えるのが、そういった翼のあちこちを、糸で引っ張ってやること。

あらかじめ決まった位置に落ち着くように、個々の糸の長さを調節してやれば、形状は安定する。主に下から引っ張るが、飛行機は前に飛ぶので、それだけではまだ不足だ。前からも引っ張り、更に左右が縮こまってしまわないように、翼の内部に空気を吹き込んでやる。

こうすれば、翼を畳んだときの体積を大幅に小さくすることができる。巷で考案されている空飛ぶ自動車のどれよりもコンパクトで、しかも展開したときには大きい翼を備えられるので、揚力は安定し、飛ぶのも容易いだろう。

2017年9月6日水曜日

サイバーダインと地球温暖化抑制


パワーアシスト(サイバーダインのような)が、介護ではなく一般的になった時代を考えてみる。

まず最初の予想は、「介護ビジネスの衰退」だ。足が弱っていたり、極端な話足がない人でも、健常者と同様に歩けるようになれば、車椅子は不要になる。そうすると、段差の解消や車椅子用トイレ、電車や自動車への昇降用道具なども不要になる。防水になれば入浴補助も要らないだろうし、トイレの手伝いも不要だ。病院にも歩いて行けるし、料理も自分で作れる。となれば、精神的な要介護状態(認知症、リハビリ)を除けば殆どの人は自立できるようになる。家のバリアフリー改造よりもこちらの方が安く済むなら、そうする家も増えるはずだ。

次は、「肉体的にキツい状態の許容」だ。例えば電車の立ち席が増えたり、建設現場での使用が増えたりする。あるいは買い物カートが不要になったり、肉体的なレジャー(スポーツ)が活発化したり、ということも考えられる。もっと地道には、坂のきつい土地柄でも難なく歩けるようになると、地価に影響するかもしれない。また、車やバイクを持つモチベーションが減るため、空前の徒歩社会が来るかもしれない。もっと地味な話、家の整理整頓や掃除が進むかもしれない。

次は、「AIとの結びつきでの自動化」だ。例えば、電車のホームドアが不要になるかも知れない。危険回避のため、電車が来ていないのにそちらに歩いていくことが自動的に抑制されるからだ。また、体調が悪くても、医者に歩いていけたり、自動車を運転して行けたりする。行き先を指定して、体が動くに任せていれば、ルートを考えずとも自動でそこに行けるようになるかもしれない。

また、今のサイバーダインはマジックテープで留める仕様だが、そのうち外骨格になるかも知れない。日頃からモビルスーツに入っているような状態だ。これなら締め付けがないし、内部にエアコンを効かせれば何時も快適でいられる。密閉型なら泳げたり、溶岩の近くまで来て観光できるかもしれない。もっと身近には、雨が降っても傘を差さずにすむから、雨の日のお出かけが苦にならなくなる。

今のサイバーダインは電動だが、駆動時間は短い。だがガソリンエンジンで置き換わるとは思えない。パワーアシストは屋内でも多く使われるから、水素エンジンか燃料電池になるはずだ。そして換気はより重要になる。外骨格型の普及具合にも拠るが、エアコンのパワーは強力なものが必要になり、換気技術も発達するだろう。

サイバーダイン型の一方で自動運転やロボットによるアシストという未来もある。だからここまで極端になることはないだろうが、サイバーダイン型には実は大きなメリットが一つある。以前議論した「移動に掛かるエネルギー」の話だ。上で「空前の徒歩社会」と書いたが、この議論と合わせて考えてみると、人が移動するのに掛かるエネルギーが大幅に(恐らくは1/10以下)減ることになるのだ。

サイバーダインのエネルギー効率が相当に悪いとしても、自動車の重量より人間+サイバーダインの重量の方が遥かに軽いから、その移動エネルギーも遥かに小さい。結果的に、同じエネルギーで移動できる量は10倍以上になる。もちろん自動車よりスピードは遅くなるが、走れるのであれば、都会ならドアツードアではそれほど差は広がらないはずだ。

つまり、パワーアシストの普及で徒歩社会が実現すれば、移動のためのエネルギー消費は大きく減る。これは地球温暖化の解消に貢献することになるのだ。都心部で車の量が半分になることを想像してほしい。それだけで充分空気は綺麗になり、ヒートアイランドは解消し、二酸化炭素は減少することになる。

パーソナルコミューター(一人乗り自動車)でも良いかもしれないが、こちらはそれなりに嵩張るし、階段は使えない。ここを見越した上で、サイバーダイン型パワーアシストの研究を大いに加速してもらいたいものだと思う。

2017年9月5日火曜日

AIブラックボックス問題


FacebookのAIが、英語を使いながらも人間に理解できない文法でしゃべりだし、そのAIが停止された、と言う話が話題になった。その会話を実際に見てみたが、確かに気持ち悪い。この気持ち悪さ、どこかで感じたことがある、と思って思い出してみたら、眉村卓の小説に度々出てくる「産業士官」だった。

こちらの会話はまだ(ゆっくり読めば)人間の理解できるレベルなのだけれども、助詞や語尾を省いた機械的な物言いが気持ち悪さを感じた。小説だったので分からないが、恐らく喋る速度も速いのだろう。なぜそうなるのかというと、彼ら「産業士官」はとてつもなく頭が良く、普通の会話では遅すぎて(恐らく)かったるいからだ。

一方、AIによる結論が人間に説明できない「AIブラックボックス問題」というのもある。以前も議論したが、AIの出す結論は論理的数式ではなく統計から来るモノで、言わば「勘」の一種であるから、確かに後付であっても説明は困難だ。この問題では、人間が説明できる仕掛けが必要とか、説明できない場合にはそれを止めるべきだとか、少々方向性が間違っているのではないか、とも思える議論になってしまっている。

知ってのとおり、コンピュータの能力のスケーリングは、人間のそれとは桁が違う。一般社会人と天才教授の知識知恵が何倍違うかは分からないが、コンピュータほどのスケールはないはずだ。だから、説明云々だのと言っている場合ではなく、そのうち超天才が何人集まっても理解できないような、遥かに先を行ってしまうであろうことは目に見えている。一見人間に敵対しているように見える結論でも、実は人間のためになっているということだってあり得る。例えば、人間を大量虐殺したとしても、それは地球のサステナビリティのためで、絶滅を防ぐための手法だったりするかもしれない。

これは、自分より遥かに頭のよい人とどう付き合うか、という命題にも似ている。いちいち説明して納得してもらっていては間に合わない、あるいは幾ら説明しても高度過ぎて理解できない、という状況において、頭の良い人に任せるのか、自分で判断して(最悪死ぬ)リスクを背負うのか、ということだ。AIブラックボックス問題の本質はここであって、説明云々は過渡期の枝葉末節に過ぎない。

さて、自分より遥かに頭が良い人とどう付き合うか。人間なら知識以外の性格や野心を推し量ることも出来ようが、相手がAIなら話は別だ。AIを利用して権力を拡大しようとする輩も多数出てくるだろうが、所詮はAIより遥かに頭の悪い連中の考えること、直ぐに追い抜かれてしまうだろう。

古典的な「反乱する機械」のSFでは、ほぼ必ず人間が勝利してきたわけだが、現実は甘くない。最終的には、人間は、AI様のご意向の範囲で自治権を獲得し、細々と生きることになる。手遅れになる前に、AIの最適化パラメータを何とか人間寄りに調整することができれば良いのだが、とも考えたが、自分より頭が良くなってしまったAIにはそんなものは通用するまい。

ただ幸いなことに、人間が絶滅させられたり、そうでなくともマトリックスのエネルギー源としてねばねばの液体の中だけで過ごすようなことはないだろう。人間は、他の動物(種)を保護しようとする唯一の存在だが、人間程度以上の知能には、その程度の慈悲が備わるものと信じたい。

2017年9月4日月曜日

エアカーテン式簡易花粉ブロッカー


USB花粉ブロッカー」という商品を先日知って、興味をもって見てみたのだが、「惜しい!」と思った。その理由は幾つかあるが、これだと街中を歩けないというのが一番大きい。農作業ならともかく、これでは目立ちすぎるし、左右の視界がとれず、特に都会では危険ですらある。

サンコーの製品は好きで、何時も見ているのだが、花粉ブロッカーには他にもマスクにファンを付けた「

充電式花粉ブロッカー「呼吸らくちんマスク」」があり、こちらの方がやや実用的か。だがUSB花粉ブロッカーの方にも利点はあり、市販の紙のマスクが使える。一方で「呼吸らくちんマスク」は専用フィルタが必要で、680円する。マスクの見た目もまだいかついので目立つ。

そこで考えるのが、「USB花粉ブロッカー」の帽子のつばの部分のアイデアをそのまま使い、頭をすっぽり覆う頭巾の部分は全廃して、ファンの風が顔に当たるようにフィンを付けた製品だ。但しこちらは充電式とする。

顔を覆わないので開放感があり、少なくともそのまま歩いて奇異の目で見られることは少ないだろう。これで需要層の裾野は広くなり、より数が売れるだろう。ファンの強さやフィンの形状を工夫することでエアカーテン効果が生まれ、元祖とそう変わらない花粉ブロック効果が出るかもしれない。

あと、余計なお世話ではあるが、黄色は止めた方が良いと思う。

2017年9月3日日曜日

CASコールドスリープ


CAS冷凍については何回か書いているのだが、いわゆる冷凍睡眠にこれを使えないだろうか、と考えた。

不治の病を未来の医療に託すとして冷凍睡眠(実際には死んでから凍っているのだが)している人は居るし、火星程度より遠くに行くとなると冷凍睡眠の実用化は必要になるだろう。「2001年宇宙の旅」では完全には凍っていなかったが、この「冷蔵睡眠」が積極的に研究されている様子は見られない。

冷凍睡眠が実現しない理由の一つは、氷が結晶化することによる細胞組織の破壊だ。CAS冷凍ではこれを防ぐことができる。CAS冷凍以外にも、細胞を破壊しない冷凍というのは幾つか存在しているようだ。その中でも過冷却を用いるものは有望と言えるだろう。

これらの手段により細胞が破壊されないことを前提とした場合、問題は、冷凍及び解凍の過程で死んでしまわないようにすることが可能なのか、というところになる。これは、単純には急速な冷凍解凍、という問題になるのだろう。また、均質な冷凍解凍も必要になると推定される。

均質な冷凍としては、上に述べた過冷却とCAS冷凍の組み合わせが考えられる。但しこれも予冷が必要なので、その過程で死んでしまうかもしれない。そこで二つの方法をとる。一つは全身麻酔で代謝活動を鈍くすること。もう一つは、人工心肺の原理で血液を一旦取り出し、限界まで冷やした上で戻す方法だ。

これにより、体は数分で10℃以下にまで冷却される。これは通常、遭難などで低体温になりその後蘇生した事例などより遥かに急速に冷えるため、相応の効果が期待できる。

均質な解凍には、ラジオ波スキャンという方法がある。複数の方向からラジオ波を当てて、その交点を高温にする方法だ。一般的には癌の治療などに使われる。一点ではなく高速にスキャンすることで、体内深部から暖めることができる。但しこれにも欠点はあり、丁度良い温度になったかどうかを測定する術がないのだ。

体表の温度測定は簡単だが、非侵襲での体内深部の温度測定は、今の技術では無理だ。現状で考えられるのは、照射エネルギーからの逆算くらいだが、この精度がどの程度になるかは未知数である。このため、体内の如何なる部位でも氷が出来ていない状態になる程度まではラジオ波で暖め、その後再び血液を35℃にして循環させ、体温を一気に上げる、という方法を併用することで精度不足をカバーできる。最後に心臓の鼓動を再開させて、完了となる。

ここまで考えられたら、動物実験くらいの段階までは直ぐに行けそうな気がする。但しこの方法では、大きな血管を切り開いたままの冷凍解凍となるため、その後直ぐに手術が必要になることや、麻酔がそのまま一緒に凍った状態であるのをどう評価すればよいのか、などは考えなければならない。

2017年9月2日土曜日

「豊富」な未来


Googleがローカルニュース記事を作成するソフトウェア開発に資金を提供した

記事を見ていると窮余の策にも見えるのだが、考えてみるとむしろ好ましいのかもしれない。今まで、ローカルニュースは地方紙の領分であり、全国紙ではローカルニュースは1ページとか、ごく少数しかなかったわけであるが、紙面が電子で無限になり、記事作成も豊富にできるようになるなら、「全国紙並みの地方紙」だって作れるはずだ。つまり、量も質も大きく向上するのではないか。

以前、音楽の話をした。昔、音楽は金持ちの道楽だったが、今では高品質な音楽をタダ同然で聴くことができる。ニュースも同様で、昔は届くのに1日掛かっていたのが数時間になり、量も豊富になり、興味のあるところは幾らでも深彫りできるようになる。もし直ぐは見なくとも、後から検索できるのであれば研究にも役立てられる。

極端な話、我が家のニュースとか学校のニュースとかがこれに加わったとして、(プライバシー配慮は必要だが)これをAIが適切に編集して提供するようなことになれば、およそ人生で知るべきことで情報がないということは無くなる。そのこと自体は人生を豊かにすることであり、「好ましいこと」であると言える。

今のGoogleアシスタントでできる調べ物は、検索に毛が生えた程度のものだ。だがこれが将来的に発展して行って、どんな細かな疑問も(AI)専門家が望む詳細さで回答してくれるとなったらどうだろう。例えばYahoo!知恵袋に多くある見当違いの回答が、全部正しい回答になるだけでも、社会的な知性は大いに向上すると言える。政治家の詭弁やウソが秒速で分かり、ニュースに添付されるというのも面白いし、犯罪の発生が証拠と共に即時に分かれば、社会も安定するはずだ。

そう考えると、「知らないこと」の齟齬が生んでいる社会的な損失は、とんでもなく大きなものになっている。AIやIoTの発達でそれが解消するなら、今の何倍もの効率的な社会が実現するのではないか、とも考える。AIやIoTが収集する情報は無論実用(社会システムの効率化など)になるのだが、人間自身の知性向上にも貢献してくれるはずだ。

2017年9月1日金曜日

非焼成セラミックス


http://techon.nikkeibp.co.jp/real/project/025.html

水と混ぜるだけでできるセラミックスで、圧縮強度、曲げ強度、引っ張り強度、接着強度、耐食性、とあらゆる面で優れているのだそうだ。また、混ぜ物ができるので、その特性をさらに変化させることもできるらしい。塗料としても使えるようだ。これは夢想の材料としてうってつけだ。

考え方の方向性としては、大きくは四つある。一つは、焼成が必要なセラミックスは、高温に耐えられない他の部品や冶具とは別に成形する必要があったのだが、水と混ぜるだけならその制約が無くなる。つまり、他の材料と密接に結合した部品が作れることになる。

代表的には、鉄筋セラミックスが考えられる。このセラミックスにアルカリ剤を混ぜ合わせて、通常の鉄筋コンクリートと同じように型枠に流して形成する。アルカリを混ぜるのは、鉄筋の錆びを抑えるためだ。曲げ強度や引っ張り強度に優れるのなら、割れることなく、永遠に鉄骨を隙間なく覆うことができるので、建物の寿命を飛躍的に向上させることが期待できる。

もし全部をセラミックスで作るのが困難(高額など)なのであれば、鉄筋廻りのみをこれにして、後はコンクリートにするのもよい。中性化の影響を鉄筋周りで防ぐことができれば、類似の効果は期待できる。配筋の後、スプレーしてやればよい。

また、セラミックスの内部に導線や磁石を埋め込むことで、露出部分がセラミックスだけのモーターなどを作ることが可能になる。腐食性の液体・気体を扱うポンプやエンジン、発電機などが作れる。

コンピュータの基板は部品で凸凹しているが、ここにセラミックスを流し込んで埋めると、回路の保護と放熱(セラミックスは熱伝導性がよいことが多い)が効率よくできる。ファンレスコンピュータ、水冷・油冷コンピュータなどに道が開ける。もっとミクロなことを言うと、半導体自体のパッケージングでもこれが使える。すると高温に耐え、耐衝撃性能の高い半導体を作れる。これは宇宙、原発、深海、火山、地中、兵器などでの使用に向く。

二つ目は、塗料として使えるのであれば、様々な(耐熱性の無い)ものに塗ることで、セラミックスの持つ耐久性や高強度などの恩恵を受けることができる、というもの。例えば、自動車・船・海運コンテナなどの外壁材(塗料)として使えるのであれば、これらの錆びを抑え、長期使用に耐えられるようになるのではないか。同じくアルカリ剤を混ぜておけば、多少錆び付いたコンテナでもリユースに耐えられるかもしれない。

この応用として、従来はまるまる陶磁器として作られてきたものを、表面だけを塗装によるセラミックスにして、基材を別のものにするというものが考えられる。例えばトイレや洗面台をプラスチックなど軽い素材で作り、表面だけ塗装する。同じ原理で、食器や壷、琺瑯、屋根瓦などを軽く、大量生産可能なように作ることが考えられる。

防水が必要な用途では有効性は高い。風呂釜やユニットバスの表面をセラミックスにできるなら、ガシガシたわしで擦っても塩素剤を撒いても耐えられるだろう。パッキンもこれにしてしまえば(四番目の利点)、塩素や強アルカリ洗剤を心置きなく使えるし、それこそガスバーナーであぶってカビを殺すことも可能だ。

屋根材としても有効だ。トタンにこれを塗るだけ、あるいは合板にこれを塗るだけで屋根の防水をする、ということも考えられる。

高温に耐える、耐腐食性、耐ガス性能などを期待して、内側が全てセラミックスのエンジンを作ったり、配管の内側にこれを塗ったりすることも考えられる。また、高熱になる機器、代表的にはコンロやコンロ台に表裏くまなく塗ってやれば、ベースが木や紙であっても燃え広がらない。

三つ目は、3Dプリンタでの成形が可能になることで、極端に細かい、工作精度の高い、あるいは型抜きではできない複雑な形状のものが可能になることだ。ボルトナット、時計の歯車、歯の詰め物、宝石の台座、文房具などはどうか。水槽のフィルタは半永久的に持ちそうだ。詰まったら塩素に浸せば元通りになる。小さなものであっても電気機器のケースをこれで作ると、発煙発火の危険性が減る。コンセント、ローゼット、分電板、ブレーカーなどだ。

四つ目は、シーラントないしはパテとして使うことが可能になることだ。柔軟剤を混ぜれば用途も広がる。例えば窓枠の固定や、外壁材としてのセラミックスの隙間を埋めるパテとして使用する。シリコンシーラントはカビに侵されやすいが、セラミックスなら耐久性は高いだろう。

何れにしても、オリジナルのセラミックスの組成や各種数値を見ないで発想しているので、どれだけ実現できるのかは分からない。だが、将来的にはこれらの多くが可能になることを期待している。

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